2015 ミラノサローネ 最新リポート|Gervasoni
Gervasoni|ジェルバゾーニ
特集|ミラノサローネ国際家具見本市 2015
やわらかな光に包まれた 魅惑の世界
雲のなかからあふれるやわらかな光。そこからあらわれた「Gervasoni(ジェルバゾーニ)」の世界。この詩的な世界観と斬新なデザインが共存する空間で新作は発表された。3代にわたり培われてきたクラフツマンシップや経験から生まれる独自性、上質な素材から生まれる優美さが、アートディレクターのパオラ・ナヴォーネ氏が描き出す世界観と相まって、魅惑的な空間が作り出されていた。
Photographs by Daniele DAINELLIText by KATSURA Kumi(TOL STUDIO INC.)
ジェルバゾーニ的ライフスタイルへの誘い
ミラノサローネ期間中、ジェルバゾーニのブースを包んだ、白い雲を彷彿とさせたのは、スポンジのような素材が無造作に積まれたブロック壁面、光やモノ、人までをもキラキラと反射させるメタリックの床材。多くの人が惹きつけられていたこの演出は、アートディレクターであるパオラ・ナヴォーネ氏がこのブランドの展示のために考えた「光にあふれる空間」だ。反射、透明、透過、メタリックといった素材のもつ効果や質感のレイヤーが不思議な空気を育み、究極のバランスのもとに生まれた独特の折衷感こそ、ほかにないジェルバゾーニというブランドの世界観といえよう。
光に誘われるように内部へ進むと、半透明の波型スレートが大きな弧を描き、ステージとなってリビング、ダイニングをイメージした各コレクションが設置されていた。ジェルバゾーニの技術的シンボルともいえる“籐”を使ったスツールやローテーブルのほか、既存のコレクションにくわわった長いベンチや陶器のスツールやローテーブルが登場し展開をひろげていた。
薄く伸ばされた真鍮のシェードをまとったランプ「BRASS95」は、宙に浮かぶシンボリックなオブジェのようだ。ソファのテキスタイルにはあたらしいカラーバリエーションがくわわって、光あふれる世界観がやわらかく華やいでいた。軽やかで繊細な籐のスツールは、PVCでざっくりと編まれたランプシェードとともに独特の美しさを演出していた。
こうした折衷感を生んだパオラ・ナヴォーネ氏の発想の原点は、世界各地の旅先での出会いにあったという。出会った素材やナヴォーネ氏の経験が掛け合わさって生まれた、詩的で魅惑的な空間に、あえて歴史的なコレクションと新作を交えて並べられることで、今日的な解釈やライフスタイルの提案がおこなわれた。
現在、ジェルバゾーニは、住宅やホテルなどを中心に、世界50カ国以上で展開されている。1925年に設立され、現在は3代目となるジョバンニ・ジェルバゾーニ氏とミケーレ・ジェルバゾーニ氏が代表をつとめる。
「新作にも息づくジェルバゾーニの世界観は、日本の方たちにも高く評価していただいており、今後の展開もとても楽しみです」と、ミケーレ・ジェルバゾーニ氏。日本においても、国内の高い評価にも継続的に応えるべく、ジェルバゾーニとおなじくパオラ・ナヴォーネ氏がアートディレクションを手がけ、2012年に設立されたベットブランド「Letti&Co.」が、今年度から展開をスタートする。
GERVASONI JAPAN
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http://gervasoni.jp/