特集|カルチャーの達人に訊く、音楽・本・映画 Vol.6
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2015年1月8日

特集|カルチャーの達人に訊く、音楽・本・映画 Vol.6

カルチャーの達人に訊く、音楽・本・映画 Vol.6

時代の先端を駆け抜ける、そんな達人たちが薦める音楽・本・映画とは──



幅 允孝|HABA Yoshitaka

BACH(バッハ)代表 ブックディレクター




──2012年の目標は?



前へ。



MUSIC

『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』

サカナクション

ビクターエンタテインメント



僕もたまに夜中にBACHを聴いて、困ったような、愉しいような気分になってしまうことが多々あるので。


BOOK

『春を恨んだりはしない - 震災をめぐって考えたこと』

著者|池澤 夏樹 写真|鷲尾 和彦

中央公論新社


忘れることができない記憶を、なにに定着するか? こんな本に寄り添わせるのも、ひとつの方法だと思う。


MOVIE

『ハーブ&ドロシー』

監督|佐々木芽生

配給|ファイン・ライン・メディア、TUMUGU



好きなものに向かいつづける持久力。それを家族と共有できる悦び。


コトリンゴ|KOTORINGO

音楽家




──2012年の目標は?



アルバム製作中なので、早く皆さんに届けられるといいです!



MUSIC

『the lost and found』

グレッチェン・パーラト

Obliqsound



共同プロデューサーのロバート・グラスパーが好きで聴きはじめたのですが、もう何回聴いたかわからないくらいリピートして聴いています。曲も声も演奏も好きです。


BOOK

『庭仕事の愉しみ』

著者|ヘルマン・ヘッセ

草思社



小さなベランダで細々と育てている植物からでも学ぶことはたくさんあって、きれいなアゲハもやってきます。そんななんちゃってガーデナーな私でも共感できることがたくさん書いてありました。短編『イーリス』がとくに心に残りました。


MOVIE

『わたしを離さないで』

監督|マーク・ロマネク

20世紀フォックス



カズオ・イシグロの原作を読んだときは、途中でやめることができなくて、一気に読んでしまいました。映画は映像もきれいで、好きな世界観でした。


吉川千明|TOSHIKAWA Chiaki

美容家/オーガニックスペシャリスト




──2012年の目標は?


ベランダの花を上手に育てたり、料理を作ったり、朝の散歩を楽しんだり、日々の暮らしを楽しくしたいと思っています。オーガニックの世界を自分自身が楽しみながら、みんなにもっと知らせたいと思っています。


MUSIC

『NEVER CAN SAY GOODBYE』

トリーンティ・オーステルハイス

EMI Import



これは私の大好きなマイケル・ジャクソンのカバーですが、穏やかなトリーンティの歌声にとても癒されます。みんなが口ずさめる曲がたくさん入っているので、友達が集まった時にもよくかけます。静かで優しい気持ちになれます。


BOOK

『ニーチェの言葉』

著者|フリードリヒ・ニーチェ

ディスカヴァー・トゥエンティワン



明るくてとってもユーモアのあるニーチェがここにあります。「127 自分の人柄を語るな」「161 恋人がほしいと思っているなら!」そうだよね……。232の言葉が私を勇気づけてくれます。


MOVIE

『かもめ食堂』

監督|荻上直子

配給|メディア・スーツ



小林聡美さんのこの映画が大好きなんです。夜、ひとりでご飯を食べるとき、よく見ています。途中のどこから見てもいいのです。出てくるひとたちの端正さと清らかさが大好きです。フィンランドの日常がとてもおしゃれだし。これを見ると一日の疲れがスーと抜けていきます。


生駒芳子|IKOMA Yoshiko

ファッション・ジャーナリスト




──2012年の目標は?



