アーティステックなモンチッチ「SMAK!」第3弾はナタリー・レテがデザイン。ひなたかほり×ナタリー・レテ インタビュー|MEDICOM TOY
DESIGN / FEATURES
2020年12月23日

アーティステックなモンチッチ「SMAK!」第3弾はナタリー・レテがデザイン。ひなたかほり×ナタリー・レテ インタビュー|MEDICOM TOY

MEDICOM TOY|メディコム・トイ

SMAK! Martin by Nathalie Létéの誕生秘話

アーティストのひなたかほり氏をクリエイティブ・ディレクターに迎え、「モンチッチ」のメーカーであるセキグチとメディコム・トイが、アーティステックなモンチッチを不定期に発表するスペシャルプログラム。そんな「SMAK!」第3弾は、ナタリー・レテ氏を迎えたスペシャルコラボレーションとなった。

Text by SHINNO Kunihiko|Edit by TOMIYAMA Eizaburo

アーティステックなモンチッチ「SMAK!」とは?

1974年にセキグチより発売され、爆発的ブームを起こした「モンチッチ」。体はぬいぐるみ、顔と手足はソフビ製の、まったく新しい人形は翌年より海外にも輸出され、たちまちモンチッチは世界中で人気者に。ネーミングはフランス語の「MON(モン=わたしの)」と 「PETIT(プチ=小さくて可愛いもの)」で「わたしのカワイイもの」。また、モンキーのモンと、おしゃぶりをいつもチュウチュウと吸っていることから名付けられた。
今回紹介する「SMAK!」は、ひなたかほり氏をクリエイティブディレクターに迎え、セキグチとメディコム・トイがアーティステックなモンチッチを不定期に発表するスペシャルプログラム。「SEKIGUCHI & MEDICOM TOY ARTISTIC MONCHHICHI PROJECT featuring KAORI HINATA!」の略称で、ディテールの再現性を高めるため、ボディはモンチッチのMサイズを採用し、自在なポージングを楽しめるよう内部にプラスチック製ジョイント「ポキポキ」を搭載。さらにSMAK! のためにセキグチが特別に用意した専用ボアを使用したスペシャルなモデルとなる。
第1弾は、2019年11月に「2G TOKYO」オープン記念商品として誕生した、ひなたかほり氏デザインの『SMAK! モンチッチ -HAPPY GIFT BOX-』。2020年12月には同じくひなた氏デザインの『SMAK!  MORRIS』が発売され好評を博したばかり。
(左)SMAK!MORRIS
(右)SMAK!モンチッチ-HAPPY GIFT BOX-
今回紹介するシリーズ第3弾は、ナタリー・レテ(Nathalie Lété)氏がデザインを担当。彼女は、子供の頃の思い出や日々の暮らしの中からインスピレーションを得て、絵本やテキスタイルなどさまざまな作品を製作しているフランス・パリ生まれのアーティストだ。おもちゃはこれまでBE@RBRICKを3パターン製作したことがある彼女だが、モンチッチのデザインはこれが初めてとなる。
日本とフランス、海を越えたコラボレーションを記念して、ひなた氏、ナタリー氏に今回のコラボレーションについてお話をうかがった(※記事はそれぞれへのメールインタビューを再構成したものです)

