3リッターエンジン並みの力強さ

横浜の日産自動車グローバル本社でおこなわれた発表会。リーフを紹介したのは、日産自動車の志賀俊之最高執行責任者。「日産はルノーとともに“ゼロ・エミッション車で世界のリーダーになる”という目標を掲げている」という言葉とともに、リーフの初年度生産分、日本6000台にくわえて米国2万台はすでに受注済みであることをあきらかにした。

電気自動車（EV）のリーフは三相交流同期モーターを採用。最高出力80kW、最大トルク280Nmを誇る。バッテリーには、「従来のバッテリーと比較し約2倍のエネルギー密度を実現した」（日産自動車）という、リチウムイオンバッテリーを採用したのも特徴である。アクセルを踏んで発進した瞬間から最大トルクを発生する瞬発力にくわえて、中低速域の加速は「3リッターガソリン車並み」と同社ではしている。最高速度は145km/hと発表されている。

リーフの価格は376万4250円。これに2010年度EV補助金制度を利用すれば、1台あたり最大78万円の補助を政府から受けることができる。

そのさい、価格は298万4250円。「非常にお求めやすい価格」と日産自動車ではしている。

EVで重要なのは充電設備で、JC08モードにおいて200kmの航続距離が謳われるリーフも、行き先で充電できればさらに遠くへ行ける。日産自動車では日本全国の日産ディーラー全店舗（約2200店）に200Vの普通充電ができる環境を整えた。そのうち約200店舗には、30分で約80パーセントまでの充電を可能にする急速充電器を設置したという。

リーフはガソリンエンジン車の改造型でなく、当初より専用プラットフォームが開発された。バッテリーをはじめとする重量物をヨー軸まわりに集めることで、ハンドリングなどの操縦性が向上している点も特徴。ハンドルを切ったときの回頭性のよさは、フロントエンジンのクルマでは得ることができにくいスポーティな感覚を実現している。

EV専用情報通信による、あたらしいクルマとのつながり

専用設計したEV専用情報通信（Information and Communication Technology）システムを導入しているのもEVであるリーフの特徴。乗車中にナビゲーション画面でドライビングサポート機能を提供。同時に、乗車前、降車後にもスマートフォンをふくむ携帯電話やパソコンなどからオーナー向けウェブサイトにアクセスすることで、EV利用履歴およびバッテリー状態管理、充電およびエアコンの遠隔操作が可能となっている。「将来の再生可能エネルギー大量導入時代に向けたエネルギーマネジメント対応」と日産自動車ではしている。

2020年にはEVを（乗用車販売台数の）10パーセントにするとかつて発言したことに触れて、志賀俊之最高執行責任者は、「EV普及の速度は（消費者のニーズの拡大とともに）生産能力の問題。現在は追浜工場での年産5万台が上限だが、やがてイギリスとアメリカの工場でも生産開始する予定で2012年には（EVで）25万台という生産体制ができあがる」と話した。

発表会当日の会場では、東国原英夫 宮崎県知事をはじめ、日本各地の県知事らがビデオメッセージを寄せた。神奈川県の松沢成文知事は、「EVそのものと急速充電池の普及は神奈川県が全国トップレベル。これからも応援している」と述べた。また、鹿児島県の伊藤祐一郎知事は「世界遺産である屋久島をもつ鹿児島県では、石油をつかわないリーフでCO2フリーの島が実現することを期待している」と述べた。

発表会の最後は、現在納車を待っているリーフのオーナーたちが登場、集まったジャーナリストに向かって笑顔で手を振った。リーフに代表されるＥＶは、これまでの個的な自動車とはちがい、より社会性の強いあたらしい乗りものであることを印象づける演出だった。

日産 リーフ｜NISSAN LEAF
ボディ｜全長4,445×全幅1,770×全高1,545mm
車両総重量｜1,795kg
原動機｜電気モーター
駆動用バッテリー｜リチウムイオンバッテリー
バッテリー 総電力量｜24kWh
最高出力｜80kW/2,730-9,800rpm
最大トルク｜280Nm/0-2,730rpm
駆動方式｜FWD
JC08モード一充電走行距離｜200km
CO2排出量｜0g
価格｜376万4,250円から