シシド・カフカ登場!|対談「音楽が与えてくれるもの」|Levi's® Made & Crafted™
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スペシャル対談
シシド・カフカ「音楽が与えてくれるもの」(1)
リーバイス®の歴史を踏まえたデザインに、現代の革新的な高品質素材と縫製技術を取り入れたモダンライン――それが「リーバイス® メイド アンド クラフテッド™」(以下、LMC)だ。今季2015年FWは1970年代のパンクムーブメントにインスピレーションを受けたコレクションを展開している。今回、2015年春のリーバイス®のグローバルキャンペーンに、日本人として唯一起用されたアーティストであるシシド・カフカさんと、LMCの日本や中東、アフリカにおけるディレクターであり、音楽への造詣も深い大坪洋介さんとの対談が実現。ふたりの人生における音楽の役割、そして音楽が与えてくれるものについて語り合った。
Photographs by JAMANDFIXText by HASEGAWA Junya(america)Edit by KASE Tomoshige
楽器、音楽、感動と出会うまで
大坪洋介(以下、大坪) カフカさんとはかなり前からご縁があって……。あれはデビュー前なのかな? 代々木体育館でおこなわれた「ROOMS」という合同展示会場で、ライブパフォーマンスを体験させていただいて以来ですね。
シシド・カフカ(以下、シシド) そうでしたね! 私もよく覚えています。あのステージをとても気に入ってくださって、そのうえ「ぜひリーバイス®のアイテムを贈らせてください」なんてお言葉まで。そして本当にいただけるなんて、世の中こんな“有言実行”の方がいるんだなって、びっくりしました(笑)。
大坪 2015年のリーバイス®のグローバルキャンペーンが、音楽をテーマにした“LIVE IN LEVI’S®”というものに決まったとき、日本のアーティストを起用するなら誰がいいか、という話になって。自然に全会一致でカフカさんに決定したんですよ(笑)。
シシド 本当ですか? それはすごくうれしい。ありがとうございます!
大坪 ミュージシャンの方にとっては当然なのかもしれませんが、カフカさんは“No Music, No Life!”な生き方だとうかがいました。僕のような素人とおなじ土俵で語っては大変失礼なのですが、僕自身、やっぱり“No Music, No Life!”なんです。音楽にはいろいろな側面、作用があって、気持ちを高揚させてくれたり、幸せな気持ちにさせてくれたり。ひとの感情を大きく揺さぶる、すばらしいモノだと思っているんです。
シシド 本当にそのとおりですね。でも演奏をはじめたきっかけは、じつは音楽ではなくて“楽器”そのものに魅せられたことにあるんです。いろんなひととセッションしていくことでアンサンブルのすばらしさを知り、それまで知らなかった楽器やジャンルへの興味や感動が一気にひろがっていって、“音”を“楽しむ”ことに辿り着いた。だから、一般的なミュージシャンの方や、音楽好きな方とは順番が逆かもしれませんね。
讃美歌とドラム
大坪 はじめてドラムを叩いたのは、中学生のときでしたっけ? で、はじめた場所というのが……。
シシド アルゼンチン!(笑) でもその前、4、5歳のころにバイオリンをはじめているんです。幼稚園も小学校も、毎朝礼拝をするような学校に通っていまして、最初に触れた音楽は教会の賛美歌。ポップスやロックに興味をもったのはずっと後のことなんです。
大坪 あ、僕とおなじです(笑)。僕もカトリック系の学校に通っていて、人生で最初に聞いた外国の音楽はラテン語でした。
シシド そうなんですね! 小学校4年生くらいのときにドラマーを目指そうと心に決めるまえは、一番好きな音楽ジャンルは「賛美歌」と答えてたくらいです(笑)。ハーモニーが美しくて、クラシックよりも好きでした。
大坪 では教会にはよく行かれますか? 僕はいまでも古い教会を見かけると、ついお祈りしたくなってしまうんですが。
シシド 行きます! なんだかすごく落ち着くんです。いろんなことを考えるには、最適の場所ですね。
大坪 なるほど、そういうルーツをおもちなんですね。
シシド はい。その後ドラムという楽器に惚れ込んで、アルゼンチンにいるときに本格的に叩きはじめたんです。最初に習ったのが、タンゴからはじまるラテンブルース。ちょっと不思議ですけれど。
Page02. ライブから得るもの
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スペシャル対談
シシド・カフカ「音楽が与えてくれるもの」(2)
ライブから得るもの
大坪 お話をうかがっていると、育った環境や経験されてきたことが、そのままいまのシシド・カフカさんを形づくっているというのがとてもよく分かりますね。これからもきっと音楽だけではなくて、自然や旅行や料理など、さまざまな経験が音楽性や人間性に活かされていくんでしょうね。
シシド ありがとうございます。いろんな物事を自分なりに咀嚼して、自分らしい“カラー”を色濃く出していけたらいいな、と思っています。
大坪 僕は有名無名を問わず、すばらしいアーティストのライブは、全身が自然にもっていかれてしまうくらいパワーがあって、感情に強く響くものだと身をもって知っているんですが……。カフカさんはライブ中、どんなことを考えているんでしょうか?
