青山・キラー通りに「SUS gallery」オープン
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2015年4月28日

青山・キラー通りに「SUS gallery」オープン

エコとデザインのひとつの回答
ステンレスの新たなる可能性を求めて、「SUS gallery」オープン

青山・キラー通りに「SUS gallery」というスペースが4月に誕生した。この空間は、インテリアをインテリア/プロダクトデザイナーの福田晶子さんが担当し、グリーンデザインをガーデン/フラワーデザイナー塚田有一さんが担当する。通りに面した壁面にあしらわれた「wall slope」に誘われて、ギャラリーに入ってみた。

Photo by Jamandfixまとめ=梶井 誠(本誌)

「SUS」というダブルミーニングが示すもの

ギャラリー名にもなっている「SUS」とは、Stainless Used Steelの略号で、ステンレススティールのこと。さらに「SUS」は、Sustainable(サスティナブル)のSUSでもあるそうだ。私たちの生活に数多く使用されているステンレスは、じつは高い再生利用率を誇り、環境への負荷を最小限に抑える金属として注目されている。その素材を用いて、クリエイティブで持続可能なライフスタイルの提案をするのが、この「SUS」のプロジェクトであり、オリジナル商品の開発・提案も行っていくという。

ガーデン/フラワーデザイナーの塚田有一さん(左)とインテリア/プロダクトデザイナーの福田晶子さん(右)

──ギャラリーをオープンさせて反響はいかがですか

福田 ステンレス自体を好きな方が多いのには驚いています。通りの壁面緑化の「wall slope」を見て入ってこられる方もいて、お問い合わせもいただいています。

塚田 ここに「wall slope」を設置してものを見てもらいながらコンセプトを話すと、「なるほど!」と手を打っていただけることがうれしいです。

福田 とくに年配の女性は立ち止まってずっと見ていますよ。

エコとデザインのひとつの回答<br><br>ステンレスの新たなる可能性を求めて、「SUS gallery」オープン

「wall slope」

──展示されているプロダクトは独特のデザインですね

福田 ここにあるlimbgreen(リムグリーン)のオリジナル花器やプランターは、デザインやスタイルにこだわるというより、植物に手をかける行為を楽しむためのものです。よく「植物は好きだけど枯らしちゃう」という方がいますが、そういう人にもっとポジティブに関わってもらいたいという思いもありますね。

塚田 この花器やプランターは「インドア・ガーデンファニチャー」と呼んでいます。ネガティブな印象のある“排水”を前に打ち出して、植物との関わりをもっともってもらう。増え続ける高層マンションやオフィスの室内で植物を楽しんでもらうという可能性も広がる商品です。

福田 室内で植物と一緒に暮らすには、排水が大きなネックになります。それをバルブをひねったり、排水皿を設けたり、コルク栓を抜いたりして、室内で水を与え、水切りもできる“コミュニケーションがとれるデザイン”にしています。

──ステンレスに着目したのは?

福田 ステンレスは、錆びない、錆びにくいのがいちばんの魅力で、回収システムが確立している循環再生型で、長持ちして、経年変化が比較的少ない素材です。そのうえ、錆びない素材の中では溶接ができるし曲げられるのも特徴なんです。この「SUS」プロジェクトに関わる前から木や金属は扱っていましたし、この「SUS」の代表の海野裕さんと、新潟県燕市でステンレスなどを金属のリサイクル事業を手がける恒成株式会社さんとの出会いも大きかったですね。

塚田 ステンレスは水や土との相性もよく、素材のグレードや加工性も高い。そのステンレスを中心に、ブリキやスチールなどのバリエーションもあって、室内の雰囲気に合いつつ長く使えるものにしています。

福田 オリジナルの花器には、ステンレス、ブリキ、スチールと、ナラ材や家具屋からでる半端材、ヒノキの間伐材などを組み合わせています。ステンレスでもさまざまな加工からいろんなことができますし、これからは樹脂や紙などにも挑戦していきたいですね。

塚田 新しい素材はもちろん、イメージが確立している素材の新しい使い方も試みたいですね。

福田 欧米の人が石や木のメンテナンス意識が高いのにくらべて、日本人が素材に対する意識があまりないように感じます。建築の新建材など手入れの仕方がわかりません。

塚田 なるべく楽なほうへと、買い換えることにいきすぎてしまったんでしょうね。

SUS gallery

SUS gallery

SUSギャラリーで感じてほしいこと

福田 植物は所有するものでなく、手にしたときから関わりがはじまるという意識が生まれるデザインやプロダクトになっています。植物とコミュニケーションすることで、人は癒されていくでしょうし、暮らしのなかに植物を取り入れて、触ってもらったり、楽しくなってほしいですね。

塚田 この空間も福田さんが手がけものですが、ものづくりを大事にしていることを感じてほしいですね。気持ちを感じてもらえれば、植物と暮らしの可能性が広がっていくと思います。

福田 花器やプランターを見た人によく言われる感想が「スケール感が大きいものが多いね」という声なんですが、たしかに家庭に置くにはちょっと大きいかもしれません。でも、植物のためのサイズ感や、素材の加工性とのバランスはとてもとれています。空間のなかに演出したときはとても生きている大きさになっています。

塚田 この大きさじゃないと出ない質感があります。プランターの価格としてはちょっと高いけど、「インドア・ガーデンファニチャー」、家具としてみてもらえればと思いますね。

──ありがとうございました

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Photo by MASAYUKI HAYASHI

SUS gallery
住所│東京都渋谷区神宮前3-1-27 ファミールグラン神宮外苑前1階
でんわ│03-6662-6312
営業時間│12:00~18:00
定休日│日・月曜日
公式サイト│http://www.sus-gallery.jp/

           
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