Sfera｜夏のうちわの贈りもの

Sfera｜スフェラ

夏のうちわの贈りもの

だんだんと夏の気配が近づくこの時期。スフェラでは京都店と東京ミッドタウン店の両店舗で、「Pleasantly Cool」展と題し、オリジナルの団扇(うちわ)をや金魚鉢など夏を涼しくするインテリアグッズを展示するとともにギフトセットも販売中だ。

Text by OPENERS

熟練の職人の手わざが光る京うちわ

創業300年の歴史をもつ京うちわの老舗・阿以波（あいば）が手がけるスフェラのうちわ。京うちわは装飾性に富み、精巧な技術と繊細な図案で「都うちわ」とも呼ばれ、かつては宮中でもちいられていた、優美な伝統工芸品だ。

京うちわの大きな特徴は、うちわ面と柄が別々につくられ、細骨を放射状に並べて後ろから柄をつける「差し柄」という構造。その制作は、16もの工程を経てようやく完成するものだという。原案作り、骨格となるうちわ骨加工、表紙の切り絵や木版などのうちわ紙加工、うちわの骨格をつくる裏張り加工、そして最後に個々の材料を重ね合わせる仕上げ加工。すべてが熟練の職人による手作業で、その多くが阿以波ならではの技術なのだとか。

阿以波ではこのような創業以来の伝統技術を守りながらも、創意工夫をくわえ、現代の阿以波の作品を代表する「透かしうちわ」の技法を編み出すなど、時代にあったあたらしいうちわ作りを探求している。そんな阿以波と、京都という歴史ある都市で、つねにあたらしいデザインを発信しつづけるスフェラとのコラボレーションはとても興味深い。

今回販売されるうちわは3種類。阿以波では装飾品や贈答品として制作されている、優美な装飾をほどこした「透かしうちわ」。スフェラオリジナルのリーフパターンを、表裏の柄を少しずらしてかさねることで、より繊細で複雑な模様を演出している。

京都の木版刷り職人が一枚ずつ刷り上げた「木版刷りうちわ」は、機械印刷では出せない味わいが魅力。スフェラオリジナルのリーフパターンにくわえて、阿以波にある古いうちわ用木版画よりスフェラがセレクトしたふたつの柄で仕立て上げた。

「小丸型うちわ」は質感の美しい白無地の和紙を使用してつくられた小ぶりなサイズのうちわ。いさぎよく縁まで白くすることで際立った、素材とフォルムの美しさが特長だ。

また、このほかにもスフェラの京都店、東京ミッドタウン店の両店舗で、ガラスの金魚鉢や置き石など、目にも涼やかなインテリアグッズが登場。そしてスフェラのうちわや小道具と、京都の老舗、鍵善良房の水羊羹「甘露竹」を組み合わせた5種類のギフトセットを販売する。このうちわとギフトセットはスフェラのオンラインショップ（shop.ricordi-sfera.com）からも購入できる。

うちわは本来、邪気を祓う道具であったことから、夏の暑気払いに江戸時代には贈りものとして人気があったという。香袋とともに届けられるスフェラのうちわは、扇ぐたびにほのかな香りが漂い、心地よい風を送る。風流な夏の贈りものにぴったりの品。