シシド 世界中のクリエイターが集まる「ROOMS」というイベントのアフターパーティーでは、海外のお客さんがとても多かったですよね。ライブを観てくださった彼らの反応の早さというか、音に身を委ねることに対しての素直さというか、ダイレクトなレスポンスというか……。
それに自分も乗せられて、相乗効果でどんどん高まっていくという経験をはじめてしたのが、あのステージだったんです。その時の感覚が忘れられなくて、つねにそれを超えるものを追い求めている。そろそろデビューして3年を迎えますが、ずっとそんな気持ちで活動していますね。
大坪 なるほど。つまりカフカさんはオーディエンスの皆さんと会話をするわけではないけれど、自分らしい表現としての音楽とパフォーマンスを通じて、彼らと相互コミュニケーションをとっているわけですね。
シシド そうですね。やはりライブ会場には、CDには込められないようなその場の空気感を、一緒につくってくれるひとがいる。そういうものを自分のなかにしっかり吸収してもち帰ると、レコーディングでの音のつくり方も、リハーサルもちがったものになるんです。すべてのモノの見方が変わってくるので。
大坪 そういう意味では音楽って、言葉とちがって共通言語をもたない人間同士でも意思疎通ができたり、感情の共有ができたりする便利な「道具」ですよね。お互いを刺激しあったり、語り合ったり、優しく包み込んであげたりすることができる。僕も人生の半分以上を海外で過ごしているので、言葉のコミュニケーションで苦労した経験があるという意味で、カフカさんとは似たようなバックグラウンドをもっているのかもしれない。音楽って、すばらしいコミュニケーションツールですね。
シシド そうなんです。つくり手の意図というのはあるんですが、一度自分の手を離れて皆さんの手もとに届いたときに、こちらの意図なんてどうでもよくなってしまっている点もおもしろいですね。私がガツン!と言っているつもりなのに、「あの言葉にすごく癒やされました」なんて反応をいただいたりすることがあって。
でも皆さんの生活に寄り添っていられるなら、どう受け取ってもらってもいいや、って思ったりもするんです。ステージでの自分のスタンスだけちゃんと強く見せられていれば、いいのかなって。
大坪 カフカさんのステージでの映像や、出演していただいたリーバイスのムービーを海外の方に、よくお見せするんですが、「すごい! 日本にはこんなコがいるの?」なんて言ってもらえることも多くて。僕自身、とても誇りに思うんですよ。
シシド ありがとうございます!
未来の自分
大坪 カフカさんは女優さんとして映画にもご出演されていますが、これからやっていきたいことって、どんなことなんでしょう?
