萩原輝美 連載 vol.136|甘く、辛く…エレガントに。
注目デザイナー、デムナ・ジバサリアとパリコレ常連になったサカイ
この春夏は軽快でモダン、しかもエレガント
2016年春夏パリコレクションの話題をひとり占めしたのがドイツ人デザイナー、デムナ・ジバサリア。パリコレクションわずか1年でバレンシアガのデザイナーに抜てきされた34歳。見慣れた服を一瞬にしてアバンギャルドに変身させる手法に多くのジャーナリストが目を見張りました。もうひとつサカイの爆進にも注目です。
Text by Terumi Hagiwara
甘く、辛く…エレガントに。サカイの爆進が止まらない。
パリコレクションの常連になったサカイの爆進が止まりません。ニットと布帛のコンビネーション、編地から広がるキュプラのフレアートップなど“サカイ風”ディテールが広がっています。
秋冬はちょっと重すぎるイメージだったのですが、この春夏は軽快でモダン、しかもエレガントです。
キッチュなアニマルプリントも黒のトリミングやリブがパンチを利かせてモダンに収められています。プリント柄はレースと重なり、ギャザーを寄せることであたらしい柄を引き出します。横につなげた白のリボンテープドレスは、リボンがはみ出して自在に揺れています。中から黒のレースをはめたピンクのプリーツドレスがセクシーです。
甘く、辛く、優しく、シヤープに何層にも重なるドレスは着こなしひとつでまるでちがう表情をつくり出します。バンダナ柄にレース、グアテマラ風ボーダー柄にエンブロイダリーとリアルとフェミニンが錯綜します。
注目デザイナー、ヴェットモンのデムナ・ジバサリア
コレクション3日目に発表したヴェットモンが話題になったかと思えば、その直後にヴェットモンのデザイナー、デムナ・ジバサリアがバレンシアガのあたらしいアーティスティック・ディレクターに就任という仰天ニーュース。パリコレデビュー3シーズン目。デムナ・ジバサリアはグルジア系のドイツ人、34歳です。コレクションは、どこか見慣れた服を歪ませてあたらしいプロポーションを生み出しています。懐かしいプリントやフリルづかいが大胆。目が離せないデザイナーです。
萩原輝美|HAGIWARA Terumi
ファッションディレクター
毎シーズン、ニューヨーク、ミラノ、パリ・プレタポルテ、パリ・オートクチュールコレクションを巡る。モード誌や新聞各誌に記事・コラムを多数寄稿。セレクトショップのディレクションも担当。
オフィシャルブログ http://hagiwaraterumi-bemode.com/