萩原輝美 連載 vol.150|2016-17年秋冬パリ・オートクチュールコレクションのエレガンス
FASHION / WOMEN
2016年7月21日

萩原輝美 連載 vol.150|2016-17年秋冬パリ・オートクチュールコレクションのエレガンス

2016-17年秋冬パリ・オートクチュールコレクション

中世の貴族服が並ぶヴァレンティノ、モノトーン中心のディオール

永遠の美しさを象徴するのがエレガンス。今シーズンのオートクチュールもエレガンスベースのクラシックスタイルがずらりと並びました。とはいえ、エレガンスも進歩しないわけではありません。時代に沿いながらゆっくりと、しかし確実に進化します。ヴァレンティノは400年前中世のラッフルスタイルをベースにしながらもバルーンスカート、ロングブーツで変化を出しました。ディオールもあのバージャケッとをベースにオーガンザのスカートやワイドパンツで新しさに挑みました。

Text by Terumi Hagiwara

長く垂らしたボータイシャツにロングスカート
ペタンコロングブーツを合わせて――ヴァレンティノ

2016-17年秋冬パリ・オートクチュールコレクションです。

5日間のクチュール期間中に、デムナ・ヴァザリアがデザインするヴェットモンは2017年春夏プレタポルテコレクション(通常9月)を発表しました。最終日を飾るハイジュエリーの展示会は、9月のヴィエンナーレ(総合展示会)に出展しないため力の入った発表になりました。ショーはアジア人デザイナーの参加が多くなり、プレゼンテーションで見せる新人デザイナーも2割程増えました。

トリを務めるのは、完璧なコレクションを発表し続けるヴァレンティノです。今年はウイリアム・シェイクスピア没後400年を迎えます。そのシエイクスピア時代と登場人物をイメージした中世の貴族服が並びます。小さなノーカラージャケットから覗く幾重にも重なる白のラッフル衿が目を引きます。スリムなパンツをロングブーツにインしたマスキュリンスタイルはドレスの多いヴァレンティノのコレクションでは新鮮です。デザインはいたってシンプル。なのに新しい。パールやレザーを使ったいぶしゴールドのアクセサリーが女らしさを演出します。甘いレースもなくスリットにボー、レースアップにメッシュなど辛口ディテールが目立ちます。

長く垂らしたボータイシャツはひざ下丈のフレアースカートを合わせて着てみたい逸品です。プレタで登場したマウンテンブーツに加え、今シーズンのぺたんこロングブーツも人気が出そう。フィナーレはヴァレンティノレッドのガウンが登場しました。翌日、8年間デュオでデザイナーを務めたマリア・グラツィア・キウリさんがメゾンを去り、ディオールのデザイナーに就任することが発表されました。ディオールにも期待します。

ロングスリーブニットにワイドパンツ  
トングサンダルでキメル――ディオール

ディオールは、アトリエチームの二人がデザインするコレクションを小さなサロンで発表しました。定番のバージャケットをベースにオーガンザを重ねたスカートやワイドパンツを合わせます。袖やスカートにボリュームを加えて黒、白中心のクリーンなコレクションです。トングサンダルを合わせてリアルなコーディネイトです。ロングスリーブのニットはワイドパンツと合わせてこの秋一番のおすすめアイテムです。

萩原輝美

萩原輝美|HAGIWARA Terumi
ファッションディレクター
毎シーズン、ニューヨーク、ミラノ、パリ・プレタポルテ、パリ・オートクチュールコレクションを巡る。モード誌や新聞各誌に記事・コラムを多数寄稿。セレクトショップのディレクションも担当。
オフィシャルブログ http://hagiwaraterumi-bemode.com/

           
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