モンチッチは、KiKiという名でフランスでも人気だった

──ひなたさんは2008年に“第一回モンチッチドレスデザインコンテスト イラスト部門最優秀モンチッチ賞”を受賞されています。
ひなた 当時はまだ学生で、卒業後就職するのか作家として挑戦をしていくのかの選択を迫られている時期でした。いろいろな情報をチェックしている中でこのコンテストがあることを知り、「大好きなモンチッチのコンテストで受賞できたら素敵!」と思い応募させていただきました。最優秀賞を受賞した時は本当に嬉しくて、作家として一歩を踏み出す勇気をいただきました。
──ひなたさんにとってモンチッチの魅力とは?
ひなた いまも様々に展開を広げているモンチッチですが、見ると懐かしい気持ちになる「レトロ感」がいちばんの魅力じゃないかなと思っています。
──モンチッチはフランスで「Kiki(キキ)」と呼ばれ、1978年に発売された「La chanson de Kiki(キキの歌)」もフランス国内で大ヒットしたそうですね。ナタリーさんはこのキャラクターはご存知でしたか? 
ナタリー はい。私の友人たちが持っていたので、Kikiのことは知っていました。私たちは「Mon Kiki」と呼んでいました。でも、フランスで販売された1978年当時、すでに私は14歳だったので、両親にねだる歳からはずいぶん離れてしまっていて・・・・。Kikiよりも自分の部屋のデコレーションや、気になる男の子のことばかり考えていました(笑)。「La chanson de Kiki(キキの歌)」という曲については、今回教えていただいてYoutubeで視聴するまでは、一度も耳にしたことがありませんでした。でも、自分に子どもができ、娘のAngeleがおねだりするようになって、Kikiは私の人生に舞い戻ってきました。娘には17年前に日本で買ったモンチッチのキーホルダーをあげましたよ。
──SMAK! というプログラムがスタートするまでの経緯について教えてください。
ひな いつか作家として「モンチッチとお仕事できたらいいな」という思いを抱えながら、私はイラストレーターとして数年活動していました。その後、2016年にオリジナルキャラクター「MORRIS」を独自で立ち上げ、フィギュア作家としても活動を始めるようになって。 そこからメディコム・トイさんに声を掛けていただき、お仕事をご一緒するようになったんです。
そんなある日、打ち合わせの際にふと「モンチッチが好きで関われたら嬉しい」と社長の赤司さんに漏らしたところ、「できると思いますよ。私からセキグチさんにお話してみます」とおっしゃって下さったんです。 以前から赤司さんとセキグチの吉野社長はご親交があったようで、偶然にも両社で新しい企画を一緒に始めるお話をしていた時期だったようなんです。そんなご縁もあって、立ち上げから私もクリエイティブディレクターとして参加させていただき、SMAK! という夢のようなプログラムがスタートしました。
──SMAK! のクリエイティブ・ディレクションを担当するひなたさんは、これまで「MORRIS」「POOKA」といったご自身のオリジナルキャラクターをたくさん生み出しています。
ナタリー 彼女のキャラクターはとってもかわいらしいですね。特にMORRISは私が大好きな森の動物をミックスさせたキャラクターで、少しシカっぽくもあり、キツネのような、アナグマのようにも見えます。なので、彼女の世界には大変親しみを感じました。

