ポール・スミス コレクションとは何か?
より洗練された、上質の着こなしを求めて…
ポール・スミス コレクションとは何か?
ポール・スミスの歴史は、1970年英国ノッティンガムに、買い付けた服などを販売する店を開いたことに端を発する。卓越した感性とビジネスセンスは、ロンドンのファッション業界で評判となり76年、自らがデザインしたコレクションをパリで発表。これが「ポール・スミス」ブランドの誕生である。その後、ロンドンにショップをオープンし、83年には3号店を出すほどに成長する。そして84年、日本に初上陸することになる。
“英国のクラシックスタイルに、斬新でモダンな味付け”が施された「ポール・スミス」は、瞬く間に人気ブランドになったのはご存じのとおり。次第に時代の新潮流や要請に応えるために、「ポール・スミス ジーンズ」など多様な顔を持つようになっていく。その流れの大きな柱として90年春に誕生したのが、「ポール・スミス コレクション」である。
「ポール・スミス」との大きな違いは、そのものづくりに対するこだわりの深みとグレード。「ポール・スミス」が、“一見してわかるアンユージュアルな個性とユーモアの表現”というマクロ的なものだとすれば、「ポール・スミス コレクション」は、“よくよく見ると、とてつもなく細やかで贅沢なこだわりを発見できる”ミクロ的なものだといえる。
ポール・スミス自らの言葉を借りれば、「最高のものだけを提供するコレクション。常に何か驚きのあるサムシング・スペシャル」を表現しているという。これぞまさしく、さりげなく着こなしの贅を愉しむ、洒脱な大人に相応しいブランドなのである。
こだわりのアイディアを最高の素材と技術で
実は「ポール・スミス コレクション」の構想は、ポール・スミスが長年温め続けてきたものであった。その淵源は、若き日にパリの錚々たる著名クチュールハウスで触れた数々の最高級素材、巧緻かつ高次元のカッティングやテーラリングなどにある。
「ポール・スミス コレクション」が目指したものは、まさしくそんな”ハイ・クォリティ”の世界である。その服はトータルではクラシックでありつつも、“より洗練された、上質の着こなし”を、インターナショナルなエッセンスで構築した、ひと味違う新鮮なものとなっている。
ポール・スミスのこだわり抜かれたアイデアを、最高の素材と最高の技術で形にする…。これは「ポール・スミス コレクション」の物作りの基本スタンスだが、さらにその服を読み解くためには、独自の3つのコンセプトを知っておきたい。それは“ハイ・クォリティ”、“ハンドメイド・フィーリング”、“アーティスティックフィーリング”。
つまり世界最高峰の厳選素材や技術、見えないところにまでこだわった細やかな職人技、英国伝統スタイルに配剤されたアーティスティックな感覚、といった要素が服に凝縮されているのだ。これをプレタポルテ(=既製服)で実現した洗練の極みにも感嘆するが、次回は「ポール・スミス コレクション」のさらなる深淵へと導く、「インディビジュアルオーダー」の魅力溢れる世界へ迫る。