松浦俊夫|ステップキッズ&ピーナッツ・バター・ウルフ来日インタビュー!
松浦俊夫|from TOKYO MOON 11月13日 ON AIR
来日インタビューが実現
!
ステップキッズ&ピーナッツ・バター・ウルフ(1)
日曜の夜、上質な音楽とともにゆったりと流れる自分だけの時間は、おとなたちの至福のとき。そんな豊かな時間をお届けするのは、DJ松浦俊夫によるラジオプログラム『TOKYO MOON』──。彼が世界中から選りすぐったすばらしい音楽や知的好奇心を刺激するおとなのためのトピックスを、毎週日曜日Inter FM 76.1MHzにて19時からオンエア。ここでは、毎週オンエアされたばかりのプログラムをお届けします。今週は、バンド The Stepkids(ステップキッズ)のDan Edinburg(ダン・エディンバーグ)とTim Walsh(ティム・ウォルシュ)、彼らの所属するインディペンデントレーベル Stones Throw(ストーンズ・スロウ)のオーナー Chris Manak a.k.a. Peanut Butter Wolf(ピーナッツ・バター・ウルフ)が遊びに来てくれました。
文=松浦俊夫
ジャイルス・ピーターソンも注目する話題の3人が登場!
今回はロサンゼルスを拠点に独自性の強い音楽を発信しつづけているインディペンデントレーベル Stones Throw(ストーンズ・スロウ)から良質のソウルアルバムを発表直後に来日したバンド The Stepkids(ステップキッズ)のメンバーと、レーベルオーナーであり、みずからアーティストとしても活動するChris Manak a.k.a. Peanut Butter Wolf(ピーナッツ・バター・ウルフ)をゲストに迎え、その独特のサウンドづくりから影響を受けた音楽、そしてレーベルのこれからなどについてうかがいました。今回、時間の関係でオンエアにはなかった対訳もOPENERSでは掲載しています。
REVIEW|TRACK LIST
01. Teebs / LSP (Brainfeeder)
02. The Stepkids / Shadows On Behalf (Stones Throw)
03. The Stepkids / La La (Stones Throw)
04. The Stepkids / Cup Half Full (Stones Throw)
05. Bill Evans Trio / Beautiful Love (Riverside)
06. J Dilla / People (Stones Throw)
07. Quasimoto / Jazz Cats Pt. 1 (Stones Throw)
08. Aloe Blacc / Gente Ordinaria (Stones Throw)
09. Run-D.M.C. / Sucker M.C.'s (Profile)
松浦俊夫|from TOKYO MOON 11月13日 ON AIR
来日インタビューが実現!
ステップキッズ&ピーナッツ・バター・ウルフ(2)
東京はとても反応がよく、思い出に残るショウになりました
──先日、初の東京公演を終えたばかりですが、お客さんの反応ふくめ、感想は?
ダン はじめに、お客さんが僕らの音楽を深く理解してくれていたことに感激しました。いつもなら、はじめての土地ではなかなかフィードバックをもらえないんだけど、東京にかんしてはとても反応がよく、それを自分たちも感じ取ることができたことが本当にうれしかった。思い出に残るショウになりました。
──これまでもそれぞれミュージシャンとして活動していたということですが、ステップキッズとして活動をはじめたきっかけとは?
ティム それぞれがボーカルも作曲もしてきて、いろいろな楽器も弾ける3人なので、レコーディングはしていなかったけど、以前からセッションすることはあったんです。リーダーがひとり存在するという形式ではなく、それぞれがボーカルも作曲も作詞もおこなう、というコンセプトのもと、グループを作りました。
セカンドアルバムの制作にはもう取りかかっています
──ストーンズ・スロウからデビューすることになった経緯とは?
ピーナッツ・バター・ウルフ ロングビーチ在住のDJ兼、音楽業界で活躍するスコッティ・コーツという人物からストーンズ・スロウのスタッフに音源がわたったことによって彼らと出会ったというのがきっかけです。
──1960年代から70年代のソウルやロックのフィーリングがありながら、21世紀の音楽に進化させた音楽だと感じているのですが、影響を受けたアーティストは? また、ステップキッズの音楽のコンセプトとは?
