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2026年1月31日
【藤原ヒロシ インタビュー】「AIで音楽がなくなることはない」fragment × BE@RBRICKのスピーカーが登場 | MEDICOM TOY
MEDICOM TOY|メディコム・トイ
BE@RBRICK AUDIO Portable BluetoothⓇ Speaker FRAGMENT 400%
藤原ヒロシさんが主宰するfragmentと、リナロ社が開発したBE@RBRICKのスピーカーのコラボレーションモデルが登場。カラーはBLACKとWHITEの2種展開で、シンプルなデザイン。これまで数多くのBE@RBRICKを手掛けてきたHFならではの美学が宿っている。
今回はスピーカーということで近年話題に上がることの多いAIと音楽の話、さらに現在好評配信中のポッドキャスト番組『BAD PHARMACY』、SLIDE CULTURE MAGAZINE(YOUTUBEで見る雑誌)『QUIET』についても伺った。
なお、リナロ社のファウンダー兼CEO、パヴロ・シマノヴィッチ氏による「BE@RBRICK AUDIO Portable BluetoothⓇ Speaker」開発インタビューはこちら
Text by SHINNO Kunihiko|Photographs by TAKAYANAGI Ken|Edit by TOMIYAMA Eizaburo
メディコム・トイがやりたいことに100パーセントの信頼を置いてます
──fragmentと「BE@RBRICK AUDIO Portable BluetoothⓇ Speaker」のコラボレーションモデルが発売されますが、ヒロシさんは日頃BluetoothⓇスピーカーを使うことはあるんですか?
藤原ヒロシ(以後、HF) あまり家にいないので、ほぼゼロですね。ただ、BE@RBRICKに関してはスタートの頃から一緒にやらせてもらっているので、メディコム・トイがやりたいものは迷わずどうぞというスタンスなんです。彼らも変なものは持ってこないだろうし、彼らがやりたいことには100パーセントの信頼を置いています。他にそういう会社はないので。
──BE@RBRICKも今年で誕生25年になりますが、ヒロシさんはその前身のKUBRICKからコラボレーションされています。
HF すごいですね。大企業になりましたね、メディコム・トイも。
──カラーはfragmentTの象徴といえるBLACKとWHITEの2色展開ですが、これはすんなりと?
HF そうですね。コンセプトがあれば、デザインにそんなに時間がかかるタイプじゃないので。
──ヒロシさんがこのスピーカーをプレゼントするとしたら、誰にあげたいですか?
HF どちらかというとBE@RBRICKが好きな人より、音楽が好きな人が手にして、これを機にBE@RBRICKを知ってもらうといいかもしれない。ただ、一般的に家で音楽を聴く機会って、以前より減っているような気がしますよね。そもそも音楽って1970年代の頃は、本当に好きな人しか聴かないものだったと思うんです。
だからまた「家で音楽聴くなんて変わり者ですよね」っていうぐらいになった方がいいんじゃないかなと。昔はレコードを買ったら擦り切れるまで聴いてたけど、今はそこまで聴かない。でもそれはどのジャンルでも一緒で、アーカイブがどんどん溜まってくると仕方ないことなので。
音楽が一番AIに向いているなと思います
──先日、オカモトコウキさんとの音楽ユニット「Order of Things」の楽曲「KOTOBA」がデジタルリリースされましたが、音楽を作るモチベーションは昔と変わらないですか?
HF 「KOTOBA」はコロナが始まった時に作った曲で、本来は3年前の夏に出す予定だったんですけど、レコード会社の都合でリリースがどんどん遅れてしまっていたんです。いまはAIの進化がとにかくすごいから、これ自分でやる意味あるのかなって考えますよね。
映像や文章、いろんなジャンルで活用されつつありますけど、音楽が一番AIに向いているなと思います。というのも、音楽そのものがそもそもパクリに近いものだから。
バンドを始める時も「ビートルズっぽいことをやろう」「セックス・ピストルズっぽくやろう」っていう感じでしょ? そもそもが「ぽい」もので成り立っているから、他のジャンルに比べると著作権が曖昧なんです。音階も12音しかないから、適当なプロンプトを入れてもそれなりに成立しますし。
──今後、自身も活用しようと思われますか?
