ART|日本初上陸! 「マーク ジェイコブス」作品展の楽しみ方
LOUNGE / ART
2014年12月5日

ART|日本初上陸! 「マーク ジェイコブス」作品展の楽しみ方

スペースコンポーザー谷川じゅんじ氏が特別ナビゲート

ART|日本初上陸! 「マーク ジェイコブス」作品展の楽しみ方

ファッションブランド「マーク ジェイコブス」の歴史をたどる作品展「MARC JACOBS ICONIC SHOWPIECES EXHIBITION」が、4月14日(日)まで、東京・南青山のイベントスペース「IDOL(アイドル)」で開催されている。ブランドの世界観そのままに、遊び心に溢れる空間を手がけたのは、OPENERSでもおなじみのスペースコンポーザー谷川じゅんじ氏。今回は特別に、本展の楽しみ方を谷川氏にナビゲートしてもらった。

Text by TANAKA Junko (OPENERS)

ショーピースを通して、ブランドの世界観を体験

1986年、ニューヨークで産声を上げた「マーク ジェイコブス」は、デザイナーであるマーク・ジェイコブス氏のこだわりや美意識が詰まったファッションブランドだ。いまや世界60カ国に260の店舗を構える世界的なビッグメゾンに成長。ただ美しいだけじゃない、身につける者の心意気を試すかのような、ときに挑発的でときに少女のように“かわいい”世界観が、世界の人びとを魅了しつづけている。

「MARC JACOBS ICONIC SHOWPIECES EXHIBITION」では、マーク ジェイコブスが誇るアーカイブのなかから、厳選された21点のショーピース(2005年以降のランウェイショーに登場したドレス)を展示。このように作品を紹介するのは日本初の試みだという。昨年香港でおこなわれた作品展を見て、「ブランドの世界観を体験するのに、これ以上の方法はない」と感銘を受けたマーク ジェイコブス ジャパン代表の橋田新太郎氏が、本国に働きかけ開催にこぎつけた。

「マーク(・ジェイコブス)らしさを前面に打ち出した空間にしようとおもいました。彼の魅力を伝えるために、いかに余分なモノを排除するか。そこに一番心を砕きましたね」

そう語るのは、本展のプロデューサーとして、「IDOL」の空間を「マーク ジェイコブス」カラーに染めてみせた谷川じゅんじ氏。OPENERS読者のために、本展の楽しみ方をナビゲートしてもらった。

ふたりの才能が出合い、化学反応を起こす!

まず会場に入ってすぐ目に入ってくるのは、1998年からジェイコブス氏とタッグを組んでいるファッションフォトグラファー、ユルゲン・テラー氏の手がけた広告用のキャンペーンビジュアル。ソフィア・コッポラ氏やヴィクトリア・ベッカム氏など、ブランドの愛用者でもあるセレブリティたちの顔が刻まれている。ここは谷川氏が「あえて予定調和にしている」と話すとおり、本展で唯一の“作品展らしい”部分。光は抑え気味で、博物館のようにムーディーな雰囲気を醸し出している。

谷川氏とジェイコブス氏、ふたりの才能が化学反応を起こすのはここから。奥の空間に一歩足を踏み入れると、パッと目が覚めるような明るい光が目に飛び込んでくる。

ART|MARC JACOBS ICONIC SHOWPIECES EXHIBITION 02

キャンペーンビジュアルのなかで特に目立っていたのは、ショッピングバッグのなかから足や顔を出していたヴィクトリア・ベッカム氏(左)。「ヴィクトリアの気分を味わってもらおう」と、会場にはおなじセットで記念撮影ができる特設フォトブースを設置。(右=フォトブースでポーズを取る浜崎あゆみ氏)

「縫製から生地、パターンまで、マークの仕事を余すところなくすべて見せたかった。部屋の真ん中にランウェイのような台を作って、ショーピースを並べたら、上からも下からも明るい光を当てることにしました。こんな風にすべてをさらけ出すことができたのは、完成度の高い彼の作品だからこそ。縫製のライン1本1本まで見えますからね(笑)」

作品のエネルギーが匂い立つ

ムーディーな入口とのコントラストがじつに楽しい演出だ。やや高めの台に陳列された、文字通り光り輝くドレスを眺めているうち、自然と笑みがこぼれだす。それはドレスの隣で、クルクルと回転しながらいろんな表情を見せてくれる、バッグの演出にもおなじことが言える。

ART|MARC JACOBS ICONIC SHOWPIECES EXHIBITION 03

ART|MARC JACOBS ICONIC SHOWPIECES EXHIBITION 04

「博物館でおこなわれる作品展とはひと味ちがう手法を採っています。こんな至近距離で作品を見せるというのもそのひとつ。ガラスケースには入れていません。今回紹介しているショーピースを、作品のエネルギーが匂い立つような距離で見られるのは、おそらく最初で最後になるとおもいます。夜の11時までオープンしているので、この機会に何度も足を運んでもらいたいなとおもっています」

息を吹き返したかのごとく、谷川氏の空間で生き生きとした表情を見せるジェイコブス氏の作品。洋服という言葉では語りつくせない、観る者の心を高揚させるものが確かにそこにはある。

「マークの作品をずらっと並べてみて気づいたのが、とにかく“遊び心”が至るところに組み込まれているということ。『これ着てパーティ行ったら、気分盛り上がるな』っていうのが、男のぼくにもわかる(笑)。不思議と元気をもらいますよね。でもこれだけ“遊んで”いるのに、奇抜にならないところがマークの才能というか。なにより楽しんで作っているのが手に取るようにわかるんです。決まったスタイルというのがないし、みんなの期待をいい意味で裏切りつづけている。そんな彼の生み出した楽しいクリエイションの世界に、ここでどっぷり浸かってほしいですね」

ART|MARC JACOBS ICONIC SHOWPIECES EXHIBITION 05

谷川じゅんじ|TANIGAWA Junji
1965年生まれ。スペースコンポーザー/JTQ代表。「空間をメディアにしたメッセージの伝達」をテーマに、イベント、エキシビション、インスタレーション、商空間開発など、目的に合わせたコミュニケーション・コンテクストを構築。デザインと機能の二面からクリエイティブ・ディレクションをおこなう。主な仕事に、KRUG bottle cooler(2011年)、平城遷都1300年祭記念薬師寺ひかり絵巻(2010年)、パリルーブル宮 国立装飾美術間 Kansei展(09年)、グッドデザインエキスポ(07-11年)、JAPAN BRAND EXHIBITION(07年)、文化庁メディア芸術祭(05-08年)など。www.jtq.jp

MARC JACOBS ICONIC SHOWPIECES EXHIBITION
日程|~4月14日(日)
時間|11:00~23:00
入場料|無料
会場|IDOL(アイドル)
東京都港区南青山5-11-9 B1階
http://idoltokyo.com

マーク ジェイコブス カスタマーセンター
Tel. 03-4335-1711

           
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