ジョン ロブのビスポーク詳細レポート
JOHN LOBB BESPOKE
主張のある美しいビスポーク
ジョン ロブ丸の内店で行われたビスポークオーダー会に、ユナイテッドアローズ会長の重松 理さんが“トライオン(フィッティング)”に来られるときいて、取材と撮影をさせていただいた。
フランスから仮縫い状態の靴をもってきたのは、フランソワ・マドニーニさん。完成品とおなじ革でつくった靴を、専用カッターでカットしてフィッティングしていく。やはり、世界でいちばん贅たくなオーダー靴だ。
Text by OPENERSPhoto by Jamandfix
削る、絞りあげる、伸ばすのミリ単位の攻防戦
オウプナーズの名物連載のひとつである重松 理さんの「足跡」─私が愛した靴を語る─を読むほどに、重松さんの理想とする靴のスタイルがわかってくる。とくに連載の「1足目」に書かれているように、幅が狭く非常に細く、ロングノーズの貴族的な靴。重松さんに会って話をきいても、その理想はぶれることがない。
今回のジョン ロブのビスポークオーダーには、その理想とする靴を見本としてフランソワ・マドニーニさんに預けた。
「重松さんは靴を熟知していますし、ジョン ロブがお好きであることもよく知っています。このオーダーでは“これをつくってほしい”とサンプルを持参されました。私たちはジョン ロブのテイストを損なうことなく、彼のリクエストに応えなければなりません。きょうのトライオンでさらに細部を話しあって、理想の靴にちかづけたいと思います」とフランソワさん。
実際のフィッティングでは、まず仮縫い状態(といってもそのままでも仕上げられる最上級の革を使用)の靴を両足とも履き、当たる箇所をマーキングし、トゥ、かかと、サイドなどにカッターを入れて、中の状態を確認し修正していく。
「トゥのシェイプを5ミリほど先を伸ばしましょう」
「ウエストのシェイプの食い込みがもっとあってほしい」
「ラスト(木型)はいつもより細く長くとっています」
感覚と技術がせめぎあう攻防戦が足もとで繰り広げられていく。
片足をつくるのに50時間を費やします
フランソワさんは「ジョン ロブのビスポークの素晴らしい点は、私たち職人と顧客のみなさまとが徹底的に話をしながら一足の靴をつくりあげていくところでしょう。ですからそこにはパッションが感じられるし、『それはジョン ロブの注文靴ですね』と見たらわかるのです。
オーダーですから、どんなサイズにも対応できるのはもちろん、きれいですらっと見える靴、その人のプロポーションに似合った靴をつくることができます。
オーダーのプロセスでいちばん大事なのはメジャーメント(計測)です。まず最初に紙の上に足を載せていただいて細かく測っていきますが、私はお客さまの足のカタチをよく見て、この人にはどんな靴がいいのか、ビジュアルをイメージして、それから実際に測定していきます。さらに、仕事で履くのか、プライベートでも履かれるのか、どんなレザーで、デザインでと、要望をおききして、約1時間のメジャーメントは終了します。
つぎに、仮縫いのトライオンになります。通常は透明のサンプルをためし履きして、気になる部分にマーカーを入れて、完成品に反映させていきます。
重松さんの靴は、とくに求めているものが難しいので、フィッティングと再度メジャーメントを重視して、要望をお聞きします。
さらに、完成品のデリバリーの前に、デザインの確認をいただくため、片足だけつくってご覧いただいて、もう片足を作成します。
本当に求めていらっしゃるデザインに仕上げるために、職人も妥協はしません。
ぜひ、ジョン ロブのオーダーのよさを多くのみなさまに味わっていただきたいと思います。
多くの方のリクエストを聞くことで、私たちのスキルも向上していきます。ぜひご来店ください。」
と、職人としての矜持をみせる。
ジョン ロブ「ビスポークオーダー会」予告
オーダー会は完全予約制ですので事前予約が必要です
ジョン ロブ丸の内店│3月18日(火)~22日(土)
ジョン ロブ心斎橋店│3月23日(日)~24日(月・祝)
ザ・ソブリンハウス│3月18日(火)~22日(土)
問い合わせ先│Tel. 03-6267-6011