ハイビート機構で時計史に名を刻んだロンジンの傑作が復活

LONGINES｜ロンジンウルトラ-クロンクラシック

ロンジンが1967年に発表したドレスウオッチ「ウルトラ-クロン」が、「ウルトラ-クロンクラシック」として甦った。当時の時計業界に革新をもたらした貴重なタイムピースが、現代の技術と新たなスタイルで再び注目されている。

Text by WASEDA Kosaku

ハイビートのパイオニア

ロンジンは、1世紀以上にわたり高振動技術のパイオニアとしてウオッチメイキングの世界を牽引してきた。起源は1910年に遡る。同社は1/10秒の計測を可能にする5Hz（毎秒10振動）のストップウオッチの特許を取得し、スポーツ計時の分野で重要な役割を果たした。1916年には計時精度を1/100秒にまで高め、精密計時技術のリーダーとしての地位を確立している。

腕時計への応用が行われたのは1959年、天文台クロノメーターのコンペティション用に開発されたキャリバー360だった。これは腕時計初の高振動ムーブメントであり、ロンジンの技術力を世界に示した。1967年、この高精度技術を一般向けに応用した初のモデルとして「ウルトラ-クロン」が誕生したのだ。

翌1968年に登場した高振動ムーブメント搭載のダイバーズウオッチは、すでに2022年に新世代の「ウルトラ-クロン」として復活を果たしている。つまり今回のクラシックモデルの復刻により、ロンジンの高振動技術の系譜が拡がったわけだ。

今回復刻した「ウルトラ-クロンクラシック」は、ドレスウオッチであるオリジナルモデルの意匠を現代に蘇らせた。ドーム型のシルバーサンレイダイアルは光を優雅な表情に変え、アプライドのシルバーポリッシュ仕上げインデックスと針がオーセンティックな美しさを保つ。3時位置の台形型日付表示は初代モデルのヴィンテージ書体をそのまま採用し、往年のデザインへの敬意を示している。

ケースはステンレススティール製で、37mmと40mmの2サイズが用意された。厚さは11mm以下と薄型で、ドレスウオッチとしての上品なプロポーションを実現している。特に37mmモデルは、オリジナルの35mmケースというヴィンテージサイズに近いスタイルで、当時の雰囲気を色濃く残したモデルだ。

オリジナルモデルの特徴的な溝模様から着想を得たステンレススティール製ブレスレットは、サテン仕上げとポリッシュ仕上げを交互に施し、美しさと着け心地を両立させている。マイクロアジャスト機能付きダブルセーフティフォールディングクラスプにより、最適なフィット感とスムーズな開閉を実現。また、ブラックレザーストラップモデルには、当時のデザインコードを反映したヘリテージピンバックルが備わる。

ムーブメントは、ロンジン独自のキャリバーL836.6を搭載。このムーブメントは2022年に初めて発表された高振動機構で、初代モデルと同様に毎時36,000振動（5Hz）で作動する。しかし内部は最先端の技術で設計され、シリコン製ヒゲゼンマイと新素材の採用により、ISO764規格を上回る優れた耐磁性を実現している。

高振動機構の利点は、衝撃や位置変化、加速度などの外乱による影響を受けても、素早く精度を回復できる点にある。約52時間のパワーリザーブを誇る自動巻きムーブメントは、歴史的な「ウルトラ-クロン」の高精度と、現代的な信頼性を兼ね備えている。

「真の革新は、確かな実績と卓越性の上に築かれる」というブランドの信念を体現する「ウルトラ-クロンクラシック」。1世紀以上にわたり幅広いクロノグラフと高振動クロノメーターを設計してきたロンジンの技術力と、現代のクラフツマンシップが融合した、タイムレスなエレガンスが宿るドレスウオッチだ。