ダン いろんな音楽を吸収して、ほかのアーティストにはないオリジナルなスタイルを作る、というコンセプトからはじまりました。影響を受けたアーティストはたくさんいますが、とくにSun Ra(サン・ラー)、Ornette Coleman(オーネット・コールマン)、Stravinsky(ストラヴィンスキー)、Beethoven(ベートーベン)、Olivier Messiaen(オリヴィエ・メシアン)など、やはり独自のスタイルをもつアーティストに影響を受けました。
──先日アルバムがリリースされたばかりですが、つぎのプロジェクトはもうスタートしている?
ダン セカンドアルバムの制作にはもう取りかかっていて、すでに6、7曲は仕上がっています。今回のアルバムのコンセプトにつづき、さらにあたらしい音、ほかのアーティストにはないサウンドを作ろうと思っています。それがリリースされたら、日本もふくめまたツアーでいろんな土地に行けたらうれしいな。
松浦俊夫|from TOKYO MOON 11月13日 ON AIR
来日インタビューが実現!
ステップキッズ&ピーナッツ・バター・ウルフ(2)
ヒップホップをベースにいろんなジャンルの音楽をリリースしたい
──1996年にレーベル「ストーンズ・スロウ」を立ち上げたわけですが、個人的にはレーベルに対し、アメリカらしい部分も感じつつ、どこか独特な存在感を感じているのですが、スタートのきっかけは?
ピーナッツ・バター・ウルフ 当時、ニューヨークやロサンゼルスには音楽レーベルがたくさんあったけど、僕が住んでいたベイエリアにはあまりなかったんだ。でも才能のあるラッパーやプロデューサー、DJたちはいたから、彼らが活動できる環境を作りたかったというのがひとつ。もうひとつは、当時のパートナーだったラッパー・MCのカリズマ……もう亡くなってしまったんだけど、彼と一緒に制作した曲を自分のレーベルから出したかった。このふたつが大きな理由。
──レーベル立ち上げから15年。Mayer Hawthorne(メイヤー・ホーソーン)やDam-funk(ディム・ファンク)、Aloe Blacc(アロー・ブラック)、そしてステップキッズの登場など、時代の変化とともにレーベルからリリースされる音も変化していますが、そうした変遷についてどう思われていますか?
ピーナッツ・バター・ウルフ 10代でレーベルをスタートさせた90年代はヒップホップが大好きで、Cold Chillin' Records(コールド・チリン・レコード)やDef Jam Recordings(デフ・ジャム・レコーディングス)といったヒップホップレーベルに憧れてレーベルをはじめたところもあったので、メインはヒップホップ音楽で、そういったアーティストも多かった。でも僕自身、ソウルやジャズをはじめ、いろんな音楽を聴いてきたし、ヒップホップというのは、いろんなジャンルが混ざり合って構築される音楽だと僕は思うから、型にはまらず、ヒップホップをベースにいろんなジャンルの音楽をリリースすることでレーベルのカラーを作っていければと思ってる。なにより自分がリリースしたいと思うものをリリースする、というのが強いコンセプトかな(笑)!
運命の一曲!
──自分の人生を変えたといえる一曲を選ぶとしたらなんですか?
ダン Bill Evans(ビル・エバンス)の「Beautiful Love」。ジャズピアノのレッスンをしていたときにこの曲を聴いたのですが、ジャズピアノの聴き方が変わったというか、ジャズミュージックの美しさに目覚め、のめり込んでいくきっかけになった曲です。とくに作曲面で大きく影響を受けて、ただ技術的な部分を表現するのではない作曲の仕方だったり、ミュージシャンとしての考え方をがらっと変えてくれた一曲です。
ティム Kraftwerk(クラフトワーク)の「NUMBERS」。このアルバムのすべてが好き。
ピーナッツ・バター・ウルフ 一曲に絞るのはすごく難しいけど、まず挙げるのはMarvin Gaye(マーヴィン・ゲイ)の「what’s going on」。これは僕が3、4歳のころに毎週土曜日の朝6時から放送されていた子ども向け番組のオープニングでかかっていた曲なんだけど、これを聴くのが楽しみで毎週早起きしていたんだ。それからRUN DMC(ランDMC)の「Succer MC’s」。サンプリングやミックスなど、曲の作り方がフレッシュで、とても印象的だった。
──ありがとうございました。
松浦俊夫『TOKYO MOON』
毎週日曜日24:00~24:30 ON AIR
Inter FM 76.1MHz
『TOKYO MOON』へのメッセージはこちらまで
moon@interfm.jp
Inter FM 76.1MHz
www.interfm.co.jp