高橋理子|♯012 「3120」 MINO JAPANESE PAPER(後編)
FASHION / WOMEN
2015年5月25日

高橋理子|♯012 「3120」 MINO JAPANESE PAPER(後編)

「FOLIO 3120」のためにつくった新柄6種

♯012 「3120」 MINO JAPANESE PAPER(後編)

今年の1月21日から5日間、パリで開催されたインテリアの国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」。世界中から多くのひとが集まるこの見本市に出展することは、美濃和紙のメーカーにとって大きな挑戦でもありました。

文・写真=高橋理子

テーブルの内部が発光し、紙の風合いが際立つ展示

“日本の紙を世界に伝えたい”という強い思いをかたちにするために、ブースデザインをプロダクト・空間デザイナーの柳原照弘氏に依頼。紙を見せるのにふさわしい、凛としながらも軽やかな展示空間をつくりあげていただきました。重みのない紙製品の展示を意識してつくられたテーブルは、1台では成立せず、2台が寄り添うことで床への接点が増え、その結果立つことができるというとても繊細な構造です。天板にはテント生地を使い、展示に耐えられる張りを保ちつつも、緩やかなたゆみが紙のやわらかさを連想させます。テーブルの内部が発光し、紙の風合いが際立つ展示となりました。

高橋理子|美濃和紙 02

高橋理子|美濃和紙 03

「FOLIO 3120」のためにつくったあらたな柄は6種ありますが、製品の大きさや紙質、表現技法により、微妙に変化を与えています。紙漉きの方法と材料の組み合わせにより、紙質もさまざま。さらに、柄をほどこすために多様な技法を使い、約200種の「FOLIO 3120」ができあがりました。美濃の紙の良さを引き出すための柄。柄を生かす技術。紙がそのままの姿で製品となる、非常にシンプルなものづくりであったため、限られた要素のバランスに細心の注意を払いました。

高橋理子|美濃和紙 04

高橋理子|美濃和紙 05

この美濃和紙の新ブランド「3120」のように、ものづくりの長い歴史を築き上げてきた産地との取り組みにとても興味があります。しかし、ものづくりは、生み出す瞬間同様、継続していくことにも大きなパワーを必要とします。今回のパリでの発表は大きな成果を得ることができましたが、まだまだはじまったばかりです。未来に残る紙を生み出すという継続を意識したものづくりができるよう、じっくりと進めていきたいと考えています。

3120
http://3120-minowashi.jp/

TAKAHASHI HIROKO
http://www.takahashihiroko.com/

           
Photo Gallery