6月末にイタリア出張でミラノを訪れたさい、質感にひと目惚れで衝動買い。お値段は内緒だそう。もともとクルチアーニとは長いつきあいだが、8ボタンフロントのデザイン、ウール100パーセントの品質の高いニッティングに惚れなおしたという。

「あまりに気にいったので、ストラスブルゴでもこのモデルを頼みました。今までのクルチアーニにはないシェットランド調の風合いです。本場のシェットランド羊をニュージーランドで育てた、ハイブリッドなウール生地で、英国調の柄はいままでにもありますが、まさかこんな生地までできるなんて想像以上で、仕上がりに大満足です。とにかくこの質感は格別です」

クルチアーニは1966年創業のマリタル社の名門ブランドで、1993年にミラノでスタートしたニット専門ファクトリーブランドなのはご存知のとおり。

「とくにカーディガンは、着こなしのバリエーションが豊富なので重宝しています。またこの細身のサイジングが、ベーシック一辺倒の老舗や名門とはちがうところ。モダンかつシックに着こなせるのが、やはりいまは大切でしょう」

こちらも今年のイタリア出張で、6月末にミラノで購入。値段はこれまた秘密だそう。

「イタリアにはカミチェリア（シャツメーカー）が多くありますが、マルケ州で創業したバルバがお気に入りです。というのも見てください、コレ。手縫い満載なんですよ。バルバにはブラックラベルとゴールドラベルのふたつのラインがありますが、ネームが金色のこのゴールドラベルのハンド率が高いんです。ボタン付け、ボタンホール、襟付け、肩、ヨークなどなど、アルチザンの手が入っていてたまりません。シャツは細かく見てナンボです。そしてもちろん着心地。生地も繊細な170双で着心地は最高です。ナポリ仕立ての最高峰といえるでしょう」

フライやルイジ・ボレリなど職人技を使ったカミチェリアは多いが、なぜバルバがお好き？

「ものづくりの現場を知っていますから、この巧緻な完成度と購入価格を考えれば（笑）。と、なんだかんだいいつつ、もう見た目の美しさにやられているというのが正解でしょう」。

たしかにイタリア的な美に満ちたシャツだ。こんなシャツに身を包んでみたいと思うのも納得できる。

「今年はミディアムグレーで、折り柄の入った生地のスーツに合わせるのが気分ですね。ちなみに今回ご紹介しているのは、ストラスブルゴ別注です。ぜひ！」

今年のイタリア出張で、6月末フィレンツェにて、現地価格325ユーロで購入。スカーフ好きな神藤氏は、このヴィンテージファブリックを使用したムンガイのスカーフを見た瞬間、電気が走り仕事を忘れ衝動買い。ヴィンテージスカーフ好きの心に火がついた。ヴィンテージファブリックなので、一枚一枚ちがうのも購入ポイントだそう。

「自分で欲しいと思った一番の理由は、長めのフリンジです。ボディの生地もすばらしいですが、フリンジのビンテージ感のある上品な雰囲気にノックアウトされましたね」

ムンガイはフィレンツェの近郊の町ピストイアで、約100年つづく貴族御用達の高級ベッドリネンやタオルメーカー。いってみればフィレンツェへ来たら、ムンガイを見ないのはありえないようで。

「その土地の名産品を見るのもバイヤーの仕事です。ムンガイは格別ですから。これなら長いフリンジで動きが出て、カジュアルな雰囲気が出せますよ。ドレスとカジュアルのバランスを取りつつ、ヴィンテージファブリックの深みや存在感をくわえられます」

神藤光太郎｜SHINDO Koutaro
大阪出身。関西大学卒業。2000年リデア入社。執行役員、メンズ統括部長。学生時代にイタリアに目覚め渡伊。そこでサルト、靴職人、シャツ職人と出会う。一方、食べること飲むことが大好きで、一生をかけて食い尽くしたいイタリア飯にのめり込む。フィレンツェ、ナポリをこよなく愛し、またイタリア語能力は抜群で、どんなイタリア人もびっくりするほど。キートン、バルバ、 クルチアーニなどのブランドからの信頼も絶大。現在はリデア、ストラスブルゴのメンズ新規ブランド開発も担当。趣味はイタリア料理、マウンテンバイク、腕時計。

ストラスブルゴ南青山店
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