MOVIE|大ヒットシリーズ最終章『ハングオーバー!!! 最後の反省会』
MOVIE|俺たちもう、バカはしません!?
監督&脚本家のインタビューも掲載!
大ヒットシリーズがいよいよ完結! 『ハングオーバー!!! 最後の反省会』(1)
世界27カ国で初登場1位を記録、ゴールデングローブ賞のコメディ/ミュージカル部門で最優秀作品賞に選ばれるなど、コメディ映画として不動の地位を確立しつつある『ハングオーバー』シリーズがついに完結! シリーズ第3弾にして最終章『ハングオーバー!!! 最後の反省会』が、6月28日(金)より、丸ノ内ピカデリー、新宿ピカデリーほかで封切りされる。
Text by TANAKA Junko(OPENERS)
“史上最悪の二日酔い”ついにフィナーレ!
だれもが経験したことのある、最悪な二日酔い(=ハングオーバー)。そんな普遍的なテーマが世界中の共感を呼び、世界27カ国で初登場1位を記録、ゴールデングローブ賞のコメディ/ミュージカル部門で最優秀作品賞を受賞した『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』(2009年)。つづく2作目『ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える』(2011年)は、コメディ映画史上No.1の興行記録を樹立した。
全世界を共感と爆笑の渦に巻き込んだ究極の“おバカ”コメディがいよいよ完結。3作目にして最終章となる『ハングオーバー!!! 最後の反省会』が6月28日(金)、本国アメリカでのワールドプレミアから約1カ月のブランクを経て、ここ日本に上陸する。
今回もおなじみのスタッフとキャストが集結。監督は『アダルト♂スクール』(2003年)や『デュー・デート ~出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断~』(2010年)など、“おバカ”コメディのヒットメーカー、トッド・フィリップス。『ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える』につづいて、フィリップスとともに脚本を手がけたのは、クレイグ・メイジン。そして、失敗しても全然懲りない“おバカ”3人組(無駄にイケメンなフィル、なにをやっても裏目に出る歯医者のステュ、そして周りに迷惑をかけまくる巨漢のアラン)を演じるのは、ブラッドリー・クーパー、エド・ヘルムズ、ザック・ガリフィアナキスの3人だ。
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大ヒットシリーズがいよいよ完結! 『ハングオーバー!!! 最後の反省会』(2)
最終章の舞台はバンコクとラスベガス
今回はひとことで言うと、「ミスター・チャウを探せ!」というお話。ミスター・チャウと聞いて、ピンときた方もいるだろう。そう、彼は『ハングオーバー』でおなじみの悪党。中国人マフィアのボスで、前2作でも、フィル、ステュ、アランの3人を振り回してきた張本人だ。タイでの大騒動から2年、バンコクとラスベガスを股にかけ、またまた“史上最悪の二日酔い”がトラブルを巻き起こす──。
物語はバンコクで逮捕されていたミスター・チャウが、刑務所から脱獄するところからスタート。一方の3人組はといえば、中年の問題児アランのあまりの極道息子ぶりにキレた父親が、ショックで倒れそのまま天国に……。さすがに周囲も「もう面倒みきれんわ!」とお手上げ状態だ。
葬式のあと、義理の兄ダグは、フィルとステュに相談を持ちかけた。アランを専用のリハビリ施設に入院させ、治療を受けさせたいというのだ。彼らはアランを丸めこむべく、全員でアリゾナの施設に向けて旅立った。
ところが、旅の途中で彼らは突然ギャングに襲われ、ダグが人質として拉致されてしまう。ギャングのボスからは「仲間を返してほしけりゃ、俺の2100万ドルの金塊を盗みやがったミスター・チャウを探してこい」と命令が。そこで浮かんだ素朴な疑問。「でも、なんで俺たちが?」理由はアランがチャウのメル友だったから。果たしてチャウを追うことになった3人。彼らが巻き込まれることになる“反省会”とは?
これで本当に見納め。最後までトラブルと爆笑の嵐が渦巻く3人組の行方、見届けるしかない!
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大ヒットシリーズがいよいよ完結! 『ハングオーバー!!! 最後の反省会』(3)
「このシリーズで、ちゃんと癒される必要があるのはアランだとおもった」
──『ハングオーバー!!! 最後の反省会』のストーリーができた経緯は? 2作目を完成させたとき、3作目も作ることになると分かっていましたか?
