パリとラコステ、スポーティブ・エレガンスの源流へ(2)|LACOSTE
FASHION / MEN
2015年6月29日

パリとラコステ、スポーティブ・エレガンスの源流へ(2)|LACOSTE

LACOSTE|ラコステ

ローラン・ギャロス ―― クレイコートから生まれた伝説(1)

それは、スポーツウェアとファッションの垣根を軽やかに飛び越える、機能的でエレガントなカジュアルウェア ―― いまでこそ当たり前のように万人に親しまれ、一大トレンドともなっている “スポーツミックス” ファッションは、この「ラコステ」というブランドの存在なくして誕生しえなかったのではないか?

第1回では、それほどまでにエポックメイキングなラコステの “最先端” にフォーカス。そして今回は、フレンチオープン開催中のパリ、ローラン・ギャロスを訪れたモデル、リヒト氏の目を通し、その “歴史” と “背景” に迫っていきたい。

Photographs by KINAKA YusukeStyling by IKEDA NaokiText & Edit by HASEGAWA Junya[america]

ラコステの故郷、ローラン・ギャロスへ

「市内とは打って変わってグリーンが豊富で、空気がとても澄んでいるように感じますね。スタジアムの建築もとてもモダンで美しいし、なにより会場内のムードが洗練されていてとてもいい。早く試合が見たくて仕方ありません……」

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パリ中心部から西へ、車でおよそ20分。約850万平方メートルにもおよぶ広大な森林公園 “ブローニュの森” の一角に、スタッド・ローラン・ギャロス(以下ローラン・ギャロス)と呼ばれるテニス専用競技場がある。いわゆるグランドスラム、世界四大大会のひとつであるフレンチオープンは、1928年よりこの地で開催されてきた歴史的な国際大会。

5月から6月にかけての開催中は、会場周辺はもちろん、パリ市内も非常に多くのテニスファンであふれ返る一大イベントだ。そんな会場を訪れ、まず発したモデルのリヒト氏の第一声が、冒頭のそれだ。

大会スポンサーとなっているラコステの特別な図らいで、大会9日目のコート「スザンヌ・ランラン」、そしてカクテルパーティーへと招待されたリヒト氏。関係者用の特別席から見たクレイコートの興奮、そしてラコステとその “スタイル” の起源であるローラン・ギャロスの雰囲気を、詳細にリポートする。

ルネ・ラコステが目指したもの

グランドスラムのなかで唯一、クレイコート(赤土のサーフェス)を採用しているフレンチオープンは、毎年上位シード選手の早期敗退など波乱含みのトーナメントが楽しめることでも知られる、ユニークな大会だ。全24面ほぼすべてのコートで見られる、抜けるような青空と観客席の深いグリーン、そして鮮やかなレンガ色のサーフェスというハイコントラストな色彩は、それだけで見るものを強く惹きつける圧倒的なムードをはなっている。

現在、世界的なプレミアムカジュアルウェアのブランドとして人気を得ているラコステが誕生したのは、ここローラン・ギャロスだと言ってもさしつかえはないだろう。1925年、‘27年、‘29年の3シーズンに渡ってフレンチオープンで勝利し、全英、全米を合わせて通算7回の優勝を誇る名プロテニスプレーヤー、ルネ・ラコステによって‘33年に設立されたラコステ。

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その斬新かつ機能的なテニスウェアによってテニス界にもたらされた革新は、スタイル、快適さ、機能性を備えた “スポーティブ・エレガンス” なカジュアルウェアとして、今日に受け継がれている。

Page02.コート「スザンヌ・ランラン」の熱狂

LACOSTE|ラコステ

ローラン・ギャロス ―― クレイコートから生まれた伝説(2)

コート「スザンヌ・ランラン」の熱狂

大会9日目 ―― 前日の雨模様を引き継ぎながらも、午後には抜けるような青空から強い日差しが降り注ぐ、見事な快晴に恵まれた。雨により順延されていたゲームも順調に消化されるなか、ロジャー・フェデラー、マリア・シャラポワといった有力選手がつぎつぎと敗退するなど、“波乱のローラン・ギャロス” ならではの展開に。

リヒト氏が招待されたのは、広大な会場内の西側、メインストリートの正面に位置するコート「スザンヌ・ランラン」。コート「フィリップ・シャトリエ」に次ぐ規模を誇る、準センターコートだ。約1万人収容のこのスタジアムコートは、ルネ同様にフランスの伝説的女性プレーヤーとして名を馳せた、スザンヌ・ランランにちなんで名付けられた。

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その実力のみならずファッションでも革命を起こしたという点でもルネと非常に近しく、ミックスダブルスのパートナーとなるなど親交も厚かったスザンヌ・ランラン。「まるで、ふたりの縁に導かれて来たみたいですよね」とリヒト氏も笑う。

“EST-3-23” と記載されたリヒト氏のチケットは、一般の観客席最前列よりも一段前、選手たちの息遣いまで聞こえてきそうな位置にあるボックスシートのもの。大会スポンサーであるラコステ関係者に用意された、正真正銘のVIP席だ。通されるなり、あまりの迫力と臨場感に圧倒されるリヒト氏。

