MOVIE|西島秀俊主演! 過疎が進む村に暮らす人びとの記憶『ハーメルン』
MOVIE|過疎が進む村に暮らす人びとの記憶を優しく描き出す
日本が誇る新鋭、坪川拓史監督による『ハーメルン』
自然豊かな福島・会津を舞台に、そこで生きる人たちの姿を優しく描き出す『ハーメルン』が、9月7日(土)よりユーロスペースほか全国順次ロードショーされる。
Text by YANAKA Tomomi
構想7年、震災をはさみ足掛け2年半をかけて撮影
廃校となった小学校でひとり静かに暮らす年老いた元校長と、過疎が進むその村に暮らす人びとの記憶を優しく描き出す『ハーメルン』。日本の原風景ともいわれる奥会津の昭和村を舞台に、1場面1場面が絵画のように美しい大人のファンタジーが誕生した。
本作でメガホンを取ったのは、『美式天然』で第23回鳥の国際映画祭で史上初のグランプリと最優秀観客賞のダブル受賞を果たし、その後も世界各地の映画祭に招かれ、高い評価を得ている坪川拓史監督。舞台となる廃校を求めて全国を探し歩き、解体が決まっていた福島県昭和村の喰丸小学校にたどり着いたものの、震災をはさみ構想7年、足掛け2年半にわたる撮影を経て完成した。
そして主人公・野田を実力派俳優の西島秀俊が、野田をあたたかく見守る恩師の娘・リツコを日本の名女優、倍賞千恵子が演じている。
廃校にある遺跡出土品の整理にやってくる、卒業生の野田
ある村の廃校に、そこの元校長が暮らしていた。彼はもう使われることのないこの校舎を修繕しながら、“消え行くわが舎”をいとおしむように静かな日々を送っていた。しかし、いよいよその校舎も解体されることが決まる。
ある日、かつてこの小学校で学んだ男・野田が、博物館の職員として校舎に保存されていた遺跡出土品の整理にやってくる。じつは野田には、誰にも明かしたことのない“小さな秘密”があったのだ。
しかし校長や恩師の綾子先生、その娘リツコと接していくうちに、小学校での懐かしい記憶が呼び戻され、徐々に野田の心に変化が訪れる。そして校長の後者に託す想いにも、次第に共感を寄せるようになっていた。
そんな折、村の老人施設にいた綾子先生が隣町の大きな病院に移ることになる。娘のリツコに付き添われて村を離れる道すがら、綾子先生は学校に立ち寄り、校庭を見渡しながら小さくつぶやく。「あの子たち、どこへいったんでしょうねぇ」。そのとき――。
“日本の原風景”といわれる美しい山村で、ゆったりと流れる時間のなかに紡がれる人びとの記憶の物語を堪能あれ。
『ハーメルン』
9月7日(土)より、ユーロスペースほか全国順次ロードショー
監督・脚本・編集│坪川拓史
出演│西島秀俊、倍賞千恵子、坂本長利、守田比呂也、水橋研二、内田春菊、小松政夫、風見章子
配給│トリクスタ
2013年/日本/132分
http://www.hameln-film.jp/
©ハーメルン製作委員会