監督:トッド・フィリップス(以下、フィリップス) 2作目を撮っている間に3作目の可能性は話していたよ。もう1本、作りたいとおもっていたので、話はしていた。3作目の方向性として、検討したのは5バージョンくらいだね。いまのバージョンに落ち着いたのは、2年前の夏にじっくり話し合い、脚本を書きはじめたときだ。
脚本:クレイグ・メイジン(以下、メイジン) いくつか突飛なアイデアをおもいついた。そういうときは、電話で説明し合って、「そうだね、それは突飛でいい」と言うんだが、あるときトッドがこう言ったんだ。「いま、プロット上に3つか4つ重要なポイントがある。これを実際、どんな風に落とし込むのがいいのか。どうして気になるのか。そして、この映画が完結するためには、どんな結末がふさわしいのか。それを話し合おう」って。
フィリップス ぼくたちとしては、結末らしい結末にしたかったんだよ。このシリーズの中で、ちゃんと癒される必要があるのはアランだとおもった。だから、3作目がアランのストーリーになるのは自然におもえたんだ。
──あまりにも過激で、最終的に映画で使わなかったアイデアはありましたか?
フィリップス 過激かどうかというよりは、トーンの問題だね。まさかとおもうかもしれないが、ぼくたちはこのシリーズで、あるトーンを保とうと努力したんだ。この3作目は以前より少しダークだけれど、それでもトーンには一貫性がある。だから、ぼくたちがどこかの部屋でなにかジョークをおもいついて、5分間ぐらい大笑いしても、そのあと、互いの顔を見て「これは映画全体のトーンをぶち壊すな」と意見が一致すれば使わない。もしかすると映画のなかで一番笑いをとれるかもしれないけれど、それは一瞬のことで、一度崩れたトーンをまた同じトーンに戻すのはとても難しいんだ。
メイジン このシリーズに関して、ぼくらが「どれだけとんでもないことをやってのけられるか見せてやる」というコンセプトで作っている、とおもっている人もいるとおもう。確かに、ぼくたちは自分たちの“とんでもなさ”をさらなる“とんでもなさ”で超えつづけようとしてきた。だけど重要なのは、“とんでもなさ”自体ではないんだ。キャラクターたちは、なにか理由があってとんでもないことをやり、それに対する反応が本物であれば笑えるけど、ぼくらは決して「ほら、ぼくらはこれだけ状況を悪化させられるんだぞ」とか、「ほら、これだけバカげたこともできる」とかいうゲームをはじめたいわけではなかった。
──1作目があれほど観客にウケたのはなぜだとおもいますか?
フィリップス あのときは、映画のいわば不遜な部分、コメディとしての悪びれない性質のようなものを観客は楽しんだんだとおもう。世界中でヒットしたのは、率直に言って、コンセプトの“二日酔い”自体が普遍的だからだ。だれもがハチャメチャな夜を過ごした経験があり、だれもがマズい判断をしたことがある。
だけど、つまるところあの3人だよ。あの3人のキャスティングが効いたんだとおもう。ちょうどいいタイミングで共演が実現したんだ。彼らのコミカルさはそれぞれ異なる場所から生まれていて、それがじつに興味深い形で調和している。コメディでは、それぞれの俳優の持ち味が、とても似た場所に由来することが多いんだよ。同じ感覚でコラボレーシヨンをする。でも、この3人に関しては、本当にうまく互いを補い合っているんだ。
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大ヒットシリーズがいよいよ完結! 『ハングオーバー!!! 最後の反省会』(4)
「この3部作は、きっと長い間、多くの人々を楽しませることになる」
──アランはコミカルな役回りですが、ほかのふたりについて監督たちはどう見ているんでしょう?
フィリップス コメディというのは、アクション(演技)ではなく、リアクション(反応)だとよく言われるが、ステュ役のエド・ヘルムズはリアクションの王様だよ。目覚めたとき、自分の歯が欠けていたり、顔にタトゥーが彫られているのを見たときのエドがそれだ。エドほどリアクションがうまい俳優はいないよ。このシリーズにおいて、彼はまさに陰の英雄だね。
アランが大人になりきれない奴だとすれば、ブラッドリー・クーパーが演じるフィルはこのグループのなかの父親的存在と言えるかな。でもフィルは、どんなこともあまり気にしないタイプなんだよね。
メイジン フィルはクールな奴だよね。映画では伝統的に観客に愛されるマヌケなキャラというものがあり、このシリーズではアランがそれなんだが、彼に関して興味深いのは、この映画では「それって、大丈夫?」と疑問を投げかけている点だとおもう。そういうタイプのキャラクターは昔からいるから。
たとえば、ジョン・ベルーシはそういうキャラクターをよく演じている。でも、ほかのキャラクターたちがこぞって、「おっと、ちょっと待てよ。この学生寮であいつは超ケッサクだけど、やっぱりアブナいから医者に見せなきゃ」というような映画はひとつもなかった(笑)。だから、その点がぼくはこの映画でとても気に入っているんだ。彼らは現実に目を向け、「お前は大丈夫じゃない。こんなことはやめなきゃダメだ」と言うんだから。
──この映画の脚本を書き始めたとき、3部作の結末として、それぞれのキャラクターが行き着くところを考えていましたか?
