RENAULT MEGANE RENAULT SPORT|ルノー メガーヌ ルノー スポール 試乗インプレッション
CAR / IMPRESSION
2015年3月6日

RENAULT MEGANE RENAULT SPORT|ルノー メガーヌ ルノー スポール 試乗インプレッション

RENAULT MEGANE RENAULT SPORT|
ルノー メガーヌ ルノー スポール

ルノーが具現した、ファン・トゥ・ドライブへの証(1)

スポーツカー顔負けのパフォーマンスを誇る新型メガーヌ ルノー・スポール。400万円を切る戦略的な価格で登場した同車の試乗インプレッションをお送りする。

文=小川フミオ写真=清水博孝

ライバル車は、ゴルフR、ケイマン

ルノージャポンの手で2010年2月10日から発売される新型メガーヌ ルノー・スポール(385万円)。へたなスポーツカー顔負けの走行性能をもっている。フランスのスポーツカー?などと食わず嫌いは損をする。弾けるような楽しさは、ドイツ車好きにも一度味わってもらいたいと思うほどだ。

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新型メガーヌ ルノー・スポール(以下メガーヌRS)の特徴をひとことで説明すると、なにからなにまで特別製となる。シャシー、エンジン、さらに内装にいたるまで、専用パーツで構成されている。かつ、細部にわたって凝ったつくりをもつにもかかわらず、400万円を切る価格。絶対にお買い得だ。

「ライバルはおなじようなボディ形式ならばフォルクスワーゲン ゴルフR(256ps、505万円)、2ドアというセグメントではポルシェ ケイマン(265ps、674万円)も視野に入る」とルノー ジャポンでは言う。あながち強気の発言と思えないのは、ここで挙げられた2台のライバルと、楽しさという点では互角だからだ。

メガーヌRSのトランスミッションは6段マニュアル。そして左ハンドル。ゴルフRがAT免許でも乗れ、ハンドル位置が右になるのに対して、日本市場ではメガーヌRSにハンディが多いかもしれない。しかし超がつくほど軽いフライホイールをもち高回転域まで軽々と吹き上がるエンジンと、スパッとつながる強化型クラッチをもつダイレクトな感覚の変速機は、逆にこのクルマならではの強力な武器といえる。

力強い走りを実現したエンジン、専用のチューニング

エンジンは高効率のツインスクロールターボチャージャーを備えた2リッター。最高出力は250ps。ターボチャージャーのブースト圧は先代の2.1barから2.5barへと大幅に引き上げられているのが注目点だ。一方、低回転域でのレスポンス向上もはかられ、340Nmという最大トルクの80パーセントを1,900rpmで発生する。

このエンジンがすばらしい。ターボの領域がうんぬん……と感じるまもなく、レッドゾーンに入ろうかといういきおい。どの領域でも力がたっぷり出るし、回転がスムーズ。魅力的なエンジンの一から十までのすべてがあるといえる。

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径の太いアンチロールバーと固められたダンパーを備えるシャシーに、ダブルアクスルストラットと呼称される特別設計のフロントサスペンション、それに専用チューニングされたスポーツLSD(左右駆動輪の回転差を調整するための機構)が組み合わせられる。フロントサスペンションはジオメトリーの最適化でコーナリング能力とともに、直進安定性の向上にエンジニアは努力を傾注したそうだ。

より本格的なスポーツドライビングをもたらすR.S.ダイナミックマネージメント

メガーヌRSには、「R.S.ダイナミックマネージメント」と名づけられた、スポーツドライビングのためのマネージメントシステムが備わる。3段階切り替え式で、ノーマルモードはESP(横滑り防止装置)とトラクションコントロールが通常に作動。スポーツモードは、ふたつのシステムの作動タイミングが遅くなる。さらにアクセル開度に対するエンジンの反応がするどくなる。そしてもっともスポーティなのが、サーキットを走るときなどのために設定されるESPオフモードだ。アクセルの踏み込み量に対する開度はさらに5段階から選べるようになっている。

感度がもっとも低いのがスノーモードで、もっとも感度が高いのが「本格的なスポーツドライビングに適した」とルノーが定義するエクストリームモードだ。ドライバーがクルマの性格を変えるという楽しみだ。

ノーマルモードでもかなり鋭いレスポンスだが、R.S.ダイナミックマネージメントシステムをつかうことで、ハンドルからの入力に鋭く反応するシャシーと、効果的にボディコントロールをするサスペンショシステムの恩恵を最大限に受けることができる。エンジン吸気音と排気音もコントロールされ、ドライバーのやる気をさらにかきたててくれる。大トルクだが、アクセルを強く踏み込んだときハンドルがどちらかにとられる、いわゆるトルクステアは感じられない。

