「MADE IN JAPAN」プロジェクト始動|Ermenegildo Zegna
Ermenegildo Zegna|エルメネジルド ゼニア
ステファノ・ピラーティのデザインを日本の技と素材で表現
進化するクラシコが起こす革新(1)
創業より100年以上もの間、テキスタイルのクオリティを追求し、クラフツマンシップを重んじる「エルメネジルド ゼニア」が今季、革新を起こす。クチュールコレクションのヘッドデザイナーである、ステファノ・ピラーティと日本のクリエーターによるコラボレーションアイテムがついに登場する。
Text by ITO Yuji(OPENERS)
DNAに刻まれるのは、テキスタイルへのこだわり
2014年の春夏コレクションより、クチュールラインのヘッドデザイナーとして、ステファノ・ピラーティを受け入れたエルメネジルド ゼニア。以来、クチュールコレクションは、一躍モードの最前線へと躍り出た。そのデザインに注目が集まっているものの、同ブランドが変わらず大切にし続けるものがある。それがテキスタイルに対するこだわりのDNAだ。
1910年に創業したエルメネジルド ゼニアの服地工場は、「ラニフィーチョ エルメネジルド ゼニア」と呼ばれ、原毛の選択から仕上げまで、全行程が工場内にておこなわれる。その原材料はウール、カシミア、ビキューナなどいずれも最高の天然繊維を原産地で直接買い付けする、ということからも、テキスタイルに対する強いこだわりがうかがえる。
実際、テキスタイルに関しては、つねにより良いものを求め研究が続けられており、クラフツマンシップとテクノロジーのバランスを保ちながら、革新的な素材の開発がおこなわれている。このように、クラシックだけに留まらず、あたらしいものを求め、それを実現してゆくというDNAが、このブランドには刻まれているのだ。
日本のアルチザンたちとのコラボレーションが実現
そのDNAにさらなる化学変化をもたらしたのが、ステファノ・ピラーティの加入である。デザイン、そしてテキスタイルにも強いこだわりをもつ彼が、手掛けるのが「エルメネジルド ゼニア クチュール」であり、そのカプセルコレクションとなるのが「MADE IN JAPAN」プロジェクトなのだ。
これはイタリアと同様にモノづくりへのこだわりをもつ国、日本の文化や伝統と「エルメネジルド ゼニア クチュール」のデザインを融合させる革新的なプロジェクトで、デザインはステファノ・ピラーティが、そして仕立てや素材の製作といったクリエイションを日本人が担当するというもの。
その一例を挙げるとパターン違いのセットアップという、ブロークンスーツを正統派ナポリスタイルで知られるテーラー「チッチョ」が仕立て、シアサッカー素材を使ったプルオーバーシャツはフィレンツェの職人組合からの受賞経験もある山上氏が手掛ける。
この「MADE IN JAPAN」プロジェクトは、「テーラー」「カジュアル」「デニム」「アクセサリー」の4つのラインが用意され、それぞれに日本のアルチザンが持ち得る技術を注ぎ込んだ、革新的なアイテムが登場する。9月5日(土)より店頭にて展開されるので、その魅力にふれてほしい。
Page02. 次世代のリーダーたちに捧げられたコレクションとは?
Ermenegildo Zegna|エルメネジルド ゼニア
ステファノ・ピラーティのデザインを日本の技と素材で表現
Text by ITO Yuji(OPENERS)
進化するクラシコが起こす革新(2)
ピラーティがかんがえる、ニュージェネレーションのための服
クオリティの高いテキスタイルという伝統に、モードという手法を使い、革新を起こしたステファノ・ピラーティが今回のプロジェクトの舞台を日本にした理由は、若手ながらも優秀な技術をもつ日本のアルチザンによって、コレクションにさらなる感度とノウハウを吹き込むためだという。
「MADE IN JAPAN」プロジェクトを遂行するにあたり、ニュージェネレーションにおけるスタイルの在り方を彼は、こう考察する。
「エネルギーに満ちた新しいジェネレーションを担う若者たちにとって、エルメネジルド ゼニアを比類なきブランドとして印象づけるには、研究されたノンシャランを強調すべきだ、と思ったんだ。ある種の人間というのは、着飾ることより、自身の個性を飾るものだから」。
そうした彼らの人物像を研究した結果“控えめで、他者にインスピレーションを与え、エレガントで自分のスタイルをもつ”ニュー リーダーシップ ジェネレーションたちのためにデザインされたカプセルコレクションが完成した。
ホンマタカシ氏がプロジェクトの世界観を表現
今回のカプセルコレクション「MADE IN JAPAN」プロジェクトでは、現代写真家であるホンマタカシによって、そのコンセプトが映像化される。キャンペーンショートフィルムをはじめ、メイキングムービー、そしてポートレートのすべてをホンマ氏が手掛ける。
それぞれの作品には、俳優 加瀬 亮をはじめ、音楽家 渋谷慶一とった日本を代表する次世代のリーダーたち5名が登場。ほかにもビジネス、クリエイションといった異なる分野から総勢5人のキー・オピニオンリーダーが主人公として登場し「テーラー」「カジュアル」「デニム」のなかから、ひとつのカテゴリを体現する。
「エルメネジルド ゼニア クチュール」、日本人アルチザンの技、ホンマタカシのクリエイション、ニュー リーダーシップ ジェネレーションたちによるビジュアルは、どのようなケミストリーを起こすのか、そのあたりも今回のプロジェクトとあわせ、ぜひチェックしてほしい。
次回では、ステファノ・ピラーティ、ホンマタカシ氏の言葉を交えて、「MADE IN JAPAN」プロジェクトのお披露目パーティの様子をお伝えする。
ホンマタカシ
2011 年から 2012 年にかけて、自身初の美術館での個展「ニュー・ドキュメンタリー」を日本国内三ヵ所の美術館 で開催。著書に『たのしい写真 よい子のための写真教室』(平凡社)、近年の写真集に『New Documentary』 (SUPER LABO)がある。2015 年 太宰府天満宮アートプログラム「Seeing Itself-見えないものを見る」を開催。