価格を上げない、という矜持 |ロンジン「ハイドロコンクエスト」新世代が示す、アクセシブル・ラグジュアリーの本義
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2026年4月6日

価格を上げない、という矜持 |ロンジン「ハイドロコンクエスト」新世代が示す、アクセシブル・ラグジュアリーの本義

 

LONGINES|ロンジン ハイドロコンクエスト

 
スイス高級時計ブランドの多くが、じわじわと価格を引き上げている。そのなかでロンジンは、品質を着実に高めながら、価格帯を大きく動かさないという選択をとり続けている。2026年3月に登場した「ハイドロコンクエスト」の新作は、その姿勢が凝縮された一本だ。そしてブランドの舵を握る新CEOは、アクセシブル・ラグジュアリーという立ち位置を、改めて明確に掲げる。
 

Text by TSUCHIDA Takashi

「ロンジンらしさ」を守る者が、新たな舵をとる

 
2025年、ロンジンのCEOが交代した。注目すべきは、その出自である。他ブランドや異業種から招聘された外部人材ではなく、長年ロンジンに在籍してきた社歴を持つ人物が新たな指揮を執ることになった。時計業界では往々にして、新経営者が打ち出す「刷新」の名のもとにブランドの性格が変容することがある。しかし今回の人事は、むしろロンジンイズムの継承と深化を指向している。
 
新CEOが着任し、ブランドは改めて今後についてこう方針を述べる。
 
「私たちのポジションは明確です。50万円台までをひとつのベンチマークとして、それ以下の価格帯——アクセシブル・ラグジュアリーのレンジで、真の存在感を示していく」
 
高品質・高機能を普及価格帯で実現する——それはロンジンが創業以来培ってきた哲学であり、新CEO率いるブランドはその精神を自らの言葉で再定義してみせた。値を上げることによってプレステージを演出するのではなく、価格を抑えることで「本当に使えるアクセシブル・ラグジュアリーな時計」という稀少な価値を守り続けるという選択である。
 
その言葉を体現するのが、今回の「ハイドロコンクエスト」の価格設定だ。日本円で税込32万4500円。ミラネーゼメッシュブレスレット搭載モデルでも税込34万3200円にとどまる。2007年の初登場時には10万円台だったことを思えば、長い年月のなかで価格は確かに上昇している。だがそれはムーブメントの刷新、素材の進化、仕上げの精緻化といった品質向上の積み重ねに正直に対応してきた結果である。競合ブランドの同カテゴリーが軒並み50万円、60万円へと近づくなか、30万円台というプライスレンジが依然として守られていることの意味は小さくない。
 
スタンダードなフォルムは、日常使いでのシーンを問わない。

2026年モデルが示す、刷新の質

 
「ハイドロコンクエスト」は2007年の誕生以来、日常のあらゆるシーンで信頼できる防水・防汚時計として支持を集めてきた。その起源は1954年にさかのぼる。スイスで商標登録されたロンジン初のコレクション「コンクエスト」が、50年以上の歳月を経て、高い防水性と現代的な美学を纏ったのが「ハイドロコンクエスト」である。2018年のアップデートでセラミックベゼルを導入し、2023年にはGMT機構を加えて新たなビジュアルアイデンティティを確立。そして2026年、さらなる深化が図られた。
 
搭載ムーブメントは、ロンジン独自のキャリバーL888.5。シリコン製ヒゲゼンマイを採用した自動巻き機械式で、約72時間のパワーリザーブを確保する。耐磁性においてはISO764規格を大きく上回る水準を実現しており、スマートフォンや電子機器に囲まれた現代的な日常においても精度が損なわれにくい設計だ。防水性は30気圧。ねじ込み式リューズとスクリューダウン式ケースバックによって堅牢な耐水構造を担保し、ケースバックに刻まれた天球図は、探検家や冒険家のための道具を送り出してきたロンジンのヘリテージを物語る。
 
新ハイドロコンクエストのケースバック。
 
デザイン面の刷新も見逃せない。今回のコレクションで特に注目したいのが、「ハイドロコンクエスト」初登場となるミラネーゼメッシュブレスレットの存在だ。サイドにポリッシュ、全面にブラッシュ仕上げを施した高品質ステンレス製で、テーパー加工のメッシュ構造が優れた通気性と快適な装着感を生む。ブレスレットの長さ調整には改良された短いリンクが採用されており、工具は必要だが簡単にサイズを合わせることができる。さらにダブルセーフティ フォールディングクラスプには4段階のマイクロアジャストメント機構も備わり、細やかなフィット感の調整が可能だ。
 
切れ込みのある短いリンクで長さを調節できる。これ以外に、4段階のマイクロアジャストメント機構も別途有している。
 
ダイバーズウォッチライクのスポーティさを纏いながら、金属無垢ブレスレットとは異なる軽やかさと洗練が両立されている。ケースサイズは39mmと42mmの2展開。日本人の手首にも端正におさまる39mmの選択肢があることは、毎日、腕に載せる一本を選ぶ際に大きな意味を持つ。
 
ムーブメント|自動巻き(ロンジンエクスクルーシブキャリバーL888.5) ケース|ステンレススチール(径39mm) ブレスレット|ステンレススチール 防水|30気圧 価格|32万4500円(税込) 限定|ロンジン直営店限定
問い合わせ先

ロンジン/スウォッチ グループ ジャパン

TEL03-6254-7350
 
 
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