スイス勢最後のビッグブランド「チューダー」が、待望の日本正式上陸|TUDOR
TUDOR|チューダー
ロレックスのDNAを、BEEFYスタイルで。
満を持して、やってきたスイス勢最後の
ビッグブランドTUDORチューダー(1)
すでに鉄壁の存在感を示しているTUDORですが、バーゼルワールド会場にて例年、TUDORの新作を目にするたびに、このブランドが日本に入ってくるのは時間の問題と思っていました。圧倒的に出来が良くて、コスパがいい。アメリカ、イタリア、イギリス、ドイツ、香港など主要な時計市場において、すでに高い評価を得ている通り、腕時計の本質にカブリつくのにぴったりのブランドだからです。
Photographs by OKAMURA Masahiro(CROSSOVER)Text by TSUCHIDA Takashi
熟成された赤身肉のように、機械式腕時計の本質をそのままに
日本ではアンティークウオッチを通じてブランドが認知されていった背景があるから、ちょっと戸惑うかもしれませんが……、元サッカー選手のデビッド・ベッカム氏、音楽家のレディー・ガガさんらが、現在のTUDORのアンバサダーを務めています。この人選、シブいなぁ。人生に自分のスタイルを持った大人たち。最高です。
ちなみに日本正式上陸のタイミングで、カナ表記は「チューダー」に統一されました。ブランド命名に当たり、イギリスの薔薇の紋章の王家“チューダー朝”がオマージュされたエピソードに紐づくものです。
1920年代から‘30年代にかけ、ROLEXはすでにオイスターケース(防水ケース)やオイスターパーペチュアル(自動巻きムーブメント)の開発で、世界でも抜きん出た腕時計ブランドとなっていましたが、英国人により馴染みのあるTUDORおよびバラの紋章ロゴを活用することで、さらなる人気を獲得しようと試みました。このマーケティングは成功、さらに時代のニーズと呼応して、チューダーブランドに、ROLEXとは異なる息吹が与えられるようになります。
「私は何年もの間、ロレックスの技術と信頼をもって
確固たる品質と先駆性を備えた腕時計を創りたいと思ってきた。
その価値ある新しい腕時計を製造・販売するために
私は新たに『チューダー ウォッチ カンパニー』という会社を
立ち上げることにした。」(1946年3月6日)
上記はROLEXおよびTUDORの創立者、ハンス・ウイルスドルフ氏の言葉です。そして、この宣言以来、TUDORは独自色を帯びていきました。
耐久性の高い腕時計を、気取らぬスタイルで。その意図は1950年代の広告キャンペーンからも伝わります。
1950年代は、機械式腕時計があらゆる人々に行き渡っていく時代でした。ROLEX譲りの品質を持つTUDORの腕時計は正確かつ信頼性が厚く、建築技師やバイク操縦士が腕にしても、その振動に耐え、防塵性に富む耐久ケースを持っていました。
Page02. ブランドの個性となるまでに洗練されたデザイン哲学
TUDOR|チューダー
ロレックスのDNAを、BEEFYスタイルで。
満を持して、やってきたスイス勢最後の
ビッグブランドTUDORチューダー(2)
ブランドの個性となるまでに洗練されたデザイン哲学
はじめに上の画像をご覧ください。
こうしてTUDORのケースフォルムをサイドから眺めると、質実剛健さが浮かび上がって見えてきます。機械式ムーブメントを内包する必然性のある厚みを隠さず、美しい鏡面SSでソリッドにシルエットを切り出す潔さったら、他に類を見ません。
シンプルでいて機能的。ケースとラグが一体となったルックスは、TUDOR版オイスターケースの特徴です。そしてシリーズごとにケースの形を変えるのではなく、多くのモデルで一貫させています。
オイスターケースの防水性能を担保するのが、ねじ込み式裏蓋です。TUDORでは全モデルでこのオイスターケースを採用しています。
もちろんリュウズも、クロノグラフのプッシュピースも、ねじ込み式。徹底した実用主義です。
そして「ブラックベイ」「ペラゴス」など、ダイバーズウオッチの時針に選ばれているのが、スノーフレーク針。スノーフレークとは“雪の結晶”の意ですが、この形は、光が届きにくい深海でも優れた視認性を発揮することから採用され、TUDORの“顔”にもなっています。
またTUDORは2015年に自社ムーブメントを開発し、クロノグラフ以外の多くのモデルに搭載完了しています。このマニュファクチュールムーブメントの完成度の高さが素晴らしい。ROLEXと等しくCOSCクロノメーター認定を受け、高級時計としての精度のお墨付きを得ています。
しかも最新のシリコン・バランススプリングを搭載。パワーリザーブも約70時間と、実用水準を満たしているのです。
リュウズトップには、チューダー朝の紋章、薔薇モチーフ。現在のTUDORブランドのロゴは、堅牢さを表現する盾で統一されていますが、人気の薔薇モチーフはここに描かれています。
さらにはブラックPVDコーティングを施したオールブラックやブロンズケースといったトレンドモデルも、いち早くキャッチアップしています。「ブラックベイ」のコンセプトはそのまま、トレンドをしなやかに取り込む懐の深さも特筆に値するところです。
チューダー ショップ情報
Page03. チューダーの人気理由をさらに紐解く
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ビッグブランドTUDORチューダー(3)
チューダーの人気理由をさらに紐解く
2009年から、TUDORはヘリテージラインにファブリックストラップを用意。フランスのサン・テティエンヌ地方にて製作されるこのファブリックストラップはTUDORのモノづくりの姿勢を表す特徴になっています。
ここ数年でさまざまなブランドが取り扱いを開始したファブリックストラップですが、TUDORは「ヘリテージクロノ」のアディショナルストラップとして発表しました。そして今日では多くのモデルでファブリックストラップが選べます。
ファブリックストラップは、1960年代初頭のアメリカ海軍にて採用されたミリタリーウオッチの仕様です。スポーティで付け替えが簡単、経済的ゆえ、ファブリックストラップ(通称NATOストラップ)はその実用面が高く評価されました。しかしNATOストラップが一般に用いられたのは、当初はあくまでカジュアルウオッチに限定されていました。高級時計に似つかわしくないと思われたのかもしれません。
しかしファッションで節目節目にブレイクスルーが起きたように、NATOストラップをいち早く採り入れたのがTUDORでした。そのスタイリングは、まるでタキシードにデニムを合わせるような粋なドレスダウンとして人々を魅了します。1950年代にアメリカおよびフランス海軍、1970年代にはフランス海軍へ腕時計を納品してきたTUDORだけに、NATOストラップにビビッドに反応できたのだと思います。
TUDORでは、人気のストライプのほか、繻子織りや数種の織りを駆使したエクスクルーシブストラップを製作。素材開発も含め、多彩なバリエーションを提案しています。これほど多くのファブリックストラップを手掛けている高級ブランドは皆無。それは現代の高級ウオッチの立ち位置をしっかり捉えているからにほかなりません。ビジネスカジュアルが進むなか、ビジネスパートナーに不信感を抱かせない程度の“くだけたニュアンス”が、TUDORが世界中で抜群に受けている理由だと私は思います。