E, MARINELLA｜100周年を迎えたマリネッラ

E, MARINELLA｜マリネッラ

イタリア、日本でおこなわれたイベントをレビュー

ネクタイブランド「マリネッラ」の100年

2014年、イタリアが世界に誇るネクタイブランド「E, MARINELLA（マリネッラ）」が100周年を迎える。イタリアでは一大イベントとして、盛大なパーティが開かれた。

Text by IWANAGA Morito（OPENERS）

会場は歴史的建造物のナポリ王宮

ネクタイブランドの頂点と言っても過言ではない「マリネッラ」。各国のプレジデントが愛用するそのネクタイの品質は、比類のないものだ。ブランドロゴには、英国王室とブルボン家の紋章が並ぶ。

創業者のエウジェニオ・マリネッラは、自身が34歳だった1914年、メンズファッション界の最先端だった英国のテイストに溢れた“ナポリの小さなロンドン”を作ることを夢見て、ショップをオープンした。

それから100年後が経ったいま、その軌跡をたどる機会が訪れた。

展覧会「一世紀の歴史、100年のスタイル（Un secolo di storia, cento anni di stile）」の会場となったナポリ王宮は17世紀に建てられたもので、ナポリ有数の美術品を所有していることでも知られる。今回、現在は歴史住居博物館として公開されている2階が会場となった。

展覧会の会場となったナポリ王宮

エントランス近くの廊下にはマリネッラ一族や開店当初の店の写真、エウジェニオ・マリネッラがロンドンに買い付けに行った際の各界著名人との写真や、さまざまな新聞に取り上げられた記事、ビル・クリントン元米大統領をはじめとする各国首脳などからの感謝の手紙を展示。ブランドの長い歴史のなかで、大きな信頼と名声を築いてきた真摯な姿勢を証明した。

このほか、過去のオーダー表、生地見本、ネクタイと帽子やサスペンダーといった小物類のアーカイブ、ミシンやアイロンなどの工具も展示された。建物の天井には工房で作業する職人たちの映像が映し出されるなど、ブランドのヒストリーを物語る貴重な資料を、視覚的にも楽しめるさまざまな手法で展開。

展覧会のあとはサン・カルロ劇場に移動し、パーティがおこなわれた。イタリア3大歌劇場のひとつであり、同国ではいまでも使われるもっとも古い劇場として有名なこの場所もまた、記念すべき式典にふさわしい会場といえる。

つづいて、ナポリ王宮の庭に特別に設置された会場にて、約1200人の招待客を招いた盛大なディナーを開催。カンパーニャ州のワインと、モダンに仕上げたナポリの伝統料理がふるまわれた。終盤にはサプライズで、12世紀に建設されたヌオーヴォ城に、マリネッラとネクタイの歴史を描き起こしたショートムービーをプロジェクションマッピングにて披露。そのダイナミックな演出に、会場は歓声で包まれた。

また日本でも10月、イタリア文化会館にてマリネッラの100周年を祝う記念展示「Marinella MUSEO」がおこなわれた。

本国のイベントで展示した資料が持ち込まれ、普段では目にすることのできない貴重な体験を来場者にあたえた。レセプションパーティには、オーナーのマウリッツィオ・マリネッラ氏が来場し、関係者と交流を深めた。