シシド やっぱり、主軸は音楽ですね。でもひと口に音楽と言ってもひとつではないですし、ドラムとヴォーカルというのが自分にできることなので、どんどんひろがりを見つけて楽しみながら、あたらしいことにチャレンジしていきたいです。
もちろん、ほかにいただくお仕事からもたくさんのことを学びます。音楽だけを追求して多くの物事を学べるひとと、音楽以外のところから学ぶのが上手なひとといると思うんですが――私は決して上手な方ではないけれど、もしかしたらその“音楽以外のところ”からなにかを学ぶほうが性に合っているのかもしれないな、と思うこともあるんです。
いろんなところでシシド・カフカという存在を知ってもらうきっかけをつくることも大切ですし、「あ、それおもしろそう!」って思ったものには、飛びつくことができる軽やかさをもっていたいと思っています。
大坪 最近、とても深い言葉だなと思って、心のなかでよく唱えていることがあるんです。それが、“気づき”という言葉。例えば、とても嫌な経験をしたとき、神様なのかご先祖様なのかはわからないけれど「あ、これって誰かに試されているんだな」って思うようにしているんです。
そんな“気づき”さえあれば、自分がその状況からなにを拾ってもち帰ればいいのか、というポジティブな思考に転換できる。それからあたらしい経験からの“気づき”。行ったことのない場所や会ったことのないひとと出会ったときに、どんなことを感じてなにを得ることができるか。きっとカフカさんが“音楽以外のところ”で学ぶなにかっていうのは、そういう“気づき”に似たことなんでしょうね。
シシド “音楽以外のところ”で手にした、感性のようなものを音に還元するという作業に必要なパイプが、自分自身まだまだ少ないというか、細すぎるというか……。その“気づき”のパイプを多くするのか太くするのかわかりませんが、そうなっていけたらいいな、とは思いますね。
大坪 今後はソロ活動以外のことも?
シシド はい。デビューからずっとおなじプロデューサーと仕事を続けているんですが、6月にリリースした『K⁵(Kの累乗)』というミニアルバムでは、甲本ヒロトさんや斉藤和義さんなど、いろいろなアーティストの方とご一緒させていただきました。すごく勉強になりましたし、自分の強味と弱味がなんなのか、おぼろげながらに見えてきたので、できるだけ早く武者修行に出たいと思っているんです。
どなたかのバックバンドとしてツアーを一緒に周るというのもやってみたいし、ヴォーカリストではなくバックコーラスとして参加もしてみたい。チャンスさえあれば、そういういろんな経験を早いうちにしたいと思っています。
大坪 それは楽しみですね。海外はいかがですか?
シシド 地域や民族によってレスポンスも全然ちがうので、行けたら行きたいですね。リーバイス®のキャンペーンでNYに行った時も、小さな劇場で撮影しているあいだ中、ずっとノリノリだったスタッフさんの反応がすごくうれしくて(笑)。
ドラムを叩いているだけなのにみんな“Yeah!”って感じで。カットが掛かって演奏を終えたら、盛大な拍手してくれたのも印象的。ただただ、そういう反応をもらえたことが本当にうれしかったんです。海外のお客さんのまえで演奏したら、いったいどんな反響がもらえるんだろう? そんなことばかり考えているんです。
対談を終えたシシド・カフカさんは、リーバイス®の新作ウィメンズコレクション「LOT 700」のローンチイベントに参加。ノースリーブにカスタマイズしたロゴ入りTシャツにブラックジーンズという彼女らしいスタイルで、エネルギッシュかつエモーショナルなライブパフォーマンスを披露した。束の間とはいえ、日本のファッションピープルたちを、大いに熱狂させていた。
SHISHIDO Kavka|シシド・カフカ
ドラムヴォーカルのスタイルで2012年「愛する覚悟」でCDデビュー。2013年9月、ファーストフルアルバム『カフカナイズ』発売。フジテレビ『新堂本兄弟』『ファーストクラス』への出演や「PRETZ」「SONY WALKMAN®」「Levi's®」などのTVCMでも話題に。最新作は2015年6月にリリースしたセッション・ミニアルバム『K⁵(Kの累乗)』。9月にはZepp TOKYOでワンマンライブも開催し、多方面で活躍中。
http://shishido-kavka.com/