UKの重鎮DJ、アンドリュー・ウェザオール7年ぶりソロ作|MUSIC
ANDREW WEATHERALL | アンドリュー・ウェザオール
アンドリュー・ウェザオールが2016年のマスターピースを発表
1990年代のアシッドハウス黎明期からDJ、プロデューサーとしてUKを代表する存在として名を馳せ、プライマル・スクリームの傑作やビョーク作品のリミックスに関与してきた彼。ソロ名義では7年ぶりとなる新作『コンヴェナンザ(Convenanza)』のリリース、そして日本で開催されるイベントへの出演も決定した。
Text by ISHIZUMI Yuka
新作はポスト・ファンク・パンク・リズムが特徴
30年にも及ぶキャリアにおいて、常にUK音楽シーンのキーパーソンとして存在し続けるプロデューサー・DJの「アンドリュー・ウェザオール(ANDREW WEATHERALL)」。彼がソロ名義としては7年ぶりとなるアルバム『コンヴェナンザ』をリリースする。
音楽ジャーナリストとしてDJのテリー・ファーリーらとともに、音楽とファッション、フットボールに関するファンジン(ファンが集って制作した評論誌)「Boy’s Own」を立ち上げ、1988年にはアシッドハウス黎明期の伝説的パーティ「Shoom」でDJとしてのキャリアをスタート。
その後のプロデューサーとしての活躍――ハッピー・マンデーズ「Hallelujah」のリミックスを皮切りに、プライマル・スクリームの「Loaded」と、それに続く歴史的なアルバム『Screamadelica』のプロデュース、マイ・ブラッディ・バレンタイン「Soon」のリミックス・ワークの影響は、もはや多くを語る必要はないだろう。
これまでにプロデュース・リミックスを手がけたアーティストは、他にもビョーク、ニュー・オーダー、スピリチュアライズド、ファック・ボタンズなど枚挙に暇がない。
また自身の作品では、名門Warpから、セイバーズ・オブ・パラダイス、トゥー・ローン・スウォーズメン、自身のレーベルRotters Golf Clubからは、その豊潤なキャリアを総括したソロ名義作品やティモシー・J・フェアプレイとのジ・アスフォデルスをリリースするなど、エレクトロニカ、テクノ、ダブ、エレクトロ・パンク、ロックといったさまざまなスタイルで、ダンスミュージックを牽引。ロックとダンスミュージックのクロスオーバーを実現してきた。
そんなアンドリューの新作は、セイバーズ・オブ・パラダイス時代からの盟友ニーナ・ウォルシュと気の赴くままのコラボレーションを発端にスタート。削ぎ落とされたサウンンドデザインながら、全体を通してポスト・ファンク・パンク・リズムと形容できるリズムへのアプローチが軸を担う。
不安を掻き立てるトランペットに野放図なギターが乗る「Frankfurt Advice」や、セイバーズ〜の歴史的名曲「SmokebelchⅡ」の“その後”を響かせるような「Thirteenth Night」など、一聴、雑然とした印象のなかにも、彼がこれまで関わってきた音楽的実験や具体的なサウンドをリスナー自身も偶然に発見できる体験的なアルバムに仕上がっていると言えるだろう。
また、今年のゴールデンウィークに静岡県・東伊豆で開催される「RAINBOW DISCO CLUB 2016」のヘッドライナー出演、そして4年ぶりとなる東京・大阪でのクラブイベントの開催も決定している。
『Convenanza』
発売日|2016年1月22日(金)
レーベル|Beat Records
価格|2376円
規格番号|BRC-494
01. Intriduction
02. Frankfurt Advice
03. Confidence Man
04. The Last Walk
05. Kicking The River
06. Disappear
07. We Count The Stars
08. Thirteenth Night
09. Ghosts Again
10. All That’s Left(Bonus Track for Japan)
11. Youth Ozone Machine(Bonus Track for Japan)
Beatink / Beat Records
Tel.03-5768-1277
http://www.beatink.com