ステラ マッカートニーがカシミアについて考える|STELLA McCARTNEY
STELLA McCARTNEY|ステラ マッカートニー
ステラ マッカートニーが考えるカシミアの抱える問題
カジュアルなカシミア商品が手頃な価格帯の商品として大量生産されている昨今、カシミアの世界的な需要の増加にともなうカシミアヤギの増加は、モンゴルの草原の破壊につながっている。多大な影響を与えると言われるカシミアの生産を、深刻な環境問題と捉えたSTELLA McCARTNEY(ステラ マッカートニー)は、ニットウェアコレクションでのヴァージンカシミアの使用を中止し、イタリアで生産時に出る繊維廃棄物を再生して作ったカシミアを使用することを決定。キャンペーンミューズのモデルのナターシャ ヴォジョノヴィッチが、ニットウェアを纏いながら、ステラ マッカートニーの再生カシミアについて語ってくれた。
Text by OPENERS
ラグジュアリーな繊維のカシミアがモンゴルに与える影響とは
カシミアは、STELLA McCARTNEY(ステラ マッカートニー)が使用する自然素材の中でも環境での影響が高いと言われている。
ステラ マッカートニーでは環境負荷を軽減するための新しい方法をつねに模索し、その結果、ニットウェアコレクションでのヴァージンカシミアの使用を中止。その代用として現在はイタリアで生産時に出る繊維廃棄物を再生して作った「再生カシミア」を使用すると発表した。
知っているだろうか。1着のカシミアセーターを製造するためには、4頭のカシミアヤギを必要とする。それに対し、1頭の羊からは5着分のセーターを製造することができる。そのため、カシミアは昔からラグジュアリーな繊維とされてきた。しかしカジュアルなカシミア商品が手頃な価格帯の商品として大量生産されている今日では、世界的な需要の増加にともなうカシミアヤギの増加は、モンゴルの草原の破壊につながっている。
自然の草地が広がる寒冷地モンゴルは、歴史的にカシミアヤギの理想的な生息地である。世界最高級繊維のひとつであるカシミアを生み出すヤギが育つのに最適な地域なのだ。
しかし、実はカシミアヤギは草原にとっては優しい生き物ではない。放牧されたカシミアヤギは貪欲に草を食べつくし、根ごと草をむしり取ってしまうから。また、ヤギの鋭いひづめが土壌の表面に突き刺ささることで地表が破れ、強風が吹くと表土が運び去られてしまう。1990年代以降、モンゴルにおけるカシミアヤギの頭数は5倍にまで膨れ上がり、カシミアの生産は深刻な環境問題とされている。増加の影響で、かつて豊かだった草原の砂漠化が進むからだ。
国連の開発計画によると、モンゴルの土地の90%は脆弱な乾燥した土地であり、砂漠化進行の脅威が日々深刻化していると発表された。
ステラ マッカートニーにできること
これを受けて、環境負担を軽減するための新しい方法を常に模索しており、その結果、ニットウェアコレクションでのヴァージンカシミアの使用を中止した。
その代用として「Re.Verso™」と呼ばれる再生カシミア糸をヴァージンカシミアに代用。生産行程で出る未使用のまま廃棄される素材を使ってイタリアで生産された生地は、ヴァージンカシミアに比べて環境負荷を92%軽減できる。
2015年のカシミア使用量は、全原材料のうちたった0.13%だったが、それがEP&L(環境損益アカウント)を用いて算出された総環境負荷の25%を占めていた。ステラ マッカートニーでは、製品に再生カシミア「Re.Verso™」を使用することで、カシミアの与える環境負荷が2016年にはわずか2%になると推測。
さらに、すでに砂漠化してしまったモンゴルの土地を再生する活動をサポートするためステラ マッカートニーでは、Sustainable Fibre AllianceとWildlife Conservation Societyといったパートナーに協力している。
キャンペーンミューズのモデルのモデルのナターシャ ヴォジョノヴィッチが、ニットウェアを纏いながら、ステラ マッカートニーの再生カシミアについて語ってくれた。
credit:
Model - Natasa Vojnovic
Director ( Film) – Daniel Brererton
Production – Studio Lisbon
Photographer – Ronan Gallagher
www.stellamccartney.com
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