MOVIE|ある翻訳家の半生に迫る『ドストエフスキーと愛に生きる』
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2015年2月2日

MOVIE|ある翻訳家の半生に迫る『ドストエフスキーと愛に生きる』

MOVIE|文学の力によって高められる“人の営み”を描き出す

ある翻訳家の半生に迫る『ドストエフスキーと愛に生きる』

ドフトエフスキー文学とともに歩んだひとりの女性の数奇な半生を追ったドキュメンタリー『ドストエフスキーと愛に生きる』。2月22日(土)より、渋谷アップリンク、シネマアート六本木ほかにて全国順次ロードショーされる。

Text by KUROMIYA Yuzu

彼女が織り成す深く静かな世界と紡がれる美しい言葉たち

『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』『悪霊』『未成年』『白痴』、言わずと知れたロシア文学の巨匠・ドストエフスキーの長編作品。それらを“五頭の象”と呼び、生涯をかけてドイツ語に訳した84歳の翻訳家スヴェトラーナ・ガイヤー。1923年ウクライナ・キエフで生まれ、スターリン政権下で少女時代を過ごし、ナチス占領下でドイツ軍の通訳者として激動の時代を生き抜いた彼女は、なぜドストエフスキーを翻訳したのだろうか?

『ドストエフスキーと愛に生きる』 02

『ドストエフスキーと愛に生きる』 03

本作では、ひとりの女性が歩んだ数奇な半生を通して、過酷な運命のなか絶望に打ちひしがれることなく文学の力によって高められた人の営みをたおやかに描き出す。

ドストエフスキー文学にあたらしい声を与えたスヴェトラーナ

ロシア文学の巨匠・ドフトエフスキーの長編5作品を生涯かけてドイツ語に訳したウクライナ出身の翻訳家、スヴェトラーナ・ガイヤー。80歳を超えても自宅で翻訳に勤しみ、静かに暮らしていた。

しかし、工場の教員をしていた息子が実習中に頭にけがを負い、半身不随の重傷となってしまう。彼女は翻訳と大学講師を休むことに決め、寝たきりの息子を世話するため毎日病院を訪ねる。そして息子の食事を用意していたスヴェトラーナ・ガイヤーはある既視感にとらわれる。それは封印していた過去の扉、父親とのある記憶につながっていた──

彼女にひっそりと寄りそう静謐な映像が、スヴェトラーナ・ガイヤーの文学への深い愛情を紡いでいく。

『ドストエフスキーと愛に生きる』

2月22日(土)より、渋谷アップリンク、シネマアート六本木ほか全国順次公開

監督・脚本|ヴァディム・イェンドレイコ

出演|スヴェトラーナ・ガイヤー、アンナ・ゲッテ、ハンナ・ハーゲン

スイス・ドイツ/2009/93分

http://www.uplink.co.jp/dostoevskii/

           
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