特集|カルチャーの達人に訊く、音楽・本・映画Vol.2
カルチャーの達人に訊く、音楽・本・映画 Vol.2
時代の先端を駆け抜ける、そんな達人たちが薦める音楽・本・映画とは──。
中山路子|NAKAYAMA Michiko
「MUVEIL」デザイナー
──2012年の目標は?
自分を壊していきたいと思います。
世の中の定規を気にせず、素直に、強く、でもゆっくりと。
MUSIC
中島みゆき
邦楽好きではありますが……しみじみ詩がすばらしいと思う。挑戦的で人間的でやさしくて、歌詞を読みながらじっくり、聴きたい。どの曲も好きだけれど、なかでも『ファイト』『わかれうた』『糸』などがいいですね。聴くと明日から頑張れそう。背中を押してくれるように感じます。
BOOK
『未来ちゃん』
著者|川島小鳥
ナナロク社
未来ちゃんは今の子ですが、自分の子ども時代のことをリアルに思い出させる作品。被写体の生活がじつにストレートに伝わってくる、小鳥さんの写真の撮り方がいい。なつかしくて、にんまりします。何度も見て、何度も無条件で、癒される。
MOVIE
『月曜日のユカ』
監督|中平 康
日活
日本のこの時代が大好きです。そしてこの映画に出てくる加賀まりこさんの表情やファッション、話し方もなんともアンニュイで、コケティッシュな姿にうっとりです。愛のカタチについて、答えのない答えを考えさせられるストーリーです。
加藤孝司|KATO Takashi
デザイン・ジャーナリスト
──2012年の目標は?
あたらしいことを生み出すことは、ある意味たやすい。今あるものはすべて既存のものごとのうえに成り立っているといえるのではないだろうか。温故知新としてのリメイクをテーマとして、一年を通じて考えてみたい。
MUSIC
『Mark's Keyboard Repair』
マニー・マーク
Full Frequency / Pgd
元大工で、キーボードの腕を買われて“4人目のビースティ・ボーイズ”といわれたマニー・マークの初期作品。発表当時ローファイといわれたサウンドはいま聴いてもみずみずしい。アートワークも秀逸。
BOOK
『M』
著者|ホンマタカシ
Gallery 360°
東京の写真で知られるホンマタカシさんの、世界中の“M”をテーマにした作品。手法としては写真作品をシルクスクリーンでプリント。画一的なイメージが大量に複製されていく均質な世界を想像させながら、そこにある差異も同時に浮かび上がらせている。現代アートのリメイク作品ともいえるのかもしれない。
MOVIE
『H Story』
監督|諏訪敦彦
東京テアトル
広島の原爆を主題にした1959年のフランス映画『二十四時間の情事』のリメイクをテーマにした諏訪敦彦監督作品。歴史の複製物である映画にそもそもリメイクが可能なのか、そして“歴史は繰り返す”という事実と、その不可能性にチャレンジした映画。
松永 学|MATSUNAGA Manabu
フォトグラファー
──2012年の目標は?
毎日がワクワクトキドキする気持ちを大切に写真を撮りつづけたい。
MUSIC
『Winter Family』
レッド・シュガー
Sub Rosa
ちょっと怪しい世界観が魅力的。強いメッセージのあるPVもすばらしい。このアティテュードはこの冬にぴったりです。以前、シャネルの香水のCM「Coco Mademoiselle-Keira Knightley」のBGMでは『Garden』という曲で参加してます。
BOOK
『Snapshot Chronicles: Inventing the American Photo Album』
著者|Stephanie Snyder、Barbara Levine、Matthew Stadler、
Princeton Architectural Press
写真の原点に迫り得る写真集。装丁も美しい。デジタル時代だからこそ評価すべき一冊です。
MOVIE
『Living in the Material World』
監督|マーティン・スコセッシ
配給|角川映画
じつはビートルズのキーパーソン? メンバーで一番ナイーブな性格のジョージ・ハリスン。マーティン・スコセッシにより、名盤が音楽ドキュメンタリーとして復活。
尾花大輔|OBANA Daisuke
N.ハリウッド デザイナー
──2012年の目標は?
2012年に思いついたこと、考えたことは、必ず2012年中に実行実現する!
MUSIC
『Play Rock Anthem』
LMFAO
ユニバーサル ミュージック
ここまでアホだと、どんなに落ち込んでるひとでもアガるしかない。ジャンルもなく、世のなかをまったく無視した最高のポップス! PVはアホなうえにオチがどの曲も一緒、というのがさらにアホすぎ(笑)。
BOOK
『お金はいつも正しい』
著者|堀江貴文
双葉社
飛行機に乗る前に必ず普段は読まないような本を2冊買います。堀江さんは同い年で、この時代の生っぽいところに深く、そして脱力して攻めてるところが、正直好きです。この本でも共感せざるを得ない価値観を赤裸々に書いてますね。
MOVIE
『ハングオーバー2』
監督|トッド・フィリップス
ワーナーエンタテイメント
コメディ映画で、オチがわかってるのに、スリリングさとスピード感、あたらしいバカさ加減がくわわって、なんともいえないおもしろさが最高。こんなバチェラーパーティだったら参加してみたいですね! アブナいけど……。
渋谷慶一郎|SHIBUYA Keichiro
音楽家
──2012年の目標は?
「自分らしく」みたいな抽象的なことはまったく思いつかないんですね。ATAKの10周年と久しぶりに自分のアルバムをリリースする、ということしか頭に浮かばないです。
MUSIC
『The Doors』
ドアーズ
ワーナーミュージック
全然新譜じゃなくて申し訳ないんだけど、ドアーズの『THE DOORS』はなぜかよく聴きました。時代の気分か僕の気分かわからないけど、“気分”に合っていた気がします。この浮遊感というか涅槃感はすごい。
BOOK
『自由は進化する』
著者|タニエル・C・デネット
NTT出版
読みはじめたばっかりなんだけどすごくおもしろい。自由意志を媒介にコンピューティングや知覚、意識まで射程に入れてるけど、それは音楽と聴取の関係に置き換えられるんですよね。あとモジュールっていう考え方も。
MOVIE
『死なない子供』
監督|荒川修作
アップリンク
この映画の音楽をやったんですよね。自分がやった仕事はあまりオススメに挙げたりしないんだけど、これは特典映像のマドリン•ギンズのインタビューを見 たときからすごく印象に残っているんですね。こういうデリケートで凶暴な知性が伝わる話し方というのを見たことがなかったので。最近、手紙をもらったりしたんだけどいつか会ってみたいなと思いました。