「コートや選手との近さはもちろんですが、一番びっくりしたのは “音” ですね。一般の席だと聞こえてこないような選手の独り言まで聞き取れるくらい(笑)。このライブ感は、なかなか味わえるものではないとおもいます」

折しも地元の人気選手、ジェレミー・シャーディと第3シードのアンディ・マレーという好カードのまっただ中。一進一退の熱戦の末、惜しくもラコステの契約プレーヤーであるシャーディが敗れるという結果となった。

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「噂には聞いていましたが、ローラン・ギャロスの観客の地元選手にたいする声援は、熱すぎますね(笑)。きっと、相手選手のプレッシャーは尋常では無いはず。今日は負けてしまったけれど、観客に勝たせてもらえるプレーヤーも、きっと多いだろうな、とおもいます」

ときにプレーの内容にかかわらず送られる、贔屓の選手にたいする熱狂的な声援と、そのライバルへの容赦ないブーイング。フレンチオープン独特のムードと “名物” を、いきなり浴びせられて少々面食らったようすで語ってくれた。

地元選手による熱い試合のあとは、“クレイキング” ことローラン・ギャロスの絶対王者、ラファエル・ナダルの登場だ。アメリカの新鋭、ジャック・ソックとの対戦は、セットカウント3対1で、ナダルの完勝。

「ナダルのコート上での存在感は、まさに別格ですね。あんなにデカいテニスプレーヤーがいるのか!って驚きました。まるでボクサーのような体つき……、テレビではわからないものですね。いいモノを観せていただきました(笑)」

Page03.フランステニスとラコステの歴史

LACOSTE|ラコステ

ローラン・ギャロス ―― クレイコートから生まれた伝説(3)

フランステニスとラコステの歴史

会場のメインエントランスをくぐってすぐ、コート「フィリップ・シャトリエ」の脇には、「Le Musée de la Roland-Garros”(ローラン・ギャロス博物館)」がある。とても小さな小屋のような建物なのだが、じつは地下に2200平方メートルもの広大なスペースをもつ、フランステニスの殿堂ともいうべき重要な施設なのだ。

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フランスのテニスの歴史とはすなわち、ラコステの歴史でもある。伝説的プレーヤーたちの愛用品やトロフィー、当時の新聞などが陳列されフランステニスとローラン・ギャロスの歩みを丁寧につづりながら、ルネ・ラコステとラコステのコーナーにもかなりのスペースが割かれていた。ルネが着用したワニ刺繍入りのジャケット、エルメスが制作したワニ皮製のラケットバッグ、トップデザイナーとのコラボレーションによるスペシャルなポロシャツなど、文字通りの「お宝」の数々が一堂に会するさまは、圧巻の一言。マルチメディアを駆使したモダンなプレゼンテーションでも魅せる素晴らしい展示となっており、リヒト氏もかなりの感銘を受けたようだ。

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「それなりに大きなミュージアムですが、ラコステにまつわる情報や展示が本当に多い。フランスのテニスの歴史において、ラコステというブランドがいかに大切なブランドなのかが、とても良く分かります。どれも歴史的なお宝ばかりなので、一見の価値アリですね」

テニスとラコステの貴族的世界を再認識

「テニスが元々上流階級の人々が楽しんだスポーツだということは知っていましたが、こうしてグランドスラム大会の会場に来てみると、改めて実感できますね。ラコステの招待ということでボックスシートやセレブなエリアにアクセスできたおかげかもしれませんが……(笑)」

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当日はラコステのアジア・パシフィックを統括するジャン・ルイ・デュラマ氏の主催による、カクテルパーティーも催された。

会場は、関係者のみが立ち入りを許された「ヴィラージュ」という特設会場。ラコステだけでなく、モエ・シャンドンやプジョー、BNPパリバなどのかぎられた協賛企業のみが、それぞれのVIP向けのパーティーやイベントをおこなうスペースだ。

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「シャンパン片手に今年のローラン・ギャロスを語るなんて、じつに優雅。ゲストもセレブやメディア関係者ばかりだし、とてもラグジュアリーな雰囲気ですね。競馬やテニスが貴族的なスポーツであることを再認識してしまいました。ラコステも歴史と伝統を重んじるフランスのテニスがルーツになっているブランド。ギフトショップでは自分用に、『スタイルなくして、プレーや勝利に意味はない』というルネ自身のメッセージがプリントされたTシャツを購入しましたが、まさにその思想が生きつづけているブランドだな、とおもいます。プレーヤーのサポートもつづけていますし。ブランド誕生から80年以上も経っているのに、いまでも創設時の理念や美意識を守りつづけているのは、本当にすごいことなんじゃないでしょうか?」

ラコステがその豊かなコレクション全体を通じて描き出す “スポーティブ・エレガンス” の背景には、たしかにルネ・ラコステの “スタイル“ とフレンチテニスの歴史やムードが息づいている。リヒト氏にそんな “気付き” をもたらした、ローラン・ギャロスへの旅であった。

ラコステお客様センター
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www.lacoste.jp

           
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