HF 自分はそれで作ったものをリリースしようとは思わないですけど、知り合いに最近何聴いてる? って聴いたら、「毎朝自分で作ってそれを聴いてる」と言ってました。
──すごいですね。需要と供給を一人で満たせる時代。
HF しかも僕らが1ヶ月かかって作っていたものを、プロンプト入れてボタンを押せば20秒程度でできてしまうのはすごいです。むしろプロンプトを考えるほうが時間かかるという。
──ただ、過去にあったものを組み替えて作るので、既視感あるものにはなりますよね。それに粗製濫造されると、将来的に音楽に価値を見出せなくなりそうな不安もあります。
HF 音楽って全部そうじゃないですか? どこかで聴いたことあるようなものばかり。新たな技術が出てくるたび、文句を言う人はその都度いるんです。DAT(Digital Audio Tape)が出てきた時はこれでコピーされたらレコードが売れなくなるって反対されてましたし、サンプリングでオーケストラの音やられたらミュージシャンはもういらなくなんじゃないかという論争があったり。
今はAIがあれば音楽を作る人がいなくなるんじゃないかっていう時代ですね。だけど、そもそも考えたら皆さん「っぽい」ものをやってるわけだから、なくなることはないです。音楽の価値がなくなると言えばそうかもしれないですけど、一般の人たちも一斉に使いだして、2026年は本格的にAI元年になるんじゃないですか。
──電力の消費量が恐ろしいことになりそうです(笑)
HF Googleだって勝手にAI検索になってますよね。僕自身、新しくて面白い価値観は好きだし、かつて面白いと思ったヒップホップの手法も過去の良い音楽をサンプリングして使うことだから、そもそもそういうものが好きだったんです。
『BAD PHARMACY』や『QUIET』が誕生した背景
──TaiTanさん、上出遼平さんと配信中のポッドキャスト番組『BAD PHARMACY』の話も聞かせてください。昨年11月にはロッテがスポンサーになって番組とコラボした携帯カイロ「ホカロン」が発売されたことも話題になりました。
HF そもそもポッドキャストっていう言葉が一人歩きして流行ってる感じがあったじゃないですか。『BAD PHARMACY』は2年前に僕が講義をやったFRAGMENT UNIVERSITY(※註1)の生徒のひとりが、卒業の時に僕と一緒にポッドキャストをやりたいですと言って始まったものなんです。
※註1 2023年10月から2024年3月に行われたオープンキャンパスの講義。2025年2月に書籍『FRAGMENT UNIVERSITY | 非言語マーケティング HFの特殊講義』として上梓
最初の企画では僕の昔話を聞きたいということだったんですけど、そうじゃなくて僕がいま面白いと思っていること、これから面白いと思われることを話せる場だったらいいよって、TaiTan君、上出君とやるようになったんです。ふたりともスーパー頭いい人たちなので、僕は聞き手に徹して。
基本的に僕はふたりが他で何をやってるかそんなに知らないし、彼らも僕が何やってるか一切聞かない。僕も「今度BE@RBRICKが出るんだよ」みたいなことは何も話さない。そこが面白いところではあります。彼らふたりとも薬局の息子たちなので、ジンジャーショットを作って販売しようよとか、ウィットに飛んだ変わったことができたら嬉しいです。
──今回のBE@RBRICK AUDIOで『BAD PHARMACY』を聴くのも楽しそうです。もうひとつ、2024年12月にスタートしたSLIDE CULTURE MAGAZINE(YOUTUBEで見る雑誌)『QUIET』についても聞かせてください。
HF ちょうど1年経ちましたけどアクセス数がめちゃめちゃ少なくて、それはそれで面白いと思ってます。『QUIET』は単純に僕の天邪鬼(あまのじゃく)な考えで、YouTubeで動画も音もなかったらどうなるんだろうというところから始まりました。
これもマネタイズはゼロ。まあ、お金もそんなかからないんですけど。たぶん最初期の雑誌って、志だけで集まった人たちがやるようなものだったと思うんです。そういう意味で『QUIET』はまさにそうで。どこからも収入がないから、関わっている誰もお金は一切もらってない。
逆にこの前、初めて紙の雑誌を出して(『QUIET Presented by PRODISM』)、スポンサーがついてくれて。アナログでやっと少しマネタイズができた。通常は雑誌でマネタイズできないからオンラインでっていうのが常識だと思うんですけど、真逆なんです。
──すごいですね。その逆転の発想。
レコードショップの視点から見た渋谷の歴史の本をプロデュース
HF 昔から何かを編集するのが好きで、自分の場合は音楽の作り方もそうなんです。若い頃に雑誌黄金期を過ごしたから、そういうクセがついてるのかもしれない。紙の『QUIET』もまた半年後くらいに2号目を出せたらいいですね。1号目を出したおかげで、YouTubeの『QUIET』をアーカイブとして使えることも分かったし、逆に誰か取材して10行ぐらいの見出しだけ作っておいて、中身は雑誌でってこともできるから、取材や対談ももっとやれるねって話になって。そのひとつとして今度、渋谷の歴史についての本が出ます。
