DIESEL|ディーゼル創始者レンツォ・ロッソが語る新プロジェクト“DIESEL+EDUN”
2013年春夏の新プロジェクト“DIESEL+EDUN”とは?
Chapter 01|創始者レンツォ・ロッソ インタビュー
「誇りを持って仕事をしてほしい」(1)
「アフリカに持続可能なビジネスモデルを創出する」──世界的デニムブランドのディーゼルと、U2のボノ夫妻が手がけるブランド「イードゥン」の理念に基づき、アフリカの創造力やデザインを目に見える形で発信していくプロジェクトが、「DIESEL+EDUN(ディーゼル+イードゥン)」だ。ディーゼル創始者のレンツォ・ロッソ氏に、このプロジェクトの狙いと、アフリカへの思いについてきいた。
Photographs by JAMANDFIXText by KASE Tomoshige(OPENERS)
ボノと出会った12年前
この春立ち上がった「ディーゼル+イードゥン」のプロジェクトの内容は、大きく分けて2つある。ひとつはプロジェクトと同名のウェアコレクションのローンチ。そしてもうひとつはアフリカのために活動を続けているアーティストたちを紹介する世界的キャンペーン「STUDIO AFRICA」である。
去る2月、ディーゼルの創始者であるレンツォ・ロッソ氏が東京を訪れた。1978年のブランド誕生以来、今も最前線で指揮をとるロッソ氏。「ディーゼル+イードゥン」についての話をきくとともに、アフリカに対する思い、プロジェクトの苦労などを語ってもらった。
──パートナーであるブランド「イードゥン」を手がけるボノ夫妻とは、いつ頃知り合ったのでしょうか。
ボノと最初に知り合ったのは……たしか12年ほど前だったと思う。ミラノでコンサートをしていた時だった。彼はすでに慈善活動家として多くの実績を築いていて、お互い「何か一緒にやりたい」と意見を交わしたんだ。(アイルランドの)ダブリンのボノの家に行ったこともあるよ。
──プロジェクトの“芽”はずいぶん前に出ていたんですね。
ボノはチャリティに力を入れていて、貧しい国への支援に積極的だったから、アフリカで有機コットンを作る活動もしていてね。私も自分がマリ(西アフリカ)で支援している村を紹介した。結局、一緒にアフリカを訪れたのは2012年の1月で、お互いが活動しているマリとウガンダの農場に行くことになったんだ。
──その旅が今回のプロジェクトを決定づけたんでしょうか。
この旅で私たちは農場で過ごし、食事もアフリカ人の家族とともにした。そして農場の人々には、少しの手助けが必要だと感じた。そこで私たちは「ディーゼル+イードゥン」のラインをスタートし、アフリカでの原料生産、アフリカでの服の製造をしようと決意した、というわけだ。アフリカの人々が本当に欲しいのはお金ではなく、仕事。彼らは自分自身で稼ぎ、家族をサポートしたいと考えているんだ。“魚”をプレゼントするより、“釣り具”を提供するべきだ。そのほうが、誇りを持って仕事に取り組んでくれるはずだから」
2013年春夏の新プロジェクト“DIESEL+EDUN”とは?
Chapter 01|創始者レンツォ・ロッソ インタビュー
「アフリカで全部やるから意味がある」(2)
Interview photographs by JAMANDFIXText by Kase Tomoshige(OPENERS)
100%アフリカ製
「ディーゼル+イードゥン」のプロジェクトのひとつ、アーティストたちを紹介する世界的キャンペーン「STUDIO AFRICA」については、実は来日したあるアーティストを取材しているので、別の記事で紹介したい。
プロジェクトと同名のウェアコレクションは、デニムを中心に展開。1970年代の4ポケットジーンズをベースに、アフリカンテイストとイードゥンのDNAがプラスされた、独特のスタイルが特徴だという。商品の詳細もまた別の記事に譲るとして、ロッソ氏には生産時のエピソードを語ってもらった。
──デニムコレクションが中心というのは、ディーゼルならではだと思いますが。
もちろんデニムだけではなく、Tシャツやドレスなどもあるけど……やはりディーゼルと言えばデニムだからね。ディーゼルの本ラインでもすでに一部アフリカでデニム生産しているので、ノウハウがある。今回原料のコットン、デニム地、モデルの制作から広告までのすべての過程を、アフリカでやったんだ。ヨーロッパからアフリカへ何も輸入することなく、100%アフリカ製にしたかったからね。
──ヨーロッパとアフリカは近いです。ロッソさんに「アフリカへの思い」を抱かせたのは、そんな地理的要因もあるのでしょうか。
アフリカはイタリアとたしかに地理的に近いけど、それよりもアフリカの人々の魅力が強い。それぞれの国自体も若いし、アフリカ大陸の人口の75%は、25歳以下だから。比較的貧しい国が多いけれど──アフリカ人はとても優しく、素晴らしい民族。我々は2001年の広告キャンペーンでアフリカをプロモーションし、世界各国から必要とされる国になるはず、という意図を伝えました。以来、アフリカが大好きになったんです。アフリカを、アフリカ人をサポートしたい。そのためにこの「ディーゼル+イードゥン」プロジェクトを始めたんだ。彼らの力になりたいんだ。
──それではこのプロジェクトで、困難だった点を教えてください。
そう……どの段階も、簡単ではなかったね(笑)。仕事を丁寧に説明し、やり方を教え、人材を育成しなければならない。生地の織り方、ウォッシュ加工、縫製など、あらゆるプロセスにおいて困難はつきものだった。技術者を送り込み、彼らをトレーニングし続けたよ。部分的なアフリカ生産の経験はあったけど、プロセスの100%をアフリカで行うことは、やはり大変だった。でも覚悟があれば、どんなことでも乗り越えるはずだから。
今も新たな挑戦の最前線に立ち続ける、ディーゼルの創始者レンツォ・ロッソ氏。さまざまな困難を信念で乗り越えてきた彼の来歴、その一端に触れたような気がしたインタビューだった。それでいて、写真を見ていただければお察しいただけるだろうが、終始笑顔を絶やさず、苦労を苦労と思わせずに語る、穏やかな口調だけが印象深く残っている。
そんなロッソ氏の肝煎りともいえるこの「ディーゼル+イードゥン」。先に少々触れたが、アーティストたちを紹介する世界的キャンペーン「STUDIO AFRICA」、そしてウェアコレクションの詳細も、追ってお届けする。ぜひご期待いただきたい。
ディーゼル ジャパン
0120-55-1978
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