ナタリー・レテさんは、直感を大切にする方

──今回、SMAK! でご一緒されていかがでしたか?
ひなた もともと私はナタリーさんのファンで、ハンカチやポーチなど雑貨をたくさん持っていたので、SMAK! の最初の打ち合わせでナタリーさんのお名前が出た時はびっくりしました。ナタリーさんの作品は自然や動物への愛や、絵を描くことが好きという気持ちが溢れているという印象です。可愛い作品でも、ちょっとした影を感じる世界観に強く惹かれています。
彼女に任せられるなら「絶対に可愛い子が出来上がるな」と、いちファンとしてとてもワクワクしました。 来日された際にお会いできて、「一緒にお仕事ができて光栄です!」とお伝えしました。その場で生地のサンプルを一緒に選んだり、お顔の造形についてお話したのですが、ナタリーさんは「直感を大切にする方だな」と感じました。
ナタリー かほりさんは綺麗な髪と大きな目の、若くて可愛らしい女性ですね。彼女自身がMORRISに見えましたよ。SMAK! はとても面白そうなプロジェクトだと思いました。最初は顔の形まで変更できると知らなかったので、顔や目、ファーの色などの細かな点だけを変えていたんです。新しく「3Dフェイス」を作って自分のキャラクターに落とし込むことができるとわかってからは、最終的にオリジナルのモンチッチとはずいぶん異なる姿になりました。親指を口にくわえたおなじみのスタイルは私も非常に大事にした部分ですが、それ以外は私によって「Martin(マーティン)」と名付けられた、まったく新しいぬいぐるみになりました。皆さんにも気に入っていただけるといいなと思います! この子はモンチッチのフランス在住の従兄弟のような感じでしょうか(笑)。
──「マーティン」をデザインする際、どういうところに気をつけましたか? 
ナタリー このプロジェクトは、どの要素も面白かったです。まず顔を作ることから始めましたが、比率や表情をどうするか決めかねていたので、かほりさんに私の描いた顔の中から選んでもらいました。私が描いた絵を元に「3D フェイス」がどのように作られるのか、とても興味深かったです。続いてファーを選んだのですが、そのとき私は淡いピンク色のカーリーファーのジャケットを着ていて、こんな感じのモンチッチを作りたいと思ったんです。難航しましたが、最終的に綺麗なピンク色のカーリーファーを纏ったマーティンが誕生しました。また、コスチュームを作るのも楽しい工程でした。私の作品の世界には頻出するキャラクターが複数いて、そこからかほりさんにいくつかアイディアをお見せして、小さな「ガーデン・ノーム(庭小人)」や「妖精」などを選んでもらいました。私がドイツで過ごした幼少期に絵本の中で見たようなキャラクターで、赤と白のギンガムチェックのシャツに、インディゴ色のエプロン、ポンポンが付いた赤い帽子を身に着けています。最終工程となるパッケージにも気を配り、お店の中でもマーティンが自分自身の世界を持てるようオリジナルの箱を作りました。
──性格や世界観についても教えてください。
ナタリー 「マーティン」は自然の中で生活することと、畑のお世話をすることが大好きな子です。彼は妖精たちと同様に働き者で、私たちが眠っている間や人目につかない時間に仕事に取り組みます。そして私たちが目を覚ます頃には、親指を口にくわえて私たちのそばにいます。とってもいい子でみんなに優しいけど、彼だって大事にしてもらう必要があります。ドレスアップしてお出かけするのが大好きなだけでなく、裸になって自由を感じる醍醐味も楽しんでいるのです。
ひなた デザイン画の時点でも「マーティン」はとても可愛かったのですが、完成品が届いた時はもう期待以上の仕上がりで「可愛い!!」とひとりで叫んでしまいました。帽子が仮止めされているのですが、ぜひ脱がしてみて下さい。可愛いお耳がついています。お顔立ちから「マーティンはくまなのかな?」と思ったら、おしりに長いしっぽがついていたりして、そこはナタリーさんの独特な世界観が表れている注目ポイントです。
──またお二人でコラボレーションする機会があれば、どんなことをやってみたいですか?
ひなた ナタリーさんから届いたたくさんのアイデアスケッチの中からマーティンを選ばせて頂いたのですが、その他のスケッチもとても可愛かったので、またコラボの機会を頂けたらマーティンのお友達シリーズをSMAK! で作らせて頂きたいです。また、ナタリーさんの絵が本当に大好きなので、ぜひMORRISをナタリーさんタッチで描いて頂いて、ハンカチなどの雑貨にできたらいいなと思っています。
ナタリー このプロジェクトを始めた当初、3Dで新たなフェイスを作ることができると知らず、モンチッチの顔に色を塗ってみるなど、自分でもいろいろ試してみたのです。その中でも目の色を変えてみるテストがあって、それは私がとっても好きなバージョンです。オリジナルのモンチッチにとても近いのですが、自分で試作した目にとても惹かれています。このデザインの新しいモンチッチプロジェクトがあれば是非参加したいです。私がとっても気に入っている柔らかい体は残しつつ、ファーを私が子どもだった70年代を彷彿とさせるような、青りんごとか黄色とか、オレンジなど明るい色に変えてみたいですね!
──最後に、今後のSMAK! の展開予定についてお聞かせください。
ひなた SMAK! はみんな体が同じという特徴があって、お洋服も着せ替えが出来るので、SMAK! のブティックを作れたらおもしろそうです。 もしブティックが実現したら、ファブリックブランドとのコラボも素敵だなとわくわく考えています。 世界中の素敵な作家さんを巻き込みながら、SMAK! というブランドを育てていきたいと思っていますので、ぜひ今後の展開もご注目頂けたら嬉しいです。
SMAK! Martin by Nathalie Lété
サイズ|全高約270mm
価格|1万6500円(税別)
発売日| 2021年1月発売予定
製造元|セキグチ
©️ Natalie Lété
©️ 2020 Sekiguchi Co., Ltd.  
Direction Kaori Hinata(hinatique)
問い合わせ先

メディコム・トイ ユーザーサポート
Tel.03-3460-7555

                      
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