渋谷PARCOでNANZUKAによる“GLOBAL POP UNDERGROUND”展開催|PARCO MUSEUM TOKYO

© YAR Courtesy of NANZUKA

LOUNGE / ART
2020年7月8日

渋谷PARCOでNANZUKAによる“GLOBAL POP UNDERGROUND”展開催|PARCO MUSEUM TOKYO

PARCO MUSEUM TOKYO|パルコミュージアムトーキョー

日本固有の芸術が大衆文化と共に育まれた独自の歴史を「アンダーグラウンド」の視点から捉えるグループ展

PARCO MUSEUM TOKYO(パルコミュージアムトーキョー)にて、渋谷の現代アートギャラリーNANZUKA のキュレーションによるグループ展“GLOBAL POP UNDERGROUND”が、2020年7月4日(土)~7月26日(日)に開催される。

Text by OZAKI Sayaka|Edit by TSUCHIDA Takashi

アンダーグラウンドカルチャーと様々なバックグラウンドを持つアーティストたちが出展

© YAR Courtesy of NANZUKA
パルコミュージアムトーキョーで開催される“GLOBAL POP UNDERGROUND”展は、2019年にニューヨークとロサンジェルスにあるJeffery Deitchギャラリーを巡回した展覧会“Tokyo Pop Underground” のコンセプトを踏襲し、日本における固有のアートを「アンダーグラウンド」を切り口として、再構成した企画だ。
元来、明治時代までの日本で芸術と人々に考えられていたものは同時に実用品の一部でもあり、それ故に日本固有の芸術は大衆文化と融合しながら発展してきた。現在、芸術工芸品として考えられる書や屏風、襖絵、茶道具は、当時は実用的な目的のために作られたものでもあり、同じくキーホルダーとしての根付け、ポスターやブロマイドに位置づけられる浮世絵、そして見世物=興行のために作られた生人形(いきにんぎょう)と呼ばれるリアルな細工物まで、同様の創作物は枚挙にいとまがない。
そして、これらの“創作物”は、大衆的であるが故に元来“ポップ”であり、アカデミックなアートの文脈とは一線を画す“アンダーグラウンド”なものとみなすことが可能だ。
こうした文脈を踏襲し、アートのアカデミズムにおける上位と下位という固定観念へのアンチテーゼとして、グローバル規模で同時多発的に起こっている異端(アウトサイダー)の文脈を、相互作用的に混在させたのが“GLOBAL POP UNDERGROUND”展だ。作品の一部には性や暴力を纏った表現も含まれるが、これは、反権威、脱単一的管理、反画一的正義といったステートメントを秘めるために、アーティストたちが意図的に込めたものだ。
例えば、田名網敬一が自身の戦争体験をソースに描き上げている曼荼羅的絵画作品、山口はるみが1970年代に女性の性革命運動と共に描き起こしたセクシャルで攻撃的な女性の肖像画、人間の生存本能的欲望をロボットの姿というフィルターを通して描き続けている空山基など、 “ファインアート的”には脚光を浴びてこなかったアーティストらの作品が多く展示される。
さらに本展では、国境を越えて独自の経歴を重ねてきたアーティストの存在に焦点を当てていく。アメリカ人アーティスト、ピータ―・ソウルは、1950 年後半には誰よりも先駆けて漫画のキャラクターを引用したポップアート的手法の作品を制作していたが、その強烈な風刺的スタイルが故に、長らくアートにおける権威から遠ざけられてきた。
またアメリカ生まれのキャラクターを独特の筆致で描き続け、惜しくも昨年他界したアメリカ人女性アーティスト、ジョイス・ペンサートもメジャーな主義や潮流といったアート界における成功の波に乗らなかったため、その晩年まで脚光を浴びることはなかった。
本展は、こうした独自の道を歩んできた伝説的アーティストに加えて、より若い世代のアーティストにも焦点を当てる。日本の漫画の影響を受けながらシュールレアリズム的方法論で巨大な目を持つキャラクターのポートレートを描くスペイン人アーティスト、ハビア・カジェハ、独学で習得した技巧を武器に ユーズドのスケートボードを素材として木工作品を作るハロシ、グラフィックデザイン出身の佃弘樹、現代社会を管理する既得権益層への仮想敵としての“PUNKs”をテーマに作品を数多く生み出しているイギリス人アーティスト、オリバー・ペインなど、イラストレーション、デザイン、漫画、ストリートアート、アンダーグラウンドカルチャーと様々なバックグラウンドを持つアーティストたちの作品を通して、現在進行形のアートの多様性を体系的に示す。
現在の文化言語としての“アンダーグラウンド”ムーブメントは、排他主義的な傾向を強める先進国の社会状況へのカウンターとして現れた現象とも受け止めることができるだろう。
GLOBAL POP UNDERGROUND
会場|PARCO MUSEUM TOKYO(渋谷PARCO 4F)
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1 03-6455-2697
期間|2020年7月4日(土)~7月26日(日)
時間|11:00~21:00 ※ 入場は閉場の30分前まで、最終日18時閉場
※感染症拡散予防の観点から、営業時間の変更やご入場制限をさせていただく場合がございます。
※時間指定入場制
問い合わせ先

PARCO MUSEUM TOKYO
Tel. 03-6455-2697
https://art.parco.jp/museumtokyo/

©YAR Courtesy of NANZUKA
                      
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