とにかくポジティブ・シンキング! 宇宙規模で物事を考える時代がやってきたのです。直感を信じて、前に前にGOGO! な一年にしたいと思っています。



MUSIC

『レディオ・ガガ』

フレディ・マーキュリー




今年はフレディ・マーキュリー没後20年となります。じつは生前、彼が活躍していた頃は熱狂的なファンというわけではなかったのですが、いま彼の声を聞くとなんだかとてもエネルギーと勇気がもらえて、今年はとりわけじ~んと心と脳に響くのです。音楽のあたらしい古いという感覚は不思議で、時代を経てまた新鮮に思える瞬間と出会えることがある。フレディとは、今年そんな出会いをしました。くわえて、かのレディー・ガガの語源が、『Radio Ga Ga』であるということから、ますます聴いてて心に刺さるのです!


BOOK

『Spontaneous Happiness』

著者|アンドュー・ワイル

Little, Brown and Company



アンドュー・ワイル博士といえば、統合医療の第一人者であり、コスメブランド「オリジンズ」の開発者としても知られるスピリチュアル界のカリスマ。彼の最新の著書の最大メッセージは、幸せはどこからもやってこない、自分の内側から紡ぎだすもの、つまり自発的な幸せが大切なんだよということ。博士のアリゾナの自宅には、石を渦巻き状に並べたインスタレーションがあり、博士は毎朝、そこを瞑想しながら歩くという。そんな瞑想空間、私たちも心の中に築きたい。


MOVIE

『8 1/2』

監督|フェデリコ・フェリーニ

配給|東宝東和、ATG



マルチェロ・マストロヤンニがメガネ越しに女たちに眼差しを投げかける──あのシーンが忘れられない映画『8 1/2』。なんといっても、アヌーク・エーメはじめ、女優たちのおしゃれがこたえられないほどすてきだ。凛々しいアイライン、眉の引き方、チェックです! くわえて、妻、愛人、恋人、老女などなど、女の生き方がちりばめられ、マチュアな世界感がこたえられない。近年一番の映画でした。フェリーニの映画をすべて見返す冬にします!



堀畑裕之|HORIHATA Hiroyuki

「matohu」デザイナー(関口真希子と共にデザイン)




──2012年の目標は?



おおきくふくらんだつぼみが、そっとほころんで開きはじめる年にしたい。

心をまっすぐ保つこと。



MUSIC

『clue』

畑中正人



敬愛する作曲家 畑中正人氏の2007年のアルバム。北国の澄んだ魂から生まれるピアノの音色は、心を静かに高揚させてくれます。


BOOK

『花にならう』

著者|川瀬敏郎

平凡社



希代の花人、川瀬氏の生ける心の花。それは自由な投げ入れの花であり、日本人の遠い記憶をみごとに具象化する花です。見るたびに心が鎮まります。


MOVIE

『めぐり逢う朝』

監督|アラン・コルノー

日本ヘラルド映画



90年代フランス映画の傑作。17世紀フランスのバロック音楽の師弟ドラマですが、人生と芸術、愛と死、葛藤と和解を深く描いています。監督は谷崎潤一郎の陰翳『陰翳礼賛』に影響を受けたらしく、闇と灯火の中ヴィオラの音色が解け合います。音楽がすばらしい。ロウソクを灯して、ひとり静かな夜にご覧ください。


萩原輝美|HAGIWARA Terumi

ファッションディレクター




──2012年の目標は?



お腹も望みも八分目。


欲張らず、しっとり、ほっこり、ふっくりと。



『モンマルトルからのラブレター』

ZAZ

リスペクトレコード



ジャズ、シャンソン、ラテン、マヌーシュ(ジプシー)、ハイブリットな感覚の歌手、ZAZ。昔からこういうハスキーボイスに弱い私です。


『原発をどうするか、みんなで決める』

著者|宮台真二、飯田哲也 他

岩波書店



好きなものを使い継ぎ、着継いでいく。「原発」をとおして考えるあたらしいファッションスタイルの書です。


『永遠の僕たち』

監督|ガス・ヴァン・サント

ワーナー・ブラザース



死の世界をさまよう少年たちの、危うくも無垢な想いを描く恋物語です。見終わって外に出たら、街の風景がすっかりちがって見えました。


           
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