メイジン もちろん、この3作目の終わりには、ステュに心穏やかな心境になってほしかった。彼はつらい体験を二度もしたからね。フィルには改めて心の平穏は必要ない。彼はいつも平穏だからだ。彼には妻と子供たちがいる。フィルは彼らの中で唯一、危険なことをやりながらも、大人として普段の生活にスッと戻るすべを知っているクールな男なんだよ。
アランはどうしても大人になる必要があった。映画の冒頭で、彼は父親からそう言われる。そしてみんなもそれに気づく。2作目が1作目と同じように「またやっちまった」という展開だったのがぼくはとても気に入っているんだ。だって、もしそれが一度しか起きていなかったら、3作目にして完結編で、「どうすればこれを二度と起こらないようにできるか」というストーリーにできないからね。だから、アランの成長で終わらせるというのがゴールだった。そしていったんアランの問題に決着がつけば、ほかの連中はみんなもう大丈夫なんだよ。
──ラストシーンの撮影のとき、これが最後だとみんなが知っていたとおもいますが、セットの雰囲気はいかがでしたか?
フィリップス 最後に撮ったシーンは、実際に映画のラストシーンだったんだ。ちゃんと最後にとっておいたんだが、あれは切ない感じはしたね。でも、すごくよかった。この映画を撮り終えたんだからいい気分だったよ。この3部作は、きっと長い間、多くの人々を楽しませるだろうし、ぼくが観て育ったような映画になり、人々が長く話題にするとおもう。そんな3部作を完成させたんだから。そしてもちろん寂しい。5年間一緒に過ごしたんだからね。世界のあちこちを一緒に旅し、ぼくたちは本当に親しくなった。でも実際はそのあともしょっちゅう会っているから、そんなに変わらないけど。
──もし5年後に、また「ハングオーバー」映画を作ってくれと頼まれたら、またあのキャストを集めますか? それとも、これが本当に最後?
フィリップス このキャストとぼくたち、そしてぼくが関わる作品としてこれが本当に最後だとおもうよ。完全にピリオドだとおもう。これが最終的な決定。ぼくらはそれで満足しているよ。
Todd Phillips|トッド・フィリップス(脚本/監督/製作)
日々の生活から得られるユーモアと、「事実は小説より奇なり」という信念に基づき、ドキュメンタリー作者としてキャリアをスタートさせた。監督デビュー作は、過激なパンク・ロッカーのGGアリンの奇妙な行動を追ったドキュメンタリー『全身ハードコア GGアリン』(1994年)。公開後すぐにカルト的なセンセーションを巻き起こし、当時の学生映画としては最高の興行成績をあげた。監督2作目『Frat House』もドキュメンタリー。同作は1998年のサンダンス映画祭で初上映され、長編ドキュメンタリー部門で審査員大賞を獲得した。2000年、初めて長編映画『ロード・トリップ』の監督・脚本を手がけ、コメディ界の新星として認知されるようになった。代表作に『アダルト♂スクール』(2003年)、『デュー・デート ~出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断』(2010年)など。
Craig Mazin|クレイグ・メイジン(脚本)
脚本家。最近では、ジェイソン・ベイトマン、メリッサ・マッカーシー主演、セス・ゴードン監督の大ヒット・コメディ『Identity Thief』(2013年)で脚本を担当。また、今年後半に全米公開予定のコメディ・アニメ『Free Birds』では、脚本家/製作者として名を連ねている。『ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える』(2011年)につづいて、本作でもトッド・フィリップスとともに脚本を執筆。
『ハングオーバー!!! 最後の反省会』
6月28日(金)より新宿ピカデリー、丸ノ内ピカデリーほかで字幕/吹替版同時ロードショー
監督|トッド・フィリップス
脚本|トッド・フィリップス、クレイグ・メイジン
出演|ブラッドリー・クーパー、エド・ヘルムズ、ザック・ガリフィアナキス、ジャスティン・バーサ、ケン・チョン、ヘザー・グラハムほか
配給|ワーナー・ブラザーズ映画
2013年/アメリカ/100分/PG-12
http://wwws.warnerbros.co.jp/thehangover3/
© 2013 Warner Bros. Entertainment Inc. and Legendary Pictures