紳士靴の名門「ジョンロブ」がかんがえる“サスティナブル”|JOHN LOBB
JOHN LOBB|ジョンロブ
「NEW CLASSICS」に宿る靴づくりの本質
紳士靴の名門がかんがえる“サスティナブル”
2017年に誕生した「ニュークラシックライン」は、ひとつの革のパーツを大きくとるという、従来の「JOHN LOBB(ジョンロブ)」の製法があったからこそ生まれたコレクション。手の届きやすいプライスながらも、その靴づくりには名門ゆえのこだわりに満ちている。
Photographs by YAMAGUCHI Kenichi(Jamandfix)|Text by ITO Yuji
希少な革を無駄にしない「ジョンロブ」の試み
「ジョンロブ」のプレステージラインは、1足につき、5〜6のパーツでつくられた贅沢な靴として知られている。このパーツの数を少ないと感じたひとは、なかなかの靴好きといえるだろう。というのも一般的な高級靴をつくるのには、だいたい12〜15パターンのパーツが必要とされるからだ。
つまり、一枚の革からキズやダメージのない大きなパーツを取るという手法には、多少なりとも革が余るという一面もある。
しかしながら、革のクオリティそのものは、プレステージラインに使用されるフルグレインレザーと同様。
それを活かしたものが「ニュークラシックライン」なのだ。
小さく革を裁断し、おおむね15のパーツでつくられる「ニュークラシックライン」は、素材、木型や底材は通常のラインと同じものを採用する。製法に関しても英国、ノーザンプトンの自社工房で職人がハンドメイドで縫い上げる。
「ニュークラシックライン」から注目の3足が待望の入荷
革の有効利用から生まれたラインだからこそ、生産は余った革次第で、常時売り場に並ばない希少性がある「ニュークラシックライン」。デリバリーは不定期で年に一回ほどだというが、今回、「TAUNTON(トーントン)」「ADLEY(アドレイ)」「EMBER(エンバー)」の3つのモデルが店頭に揃う。
「トーントン」は美しさに定評のある7000番ラストを使ったモデルで、レザーピースの切り替え部分の重なりで、左右をアシンメトリーに仕上げたデザインが特徴。
「アドレイ」は現代的なビジネススタイルにも合わせやすい、アーモンドトゥが印象的なローファー。エプロンには高い技術の証としてツインステッチがあしらわれており、妥協のない靴づくりにおけるこだわりがうかがえる。
そしてダブルモンクストラップが個性的な「エンバー」は、ほどよいカントリーテイストを感じさせるウイングチップながらも、トゥからヒールにかけて流れるような7000番ラストの美しさを融合したデザイン。こちらも「ニュークラシックライン」特有の左右異なる切り替えの重なりが、クオーターとヴァンプの切り返しに施されている。
これらの靴に共通していえるのは、パーツの数が増えてもなお、変わることのないクオリティの高さ。むしろパーツが多いぶん、そこにデザイン的な遊び心をくわえるあたりのセンスは「ジョンロブ」だからこそ成せる業といえる。
希少なレザーを無駄にすることなく、それをプロダクツとして昇華させる「ニュークラシックライン」の試みは「ジョンロブ」にあらたな魅力をもたらしたといえるだろう。