編集大魔王・祐真朋樹、フランス・シャンティイ競馬場へ行く
『ロンジン ディアヌ賞』2017開催!
初体験!シャンティイ競馬場
スイスの高級腕時計ブランドの名を冠する世界最高峰の牝馬限定レース『ロンジン ディアヌ賞(PRIX DE DIANE LONGINES)』がフランス・シャンティイ競馬場で開催。1841年に創設された歴史ある牝馬レースであり、正装した紳士淑女が集い、最もエレガントな装いをした女性のファッションコンテストも開催される一大イベントを、我らが編集大魔王・祐真朋樹が「初」観戦。年に一度、エレガントな華やかさに包まれるという競馬場の雰囲気から、自らが賭けたレースの結果までを詳細にレポート!
Photographs by SUKEZANE Tomoki, LONGINES OfficialText by HATAKEYAMA Satoko
ヨーロッパの貴族や富裕層の歴史的社交の場、『ロンジン ディアヌ賞』へ
パリメンズコレクションに通い始めてかれこれ30年近く。ランウェイ会場に設定されたパリ近郊の小さな競馬場には行ったことはあっても、本格的なG1レース、それもドレスアップをしてレース観戦をしに競馬場へ行くのは今回が初めて。
日本を出発する前からかなり期待をして、どれくらいのドレスコードなのかを各方面へ確認したところ、「フランス競馬は英国式の格式張った雰囲気とは違う」との声を聞きひと安心。
フランス開催ということでドーメルのオーダースーツにシャルベのシャツ、ターンブル&アッサーのボウタイ、ボルサリーノのハット、バーカーブラックのコンビシューズ、ロンジンのウォッチという出で立ちで、専用列車が待つパリの北駅へ向かう。
シャンティイ競馬場へは、パリから列車で小一時間ほど。
僕が乗る列車はこの日のメインレースとなる『ロンジン ディアヌ賞』を観戦しに行く紳士淑女たちのための特別列車で、ホースレース観戦が社交界の娯楽の花形だった往時を彷彿とさせるクラシカルな趣。オリエント急行のような古き良き時代の列車旅というのがまた気分を盛り上げてくれる。
全席テーブル付きの車内でシャンパンのグラスを傾けつつ、目的地へ向かうという優雅なひと時だった。
目的地の駅に到着後は、馬車に乗りこみ競馬場へ。
ヨーロッパのホースレースは古くから貴族や富裕層が社交を愉しむ場として発展したが、フランスで往年の華やかさを残すのは、今やロンシャン競馬場で秋に開催される凱旋門賞(今年は改修のためシャンティイで開催予定)と、ここシャンティイで開催される『ロンジン ディアヌ賞』の2大会のみ。
それゆえに開会のセレモニーも古式ゆかしい扮装で行われ、最もエレガントな女性のホースレースファンを選ぶコンテストなども同時開催。
会場には艶やかな帽子とドレスで着飾った美しいマドモワゼルやマダムたちが大勢集い、目にも麗しい光景が繰り広げられた。
さて、肝心のレースは全部で7レースあり、僕はパリへ戻る時間ギリギリまでの6レースに挑戦。第1、2レースは順当に勝ち、第3レースは惜しくも負け。
メインレースとなる『ロンジン ディアヌ賞』は第4レースで、これは1着が見事的中。僕の場合は基本的に単勝狙いで、とりあえず一番人気と大穴を買うという極端な作戦に出たのが大当たりとなった。
シャンパンの心地いい酔いが進むほどに、会場の熱気と僕の勢いも増してきた。
メインレースの『ロンジン ディアヌ賞』は出走馬の数が多かったので、出走表をよく見たら、一頭だけアメリカの馬がいることに気づいた。
珍しいなと思ったのと「こういうとき、アメリカの馬は強いんだよな」という直感がひらめいたというのも勝因だったと思う。最終レースはギリギリのところで抜かれ惜敗するも、差し引きすると全部で8万円ぐらいの勝ちとなった。
とはいっても、もともとギャンブラーの素質は全くといっていいほどない。それだけに、かなり上機嫌で競馬場を後にすることができた。
たった一日だけとはいえ、日本ではなかなか味わえない華やかな別世界を堪能できたのはとてもいい経験になった。
今回のイベントではロンジンが主催する前夜祭もあり、会場となったパリのグラン・パレ横のレストランでは、南アフリカのELLEのアートディレクターとエディターの女性と出会い、意気投合。パリのヴィンテージ事情の情報交換をするなど会話も盛り上がったのもいい思い出だ。
だが、その翌日の午前中、つまりシャンティイ競馬場に行く直前に僕はあることをやらかしてしまっていた。
旅先でいつも愛用しているシャルベのスリッパを忘れてきたので、ヴァンドーム広場にある本店でスリッパを買うつもりが、ナイスな店員に他のアイテムも勧められ、あれよあれよと散財してしまったのだ。
買ったモノ自体には大満足ではあったのだが「やってしまった」感をぬぐえないまま向かった競馬場でのラッキーな勝ち。競馬だけに、まさに「人間万事塞翁が馬」だったというわけだ。
そんな自分に“ツキの女神(=ディアヌ)”が微笑んでくれたのは間違いない!
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