宇田川町で「Face Records」という中古レコード屋をやっている武井進一さんが「渋谷で最初の輸入レコード屋ってどこだろう」と調べ始めたところ、どんどん深いところまで掘り下げていって国会図書館に毎週通うようになったんです。その調査報告がすごく面白かったので「本を作りましょう」と僕がたきつけてプロデュースさせてもらいました。原稿はすべて出来上がっているので、2月下旬には出ると思います。
──1990年代から2000年代前半にかけて世界一レコードショップが多い街だった渋谷の歴史、ぜひ読んでみたいです。
HF かつて宇田川町のCISCO(2007年に閉店した老舗輸入レコードショップ)があった辺りって、もともとは陸軍刑務所だったそうなんです。CISCOの前の階段が刑務所の裏口で。
──初めて知りました。
HF 終戦後、その陸軍が持っていた広い土地をアメリカが占領して、ワシントンハイツ(※註2)ができた。ワシントンハイツの住宅は将校クラスじゃないと住めなかったそうで、裕福な家からゴミとして出てきた家具や洋服、レコードが渋谷・原宿を中心に広がって、独自のカルチャーが形成されていったんじゃないかっていうのが僕らの推測です。
※註2 1946年に在日米軍施設として建設。1964年の東京オリンピック開催に合わせて日本に返還され、現在は代々木公園、国立代々木競技場、NHK放送センターになっている
僕が小さい頃は、外国人というとアメリカだったんです。18歳の時にロンドンに行って、そこで仲良くなった友達が日本に来るとみんな日本人のアメリカなまりの英語をめちゃくちゃ小馬鹿にしてたんです。確かに日本で学ぶ英語は全部アメリカ英語だし、“コカコーラ万歳!”みたいな暮らしをしていたから、イギリス人から見たら違和感を感じるんだと初めて知って。それくらい僕らが育った高度成長期、70年代・80年代は本当アメリカ一色だったんです。武井さんの本にはそういう話がたくさん出てきます。
僕も80歳以上のファッション界の人たちに会って当時の渋谷について取材したら、いろいろ面白い答えが返ってきました。「CAPSULE」<※註3>というセレクトショップの先駆けがあって、倉俣史朗さんが内装を手掛けて、横尾忠則さんが最初の紹介文を書いていたり。
※註3 コム・デ・ギャルソン、山本寛斎、イッセイミヤケといった当時の国内新進クリエイターたちを世に送り出した
武井さんが次に研究するコンセプトも決まっていてそれも本にしようという話もあるし。僕が興味ある人を取材して『QUIET』もあるから取材もやりやすいので、わりといい感じで回ってます。
これからの100年こそが実は面白い
──本の刊行と『QUIET』の今後の展開を楽しみにしています。最後に今年(2026年)はパンク50周年であり、日本語ラップ創世記を飾る金字塔、いとうせいこう & TINNIE PUNX(藤原ヒロシ、高木完)のアルバム『建設的』リリース40周年ですが、感想はいかがですか。
HF 自分の周年に関しては特に何も考えてないです。TINNIE PUNX自体、僕と完ちゃんの「パンクからもう10年も経つんだ?」という話から始まったものなので。ただ、これはさっきのAIの話にも繋がるかもしれないですけど、僕は90年代でポップカルチャーは終わったと思っていたんです。
1960年のロカビリーと1990年のヒップホップは全然違うジャンルだし、その30年の間にグラムとかパンク、いろんな経過があったけれども、90年代以降はそれまで出てきたロックやレゲエ、ヒップホップ、ハウスなどを元に作っているだけで何が出てきても特に新しいとも感じないし、新しくなくてもいいものはいいと思って過ごしていたんです。
──50代以上で、そういう実感がある人は多いと思います。
HF ところがこの前、ディズニープラスで配信開始した『ザ・ビートルズ・アンソロジー』を見ていて、実はポップカルチャーのすべてが出揃った90年代から始まる100年こそが、実は面白いんじゃないと思ったんです。
というのも、アインシュタインが相対性理論を提唱したのが100年前で、量子力学が形になってコンピュータにできたのはここ最近のことじゃないですか? 僕らが知らないだけで、物理学者はこの100年の間にいろんなことを考えて今に至ると思うんですけど、そういうことがポップカルチャーの世界でも起こるんじゃないかなって。
僕はラッキーにもそのスタート地点にいることができた世代なので、今まであったものをアレンジしたり使い方を変えて、また別の面白いものができあがってくる様子を見守れたらいいなと思っています。
BE@RBRICK AUDIO Portable BluetoothⓇ Speaker FRAGMENT 400%
サイズ|全高約280mm
カラー|BLACK/WHITEの2種展開
重さ|870g
仕様
●BluetoothⓇ5搭載
●周波数範囲:90Hz-20,000Hz(-6dB)
●Rinaro独自開発の「QUAD’360(TM)」全方位オーディオ テクノロジー
●USB-C充電ケーブル付属:5V/2A
●取り換え可能な充電式バッテリー
●1.5時間充電で連続6時間再生
●音量やサウンドトラックを手首のローテーションでコントロール可能
発売日|MEDICOM TOY NEXTにて2026年2月7日(土)発売
価格|10万7800円(税込)
※数量限定となります。品切れの際はご容赦ください。
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