「INSULA LUX 光の島」アントニ タウレ展覧会がシャネル・ネクサス・ホールで開催|CHANEL
CHANEL|シャネル
幻想的なコントラストと繊細なタッチで光を描く
画家アントニ タウレの日本初個展「INSULA LUX 光の島」
スペイン出身の画家・アントニ タウレの日本初となる個展「INSULA LUX 光の島」が、銀座のシャネル・ネクサス・ホールにて2019年2月14日(木)まで開催中だ。
Text by OZAKI Sayaka
自然豊かなスペイン・フォルメンテーラ島の「光」を描いた作品群
アントニ タウレは、1945年スペイン・バルセロナ県のサバデル生まれの画家。幼少より父親の手ほどきを受け、絵を描き始めた。’70年にバルセロナで建築家資格を取得したのち、’75年にパリのギャラリー・マチアス・フェルで初個展を開催して以来、美術館やギャラリーで数々の個展を開催してきた。また’87年にはフランスの芸術文化勲章を受賞し、世界各地の劇場で舞台装飾も手掛けている。
そのタウレが、今回テーマとしたのは「光の島」。どの作品も、建築物の開口部から差し込む外の光と、冷たい室内空間の暗さが幻想的なコントラストと、繊細なタッチによって表現されている。「光の島」の作品群は、タウレが’70年代から拠点のひとつとしているスペインのフォルメンテーラ島を描いたもの。イビサ島のすぐそばに位置するこの島は、豊かな自然と絶景によって多くの人々を魅了する楽園であると同時に、タウレのインスピレーションの源でもある。「光の島」はタウレが愛する現実の島であると同時にもうひとつの現実ともいうべき、夢や幻想の空間でもあるのだ。
展示作品は、大きくふたつのタイプに分類される。ひとつは最近の絵画作品であり、もうひとつは過去の写真の上に絵を描いたミクストメディアの作品だ。いずれのタイプの作品においても、光と闇、現実と虚構、存在と非存在、 色彩と無彩色、無限と有限の境界が見事に描き出され、何かが起こった後あるいはこれから何かが起こるかのような、不安と期待に満ちた空間が観る者の前に立ち現れる。
写真と絵画のミクストメディアの作品は、タウレの芸術において現実と幻想、現実と表象が常に隣接し、浸透し合っていることを端的に示すものである。写真は確かに存在した過去の断片だが、それに彩色し再構成することによって、過去が現在に蘇るのだ。写真と絵画が相互に干渉するタウレの作品は、過去と現在とが浸透しながら独特のオーラを放ち、鑑賞者はそのオーラに包まれ不思議な感覚を覚えるだろう。