ファブリック創設者 キース・ライリー インタビュー|KEITH REILLY
Fashion
2014年12月19日

ファブリック創設者 キース・ライリー インタビュー|KEITH REILLY

VOLVO OCEAN RACE 2011-12|ボルボ・オーシャンレース 2011-12

タフなボルボ

日本では安全性にこだわりをもつブランドとして認知されるボルボだが、さらに、そのブランドにスポーティなイメージを付加すべく、9か月にわたり世界をめぐる過酷なヨットレースを主催している。九島辰也氏がその様子をリポート。

Text by KUSHIMA Tatsuya

世界屈指のアドベンチャーレース

「レーシングヨットは15歳のときからやっています。祖父に教わりました。とにかく、船を走らせているときが一番たのしいですね。そうですね、次のレグの作戦は……」

「チーム・テレフォニカ」のスキッパー、イケル・マルチネスが笑顔でインタビューにこたえてくれた。第5レグへ出発する前日の記者会見場の片隅である。

場所はニュージーランドの首都オークランドにあるマリーナ。サンヤ(中国)からの第4レグから寄港し、およそ1週間のレースウィークがそろそろ終わろうとしているころだ。

オリンピックのメダルホルダーでもある彼だが、ひとつひとつ丁寧に質問に応対する姿勢はつねに前向きで、たのしそうにレースについて語っていたのが印象的だった。

VOLVO OCEAN RACE 2011-12|ボルボ・オーシャンレース 2011-12

世界一周を競うこのレースは、10カ所に寄港し9区間のレグを競う。つまり、寄港するたびにレグの結果が発表され表彰がなされる。港に着いた直後は勝利に酔いしれ、出航の日が近づいてくると緊張が高まるという繰り返しだ。で、お祝いは徹底的に祝うのがレースのしきたり。選手も関係者もファンもみんなで盛り上がる。そんなところもこのレースが多くのファンを獲得している理由かもしれない。

「ボルボ・オーシャンレース」というのをご存知だろうか。およそ9ヶ月かけて世界一周する、ヨットの耐久レースである。日本ではアメリカズカップのようなスプリント型のほうが知名度はあるが、このレース自体歴史を持つことでヨーロッパではかなり広く知られている。

かつては英国のビール会社がスポンサーだったこともあり「ウィットブレッド世界一周ヨットレース」と呼ばれていた。1993-94年大会はヤマハ艇が日の丸を掲げて参加したこともあった。

現在は、日本でも人気の高いスウェーデンのカーメーカー、ボルボ・カーズとトラック部門のボルボ・ペンタが出資した運営会社がオーガナイザーとしてレースを取りまとめている。

VOLVO OCEAN RACE 2011-12|ボルボ・オーシャンレース 2011-12

タフなボルボ (2)

海の上のフォーミュラーワン

ではここでレースの概要に触れてみたいとおもう。

2011-12年大会は6つのチームで競われる。冒頭に挙げた「チーム・テレフォニカ」のほかに「グルパマ・セーリングチーム」、「カンペール with エミレーツチームNZ」、「プーマ・オーシャンレーシング by BERG」、「アブダビ・オーシャンレーシング」、「チーム・サンヤ」、といった面々だ。

彼らは先年11月ポルトガルのアリカンテという港を出航、英国のガルウェイを目指す。現在(6月下旬)はポルトガルのリスボンからフランスのロリアンに向かうレグ8が終わったところ。総合点はグラパマが1位、2位にプーマ艇がついている。

VOLVO OCEAN RACE 2011-12|ボルボ・オーシャンレース 2011-12

外洋で競うヨットレースではあるが、インポートレースと呼ばれる港内での競技もある。これは次のレグへ出発する前日に行われるのだが、醍醐味はなんといっても身近で見られること。

VOLVO OCEAN RACE 2011-12|ボルボ・オーシャンレース 2011-12

岸壁から望遠鏡で観る者もいればボートをチャーターして応援する艇を追いかける者も。バタバタとものすごい音でセールの向きを変えるときのクルーたちの動きにおもわず釘付けになる。

ところで、気になるレーシングヨットのつくりだが、これが知れば知るほど恐ろしくなる。ボディはなんとそのほとんどがカーボンファイバーでつくられた超軽量ボディ。最先端技術を駆使した構造だ。

その内容はまさに“海の上のフォーミュラーワン”といっていいだろう。エンジンはひとまずおいておいて、エアロダイナミクスボディ構造からパーツの供給システムまでハイテク化されている。実際、オークランドの港内で1時間ばかりレース艇に乗ることを許されたが、かなりストイックにつくられていることに感心した。贅肉を削ぎ落したその姿は美しいとさえおもえたほどだ。

VOLVO OCEAN RACE 2011-12|ボルボ・オーシャンレース 2011-12

タフなボルボ (3)

「安全」から、「安全でスポーティ」へ

それではボルボはなぜクルマを使った競技ではなく、このヨットレースをオーガナイズするのか?

もちろん、そこには企業としてのイメージ戦略がある。こうした世界屈指のアドベンチャーレースにボルボの名が連呼されることで、ブランドイメージを少しでもそちらに寄せようとしている。具体的にいえば、「アドベンチャー」、「チャレンジ」、「タフネス」などといったワードが挙げられるだろう。日本では「安全」や「スカンジナビアン・デザイン」といったところで完結してしまうが、それとある意味正反対なワードをこのレースは印象づける。

結果、すでにヨーロッパの地ではボルボにたいし、狙いどおりのイメージが定着しているときく。とくに、XC60以降のモデルラインナップではそれがストレートに当てはまるといっていいだろう。安全性はもちろん、スポーティな走りにヨットレースでかんじる印象がつけば、ボルボにとって作戦成功といったところだ。

VOLVO OCEAN RACE 2011-12|ボルボ・オーシャンレース 2011-12

カーボンファイバーでつくられた船体はまるで宇宙船の基地のよう。内部にはセールが何本も横たわり、それぞれが出番を待っている。そして空いた空間にクルーたちの寝床がある。航海中は4時間交代というから厳しい環境だ。

VOLVO OCEAN RACE 2011-12|ボルボ・オーシャンレース 2011-12

船内にハイテク装備があるのも特徴。専任者がPCを駆使して進路を確保、スキッパーとともにあらゆる可能性を模索し航路を決める。

それにしてもこのレースはすごい。70フィート(約21メートル)の艇に10名のプロセーラーが乗り込むのだが、そのなかのひとりであるメディア担当は、レースの過程を一部始終動画で記録している。これだけタフなレースをこなしながらよくできるものである。まさにこの辺は次世代型競技といった感じ。その映像は、ボルボ・オーシャンレースのオフィシャルサイト(www.volvooceanrace.com)で閲覧できる。

           
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