NEW CREATOR’S FILE Vol.10 ヤブタ オサミ|Photographer
NEW CREATOR’S FILE Vol.10
ヤブタ オサミ|Photographer
カメラマンになろうと思ったきっかけは?
『TimeLife』の朝鮮戦争時代のドキュメンタリーポートレート、
映画「The Killing Fields」(1984) を観て。
プロを実感した仕事は?
90年ごろロサンゼルスでHerb Rittsの撮影をみて、目で見た光とモノクロの写真になったときの光のちがいを感じた。
自分の作風についての自己解説をいまの時代感の人間をだしたい。ファッションやグラビア、ポートレートなどのジャンルを超えた“写真”で。
自分のライバル(カメラマンに限らず)
ライバルは、いません。あまり人と自分を比較しないようにしてます
これから、こんな仕事をしていきたい
具体的な仕事よりは、もっともっと写真を撮りたい! 写真を撮ることを通して、いろんな人に会いたい。
作品を見たオウプナーズ読者にひとこと
トウキョウバニーガールズを直感で見てください。難しい写真はありません。 何度も見てください。 そして、好きな写真があったら、僕はうれしいです。 きっとあると思います
ヤブタ オサミ(YABUTA Osami)
埼玉県出身
1967年 埼玉生まれ
1992年 L.A Harbor College中退
1992年 斉藤一男氏に師事
1995年 フリー 1997年 ベースをNYに移す
2002年 帰国 2008年 トウキョウバニーガールズを出版
使用カメラ
今回のトウキョウバニーガールズは、すべて、
リコー GR-1V, GR-21
コダック Tri-X 400
STAFF
styling by
Michiko, Keiko Hitotsuyama(Femme), Aya Kurosaki, Yuka Ogura, Aya Goto, Mai Fujimoto
hair&make by Masumi Kikuchi
models by 70 girls
special thanks by Hideya Suzuki, Keisuke Nakagawa, Yoshiteru Kataoka, Hiroki Oomine
他
www.tokyo-bunnygirls.com
www.osamiyabuta.com
reference@myway-inc.com
写真集『Tokyo Bunny Girls』
薮田修身
3500円(税込)
4月13日発売
マイ・ウェイ
今の東京の空気感と女の子の今しかない瞬間
カメラを挑発的に見つめる女性もいれば、甘えるような目線の女性もいる。身体の一部がフレームからはみだしている女性もいれば、ふたりで絡みついた姿が印象的な女性もいる。被写体の彼女たちはそれぞれ若い色気を発散してはいるが、しかしなぜか彼女たちはみんなバニーガールの耳をつけている。
『Tokyo Bunny Girls』。そのタイトル通り、東京を舞台とし、夜の道路脇や公園、ホテルの一室やクルマの中で、70人のバニーガールの格好をした女性たちが写し出された写真集だ。
しかしページをめくっていくと、そのひとりひとりがもっている可愛らしさや意志の強さ、はみ出るようなエネルギーが伝わってくる。「全員がバニーガール」というのは、わかりやすさとしてのアイコンであり、それゆえに、それぞれがこれほどにちがい、これほどに魅力的なのかということに、逆に気づくのである。
薮田修身自身、「撮っているものはバニーガールだけど、ポートレートに近いものにしたかった」と話しているが、この東京で生きる女の子たちひとりひとりのいま、は、いまの東京でしか撮れない。しかもここに写っている女の子たちは、年齢的には10代から20代前半まで。人間的にはいまだ未完成で、本当にその人自身の味わいや個性が滲み出てくるのはもう少し時間がかかる年代である。しかし、それゆえ、若いからこその奔放さや恥じらいがあり、そういう危うい女性たちの季節が、バニーガールという制服的なアイテムを与えることで、より露になってくるのだ。
そういう彼女たちに、カメラを通して向き合ったとき、そこにはいまの東京の空気感と女の子のいましかない瞬間が必然のように写し撮られる。
写真はすべてモノクローム。女性らしいやわらかさを捉えながらも、その一色の世界には、このときを留めておきたいという想いと、撮った瞬間から儚く過ぎ去っていくものへの切なさ、それゆえの愛おしさが見え隠れするのだ。
写真を撮って別れたあとは、もうちがう顔になる女の子たち70人。手元に残った耳をつけた女性の写真は、たった一夜の夢の残像なのかもしれない。