ニュージーランドの南島、カイコウラで地球の息吹を感じる|TRAVEL
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2024年3月21日

ニュージーランドの南島、カイコウラで地球の息吹を感じる|TRAVEL

TRAVEL|ニュージーランド

New Zealand 2023−2024の最新情報を紹介する全3回の連載。その2

カイコウラ──。今回のニュージーランドへの旅で、もっとも鮮明に記憶に残った街だ。プレスツアーに同行してくれた政府観光局のスタッフは、「この街のことを、もっといろいろな人に知ってほしいんです」と話していた。そしてたった1泊しただけの私も、今そう思っている。

Text by HASEGAWA Aya

どこまでも続く青い空と、きらきらとした青い海の間で

カイコウラは、南太平洋に突き出した小さな半島にある。南島最大の都市のクライストチャーチからはクルマで2時間30分ほどとアクセスも良く、クライストチャーチからは日帰りのツアーも出ている。私たちもクライストチャーチから向かったが、そのドライブの過程では、新たなワイン生産地として注目されている、ワイパラ・バレーのワイナリーにも立ち寄った。
さて、カイコウラを訪れる観光客のいちばんのお目当ては、遭遇率90パーセントを超えるというホエールウォッチングだ。海底が大陸棚の端にあり、水深が突然深くなっているカイコウラ近郊の海にはプランクトンがたくさん集まっている、海洋生物たちにとってのもぐもぐスポットなのだ。
で、ホエールウォッチング。ツアーに参加して見ることができなかった場合、ホエールウォッチングのツアー料金の80パーセントほどの返金があるということから、その自信満々ぶりがうかがえる。しかし、私たちは見ることができなかった(笑)。

少ししょんぼりして船を降りたが、車を街の北側に少し走らせた沿岸の岩場にはオットセイの営巣地がある。想像を超える数のオットセイたちを見たら、クジラに会えなかった残念感はあっという間に吹っとんでしまった。こんなにたくさんのオットセイを見ることは、あとにも先にもないだろう。愛嬌たっぷりで、奴らが昼寝しているのを見ているだけでも癒される。

なお、カイコウラでは、ドルフィンスイムもできるらしい。アホウドリに会いに行くツアーや小型飛行機からクジラを見るツアーもある。機会があれば、どれもこれも参加してみたい(笑)。
暖かくなると、クジラが出産をするためにやってくるこの街は、かつては捕鯨で栄えていたそうだ。中心地にはピンクの壁がひときわ目を引く木造家屋の建物がある。1844年に、鯨油を入れる桶職人のために建てられたもので、ファイフ・ハウスと呼ばれている、カイコウラに残る最も古い建物だ。
現在は捕鯨基地として栄えた往時の暮らしと捕鯨関係の資料を展示する小さな博物館として一般公開されているのだが、じつはこの建物、土台にクジラの骨が使われているのだ。この辺りで採れる石材はもろく、鯨の骨のほうが強固だったことから、当時は建材にクジラの骨が使われることが多かったそうだ。
ファイフ・ハウス付近のビーチでは、いくつか巨大な灰色の岩のようなものを見かけた。これは、2016年11月に南島を襲った北カンタベリー地震で、地中に埋もれていたクジラの骨が地上に出てきたものだという。骨の一部でこれだけ迫力があるとは!
そろそろお腹もすいてきた。やはりシーフードは外せない。そんな心を見透かしたかのようにビーチ沿いには、カイコウラの名物のひとつにも挙げられるシーフードを売る屋台がある。人気はクレイフィッシュ──日本語ではイセエビと訳される。そもそもカイコウラという地名は、マオリ語で「エビを食べる」(Kai= food, Koura=cray fish)ことを意味するらしい。
量り売りで、1匹1万円程度だろうか。安くはないが半身でも購入できるし、クジラをはじめとする多くの海洋生物たちが泳ぐ大海原を目の前に、ワイルドにシーフードをつつくのも悪くない。
夜はファーム・トゥー・ファームが体験できる「ハプク・キッチン」へ。ニュージーランドの料理人対決番組「マスター・シェフ」のファイナリストになった経験を持つフィオナ・リードさんとクリス・スタージョンさんの夫婦が、南アルプス山脈を目の前に臨む場所に立ち上げた施設だ。
料理教室が主体だが、食事のみの利用もできる。到着するやいなや、リードさんは私たちをオーガニック菜園へと案内してくれた。ここでリードさんの指示のもとに採取したハーブたちがこの日のディナーに使われるのだ。敷地内には鶏や豚、アヒルたちも飼われている。
アペリティフにいただいたのは、地元の蒸留所のジンを使ったジントニック。ボタニカルに昆布が使われているとのことで、言われてみると、磯の香りがするような。迷わず購入し日本に持ち帰ったが、これを飲むたびにカイコウラの神秘的な美しさをたたえる海の色や「ハプク・キッチン」の菜園のハーブや生き生きとした大地の香り、食卓のあたたかな雰囲気が蘇ってくる。
ニュージーランドの旅の紹介、第3回目は、ワインラヴァーたちにとっての憧れの地、マールボロをフィーチャーする(つづく)。
取材協力
ニュージーランド政府観光局
https://www.newzealand.com/jp/
ニュージーランド航空
https://www.airnewzealand.jp/
                      
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