萩原輝美|3人の日本人デザイナーをレポート
萩原輝美のファッションデイズvol.115
「アンダーカバー」「アンリアレイジ」「ファセッタズム」
3人の日本人デザイナーをレポート
リアルクチュール、モダンクチュール…オートクチュールの技と質がプレタポルテの舞台に広がっています。クチュールとは距離をおいたリアリティーで勝負してきた東京ファッションにもクチュールにつながる質感が出はじめています。そんな流れを象徴する3人のデザイナーをレポートします。
Text by Hagiwara Terumi
「やっぱりパリは最高の舞台」アンダーカバー
「パリコレクションはデザイナーにとっての最高の舞台です」アンダーカバーの高橋盾さんはそう語って2年間お休みしていたパリコレを再スタートしました。パリコレはプロが集まるビジネスの場。ファンや友人からは聞かれない、厳しい評価を下される場。その緊張感はほかにはないもの。2015年春夏コレクションのテーマは「PRETTY HATE BIRD」です。チュチュをはいた白鳥から恐(こわ)かわいい黒鳥も登場しました。繊細なチュールに刺しゅうを重ねたドレスにはトレンチジャケットやライダースを合わせます。ロマンティックでリアル。アンダーカバーの世界が広がりました。
東京に続くサプライズに挑んだアンリアレイジ
「川久保玲さん、高橋盾さん、尊敬する二人のデザイナーが発表するにはきっと意味があるはず。その意味を探りたかった」念願のパリコレデビューを果たしたアンリアレイジの森永邦彦さんです。舞台でライトを当てプリントを浮かび上がらせるモノトーンの服を登場させて、東京に続くサプライズを披露。翌日にはセレクトショップ“レクレルール”でアーカイブ作品を見せるレセプションも行いました。
ストリートなのにラグジュアリーなファセッタズム
パリが終わると、つぎは東京コレクションです。東京コレクションのトリを飾ったのは人気の“ファセッタズム”。メンズが先行していたブランドですが、最近はレディスでも存在感を見せています。ストリートなのにラグジュアリーなコートやジャケット。羽やレースなどのデイテール使いが高級感を出しています。造花のイヤーカフにひとめ惚れ、発注しちゃいました。
萩原輝美|HAGIWARA Terumi
ファッションディレクター
毎シーズン、ニューヨーク、ミラノ、パリ・プレタポルテ、パリ・オートクチュールコレクションを巡る。モード誌や新聞各誌に記事・コラムを多数寄稿。セレクトショップのディレクションも担当。
オフィシャルブログ http://hagiwaraterumi-bemode.com/