PORSCHE DESIGN|ポルシェデザイン|フラットシックス P’6340 オートマティック・クロノグラフ
PORSCHE DESIGN|ポルシェデザイン
フラットシックス P’6340 オートマティック・クロノグラフ
Text by OPENERS
ポルシェ車のイメージをふんだんに取り入れたモデルとして登場した「フラットシックス」シリーズの機械式クロノグラフが、この「フラットシックス P’6340 オートマティック・クロノグラフ」。2006年に同時発売された「フラットシックス P’6310 オートマティック」と同様に、ケースサイドの彫金、ローターのデザインなど、ポルシェ車のイメージを喚起させる意匠に満ちている。
「P’6310 オートマティック」がシンプルを極めたデザインなのに対して、このモデルの場合はクロノグラフを搭載するため、文字盤には3つのインダイヤルが備わっている。なかでも計測をつかさどる12時位置の30分積算計と6時位置の12時間積算計は、スモールセコンドと差別化するために、異なるカラーのオーナメントを施すことで視認性を高めている。このあたりの機能的なデザインが、いかにもポルシェデザインらしいではないか。
一方で9時位置に配されたスモールセコンドは普通の針ではなく、三角形のマーカーによって表示。この三角形マーカーは非常に目立つので、時計が動作しているかどうか、一目で分かる。また、ベゼルにはタキメータースケールを刻印している。
ムーブメントは旧バルジュー社が開発し、現在はETAが製造するCal.7750を搭載。メカの信頼性には定評があるうえ、独自の仕上げを施してリファインし、クロノメーター検定をパスしている。単純にクロノグラフとしてみても一級品であり、これにデザイン的要素が絡み、モータースポーツ・クロノグラフに相応しい出来映えを誇る。ほかのモデルと同様、文字盤カラーはブラック、チタン、レッドの3色があり、好みのものを選択可能だ。「フラットシックス P’6340 オートマティック」と同様、ポルシェファンなら、ぜひ入手したい一本である。
自動巻き。毎時2万8800振動。46時間パワーリザーブ。ケース径44.5mm。ケース厚15.0mm。SSケース。120m防水。40万9500円(ラバーベルト)、43万500円(SSブレス)。
BRAND HISTORY
かの有名なポルシェの創設者の孫、フェルディナンド・アレクサンダー・ポルシェによって、1972年に設立。フェルディナンドは、かつてポルシェの名車911や904のデザインを手がけたことでも知られる人物である。
アイウェアから路面電車まで、さまざまなジャンルにおいてデザインを手がける同社は、時計づくりに関してはデザインとムーブメントの製作を完全に分離する方式を貫く。つまり、ムーブメントの製作には一切タッチせず、デザインのみに専念するのだ。
そのため同社の時計の歴史は、ムーブメント製作の担当メーカーによって大きく3つに分けられる。はじめは「オルフィナ社」が担当した時代(1972-80年)で、この時代のモデルはミリタリーテイストのクロノグラフが主流であった。また、世界で初めて外装パーツにチタン素材を採用したクロノグラフを発表している。
次にタッグを組んだのは「IWC社」(1983-94年)。旧西ドイツ海軍の依頼で製作された2000m防水のミリタリーダイバーズでお馴染みだが、このモデルが開発されたのは1981年と、正式にはIWCとパートナーシップを締結する以前の話。技術提携以後も、時計とコンパスを組み合わせた「チタニウム・コンパス」や、アラーム機能やワールドタイマーを搭載しながら、高い防水性能も獲得した「ワールド・タイムゾーン」を発表している。
そして、1998年からは、スイスの老舗ブランド「エテルナ」を子会社化し、新たなるパートナーシップを締結。2003年からは、ポルシェのカーボディにインスピレーションを得た「ダッシュボード」シリーズをスタートし、ブランドのアイデンティティを思う存分に開花。2004年には、計測結果をデジタルカウンターで表示するという、唯一無二の複雑機械式クロノグラフ「インディケーター」を発表して、世界中の時計ファンを熱狂させた。
その独特なブランド形態ゆえ、なかなか時計ファンに認知されにくい面もあるが、まぎれもなく時計界の1リーダーとして活躍し続けているブランドである。今年で創業35周年を迎え、さらなる活躍に期待が寄せられる。
【創業年】1972年
【創業地】ドイツ・シュトゥットガルト
【主なシリーズ名】ダッシュボード、フラットシックス、ヘリテージ
【問い合わせ先】日本シイベルヘグナー 03-5441-4515
国内サイト http://www.porsche-design-shop.jp