Canon|ミラノサローネ「NEOREAL IN THE FOREST」クリエイター現地リポート
Canon|キヤノン
ミラノサローネ2012「NEOREAL IN THE FOREST」
クリエイター現地リポート
4月17日から22日の会期中、最終日の夕方の段階で、4万5千人以上が訪れたというキヤノンのミラノサローネ出展「NEOREAL IN THE FOREST」。プレスリリースには記載されていない、クリエイターそれぞれの製作過程や公開後の感想を、アタッシェ・ド・プレスである、デイリープレスの山本真澄さんが現地からリポートする。
Text by YAMAMOTO Masumi (DAILY PRESS)Photographs by OHKI Daisuke
“静”の「spring」、“動”の「Fall in Pop」と対照的な表現
キヤノン5回目のミラノサローネは、「森」がテーマ。「spring」「Fall in Pop」いずれの作品もあえて、森の中にあるモチーフを使用するのではなく、日常生活のなかにある、日用品のモチーフ(マッチ、色鉛筆、輪ゴムなど)を用いて制作し、森のもつ、静かさ、躍動感を表現しています。
映像技術、機材がハイテク化しても、人間の世界が感じられない世界観よりも、身近な素材をつかって人間の手ざわりや懐かしさが感じられるものをつくりたいと意識しました。写真や動画をクラフトのように扱うことで、身近なものからあたらしい視点や発見を見つけてもらえたらと思います。
中村竜治(建築家)×志村信裕(映像アーティスト)=「spring」
中村竜治氏
「霧や雲に光がさす光景から、像をもった光を空間でうけとめたらどうなるのかという疑問から、今回の作品を発想しました。
これまで、映像とかかわる作品を手がけたことはなかったのですが、映像だけでも構造だけでも成立しない、同時に成立しているような状態を目指しました。
来場者の方からは、作り方や、コンセプト、自立しているのか? などの質問を多くいただきました。こちらが思っていたように、作品を受け止めてもらえたと思いました」。
ミントデザインズ(ファッションデザイナー)×志村信裕(映像アーティスト)=「Fall in Pop」
mintdesigns
「ファッションのフィールドで使用する素材とテクニックを用いて、素材の軽やかさ、柔らかさを活かし、立体スクリーンを制作しています。
普段製作する洋服とはサイズ感がまったくちがう点に苦労しました。今回は、洋服一着に使う約800倍の布を今回の作品に使用しています。その量の布を洋服製作とおなじように重力に従い垂らすことで生まれる造形美を模索しました。このサイズ感における布の分量や落ち感は、これまで私たちが未体験のもので、具現化していくのは大変苦労しました。
今回使用した素材は、ポリエステルのグラスオーガンジーです。オーガンジーのなかでも、透明度が高く、光を受けたときに、水のように光る素材を選んでいます。また、プリーツ加工することにより、水の流れやうねりを表現しました。
志村信裕氏
「中村竜治さん、mintdesignsさんによるスクリーンがあるので、それぞれのスクリーンの個性やポテンシャルを引き出せる映像は何だろうというところから作品を着想しはじめました。
映像を投写する対象物が、この展覧会のために制作されたこれまでにないものなので、投影実験のたびに予想外の効果があらわれ、発見の連続でした。また、現地でも、本番スタートのギリギリまで何がベストなのかを試行錯誤をつづけ、最適な展示プランの見直しをはかりました」。
テーマ|「NEOREAL IN THE FOREST」
開催期間|2012年4月17日(火)~22日(日)10:00~21:00
会場|スーパースタジオ・ピュー 内 アートポイント
Superstudio Più ART POINT
Via Tortona 27, Milan(トルトーナ地区)
入場無料
http://canon.jp/milano2012/
キヤノン株式会社
Tel. 03-3758-2111(代表)