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ルノー メガーヌ ルノー スポール

ルノーが具現した、ファン・トゥ・ドライブへの証(2)

クルマのキャラクターを象徴するインテリア

「ヨーロッパにおける3ドアハッチバックやクーペのスポーツモデルは、多くのメーカーが参入する、伝統的に競争の激しいカテゴリー。年を追うごとにハイパワー化され、出力は200psなかばから300psに達しています。メガーヌ ルノー・スポールは、競争の激しいこのカテゴリーにおいて、フランスで44パーセントのシェアを占めるベストセラーモデルとなっています」
ルノーではこのように説明している。

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もうひとつ、メガーヌRSの魅力がインテリアだ。スポーツイエローと呼称されるあざやかな黄色をアクセントカラーにしたインテリアはセンスがよい。とりわけ、レカロ製のフルバケットタイプのフロントシートは特筆ものだ。まずデザインが、このクルマのキャラクターによく合っている。そしてスポーツ走行時にすぐれたサポート性を発揮する。さらに座面のクッション性がよい。意外なほどあたりがソフトで、硬いはずの乗り心地を快適とさえ思えるものにしてくれている。

ゆるやかなラインが描かれているような外観

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タイヤはミシュラン製18インチが標準で、スポーツLSDはこのタイヤに合わせて動作が最適化されている。よりスポーティなルックスを好むユーザー向けにはコンチネンタル製19インチタイヤもオプションで用意される。こちらでも先述のレカロシートの恩恵だろうか、十分乗り心地が快適なのには驚かされる。

ルックスも好ましく、ルーテシア ルノー・スポールとの近似性を感じさせる、フリーフォームデザインのヘッドランプを特徴とする。強い印象を残すフロントグリルからリアにかけて流れるようなラインがつづく。ハッチバックだが、リアの傾斜は強く、2ドアであることとあいまって、パーソナル性は強い。

とくにリアフェンダーまわりは、ふくよかなふくらみと、リアコンビネーションの美しい形状とのコンビネーションでとてもよい。魅力的な眺めだ。

直接のライバルとして思いつくのは、ルノー ジャポンが説明したように、フォルクスワーゲン ゴルフRだ。ボディサイズはほぼ同等。ゴルフRが2,575mmのホイールベースをもつのに対して、メガーヌRSは2,640mm。ボディ全長は前者が4,210mmであり、メガーヌRSは4,320mm。エンジンは2リッターターボという形式は同様。最高出力はゴルフRが256psであり、メガーヌRSは250psとやはり近い。

相違点はまずボディ。ゴルフRが4ドアで直立に近いテールゲートを備えた実用性をもつのに対して、メガーヌRSは2ドアでハッチゲートが寝かされたクーペタイプである。そして大きくことなるのが、ゴルフRがデュアルクラッチシステムの変速機を備えフルタイム4WDシステムで、かたやメガーヌRSはマニュアルトランスミッションと前輪駆動という組み合わせになることだ。

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メガーヌRSのトランスミッションは6段マニュアル。そして左ハンドル。ゴルフRがAT免許でも乗れ、ハンドル位置が右になるのに対して、日本市場ではメガーヌRSにハンディが多い、かもしれない。しかし超がつくほど軽いフライホイールをもち高回転域まで軽々と吹き上がるエンジンと、スパッとつながる強化型クラッチをもつダイレクトな感覚の変速機は、このクルマならではの強力な武器といえる。

運転すると互角。どちらもドライビングマシーンとして、ほかにはなかなかない、目の覚めるような感覚をあたえてくれる。ハンドリングの正確さ、ハイパワーエンジンの楽しさ、特別な内外装によるよろこび。フォルクスワーゲンにしてもルノーにしても、大衆車を多く手がけるメーカーだが、どちらもゆたかな技術的背景に「クルマを楽しむ」という根っこを大切にクルマをつくっていることのよい証明だ。

メガーヌRSとゴルフRの大きな差は価格だ。前者が385万円であるのに対して、後者は505万円。マニュアルトランスミッションを好むひとなら、メガーヌRSを選ぶといいと思う。ルノーはディーラー網が貧弱というデメリットがある。これを克服できれば、この魅力あるモデルに多くのひとが接する機会が増えると思うだけに、すこし歯がゆい。

RENAULT MEGANE RENAULT SPORT|ルノー メガーヌ ルノー スポール
ボディ|全長4,320×全幅1,850×全高1,435mm
エンジン|2リッター直列4気筒+インタークーラーつきターボチャージャー
最高出力|184kW(250ps)/5,500rpm
最大トルク|340Nm/3,000rpm
駆動方式|FWD
トランスミッション|6段MT
燃費|8.2ℓ/100km
CO2排出量|190g/km
価格|385万円

ルノーコール
0120-676-365

           
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