GLCO|注目のアイウェアブランド「GLCO」デザイナー ギャレット・レイト氏来日インタビュー
GLCO|ジー エル シー オー
カリフォルニアならではのリラックスしたライフスタイルの提案
デザイナー ギャレット・レイト氏来日インタビュー!(1)
青山にある洗練されたアイウェアのセレクトショップ『blinc 青山』で、いまもっとも注目されているのが、カリフォルニア発のアイウェアブランド「GLCO(ジー エル シー オー)」だ。デザイナーであるGarret Leight(ギャレット・レイト)氏は、なんとあのOliver Peoples(オリバーピープルズ)デザイナーであるLarry Leight(ラリー・レイト)氏の息子だというから驚きである。そんなギャレット・レイト氏がこのたび来日。ブランドの魅力について語ってくれた。
Text by YANAKA Tomomi
“カリフォルニアライフスタイル”がコンセプト
──ブランドのコンセプトをおしえてください。
“カリフォルニアライフスタイル”がコンセプト。サーフィンを愉しんだり、ビーチでゆっくりリラックスしたり、フリーダムなライフスタイルというか。カリフォルニアはそういう場所なんだ。サーフィンといっても、サーフカルチャーとはまた全然ちがう。カタログやイメージムービーを見れば、カリフォルニアならではの空気感を感じてもらえるんじゃないかな。カタログのモデルも有名人ではなく、全部友達なんだ。みんなヴェニスビーチのレストランで働いてるよ。
誰でも使えるものだからね。有名人にかけてもらってブランドを作りたいんじゃないんだ。軽くて、楽しいもの、シリアスとか、高価なものでなく、カリフォルニアらしい、自然体で生きるライフスタイルを提案したいんだ。
──今回のシーズンテーマは?
今回はリゾートをイメージしたコレクション。海、サンシャイン、ビンテージのクルマ……リゾートシーズンで、みんなどこか旅行に行くだろう? そのためのサングラス、というイメージだよ。シーズンテーマは音楽のときもあれば、アートのときもある。ビューティフル、ユースフル、ナチュラル──そんな “カリフォルニアライフスタイル”というコンセプトをベースに、インスピレーションは毎回いろいろ。今回はテーマがリゾートだから明るい色味を意識しているんだ。とくにグラデーションは今シーズンらしいんじゃないかな。透明感があってきれいだし、軽いイメージで、フレッシュさがある。
いつもはクラシカルな色味がメインだけど、たまにポップな色もね。デザインはクラシックだけど楽しい色、シリアスすぎないようにしたい。若いひとにもかけてほしいからフレッシュなイメージは大事にしたいんだよね。テンプルの細さはほかのブランドのクラシックなアイウェアとの大きなちがいかもね。僕は細いテンプルの方が好きだし、そういうトレンドがくるんじゃないかって思ったんだ。クラシックすぎないというか、軽いからかけやすいし、厚みのある“いかにもクラシックな”ものよりもずっとラフにかけられると思うんだ。
──おもなターゲット層とは?
明確なターゲットというわけではないけど、イメージしているのは30代くらいの若いひとたち。だから値段も手ごろで、リアリティのある価格に抑えている。でもデザイン自体はクラシックだから世代は関係ない。クラシックなデザインは若いひとたちにとっては新鮮だけど、もっと上の世代のひとたちにとっては若いころを思い出してもらえるんじゃないかな。そもそもクラシックなデザインというのは普遍的で、流行に左右されることなく、ずっと愛用できるものだと思うんだ。それはやっぱり父からのインスピレ-ションが大きいと思う。オリバーピープルズはクラシックなデザインが多いからね。
GLCO|ジー エル シー オー
カリフォルニアならではのリラックスしたライフスタイルの提案
デザイナー ギャレット・レイト氏来日インタビュー!(2)
父から学んだことは、デザインに対するパッション
──お父さまはオリバーピープルズのデザイナー ラリー・レイト氏なんですよね。
父のデザインに対するパッションを傍で見てきて、すごく尊敬してる。すばらしいことだと思うんだ。でも昔からアイウェアデザインの世界に入りたいと思っていたわけでもないんだ。大学ではジャーナリズムを専攻していたし、テニスをずっとやっていて、音楽も大好きだった。だから将来はスポーツ選手のマネジメントや、音楽に携わる仕事という選択もあったけど、大学卒業後、父のもとでオリバーピープルズのセカンドライン的コレクション「MOSLEY TRIBES(モズリー トライブス)」に携わり、そこで3年学んだ。それからヴェニスビーチにアイウェアを中心にアパレルアイテムも置いた自分の店を出して、さらにそれから2年後に「GLCO」を立ち上げて、いまのショップができたんだ。
──お父さんから学んだこととは?
父から学んだことは、やっぱりパッションかな。毎シーズン、デザインをすることにわくわくしている。すばらしいよね。父とはアイウェアシーン全体の話、たとえばトレンドとか、経済のこととか。そういった話はするけど、デザインにかんしてはほとんど話さない。彼も現役のデザイナーだからね。父と僕のちがいは、彼はとにかくデザイナーなんだ。だからビジネスのことにはあまり興味がなくて、デザインへのパッションが原動力。
僕の場合はデザインももちろんだけど、“誰かのために”というところが大きい。ヴェニスビーチにショップを作ったのも、そういうショップがなかったからだし、若いひとも気兼ねなく買えるような価格帯のアイウェアブランドもなかった。僕はデザインのすばらしさだけでなく、アイウェアをとおして、ライフスタイルそのものを提案したいんだ。
──カリフォルニアのショップでは洋服やシューズを扱っているそうですが、珍しいですよね。
そうだね、洋服がメインでアイウェアがちょっとだけある、いわゆる普通のセレクトショップはあるけど、アイウェアがメインのセレクトショップはアメリカでも珍しいと思う。ショップはGLCOを中心に、オリバーピープルズや、ビンテージのオリバーピープルズ、ほかにもフランスやドイツの若手ブランドのアイウェアもいくつか置いているよ。アイウェアのセレクトはグローバルだけど、洋服やシューズはすべてローカルのブランドなんだ。若いクリエイターを応援したいんだ。もちろんアパレルのコンセプトも“カリフォルニアスタイル”。白いTシャツとか、黒のシャツとか、ベーシックなものが多い。サングラスに合わせるなら、服はシンプルな方がいい。
ショップのデザインは20年前にオリバーピープルズのショップをデザインしたデザイナーにお願いしたんだ。彼もヴェニスビーチに住んでいるよ。店の前にはポムツリーが並んでいて、バイクとかビーチクルーザーが置いてあったり。サンセットのときは空が紫になる、それが“ザ・カリフォルニア”なんだ。
──今後の展開についてお聞かせください。
『blinc』のように、各都市の一番いいお店を選んで、大事にしたい。売り場が広いとか、そういうことではなくてね。それからアイウェアショップだけでなく、アメリカならバーニーズとかオープニングセレモニー、日本だったらBEAMS(ビームス)やTOMORROWLAND(トゥもローランド)のような、洋服をメインとしたセレクトショップでの展開もしていきたいな。カリフォルニアのショップを世界の都市に? そこまではまだ考えてないな(笑)。いまはやっぱりコレクションを大事にしたい。お店はいつかいろいろ作ってもいいかもしれないけど、デザインとか、コンセプトを大事にしたい。モノを作るだけじゃなくて、ライフスタイルを作っていく、そんなブランドでありたいんだ。
──ありがとうございました。