MUSIC|故郷を想い、歌う。畠山美由紀『わが美しき故郷よ』
ソロ・デビュー10周年。約4年ぶりとなるオリジナル・アルバム
畠山美由紀『わが美しき故郷よ』
それはまさに、聴くひとの心辺にそっと寄り添う歌──宮城県気仙沼市出身の畠山美由紀さんの5枚目となるオリジナル・アルバム『わが美しき故郷よ』が12月7日にリリースされた。
Text by KAJII Makoto(OPENERS)
耳を澄ませると、畠山さんが思い描く“故郷”が思い浮かんでくる
今回のアルバムのために書き下ろされたオリジナル曲はもちろん、カバー曲の「What A Wonderful World」や「浜辺の歌」「ふるさと」などのスタンダードナンバーからもこぼれおちる、故郷への愛。
誰もが心になつかしい故郷をもっている。
2011年の春、そのことを、これほどに痛みとともに感じたことはなかった。
そして、それでも廻り、繋がり、つねにあたらしい季節に向かう世界を、
これほど愛おしく感じたこともなかった。
この美しき世界へ。
心からの賛歌を、この時代に生きる願いを、ここに歌う。
畠山さんは、3月11日の東日本大震災による津波で大きな被害を受けた気仙沼市の出身で、震災の夜、テレビで故郷の港が燃えている映像を見て、「もうダメだ」と絶望し、気仙沼に住む家族、友人たちとも連絡がしばらく取れないまま、胸を押しつぶされそうになりながら、ただただ祈りつづけたという(川口美保『SWITCH』インタビューより)。
とくに心に響くのは、5曲目の「わが美しき故郷よ」の朗読と、つづく6曲目のオリジナル曲「わが美しき故郷よ」の展開。ストレートにてらいなく語り、歌うことができるのは、表現者としての彼女の決意であり、揺るぎない思いがあるからだ。曲を聴けば私たちがテレビで繰り返し見てきた3.11後の惨状と、復興にかける人びとの顔が浮かび上がる。しかしたんなる回顧ではなく、彼女の声には希望がある。だからこそ胸を打つのだ。
今回のジャケットのイラストは、畠山さんとおなじ気仙沼市出身のアーティストである、奥原しんこさんの手によるもの。日常の小さなできごとや気持ち、大切な想いを、色や形に置き換えて描く彼女ならではの絵もまた、「わが美しき故郷よ」そのものだ。
2012年2月からは畠山美由紀「わが美しき故郷よ」ツアーがスタート。2月5日(日)の福岡公演を皮切りに、全国を巡る。
畠山美由紀ホームページ
http://hatakeyamamiyuki.com/
畠山美由紀「わが美しき故郷よ」
価格|2800円
仕様|16ページブックレット+別紙「詩」特別封入
品番|RBCP-2603 JAN:4545933126039