「ISETAN LIVING×HIROCOLEDGE」 ふだん使いの食器たち
「ISETAN LIVING×HIROCOLEDGE」
ふだん使いの食器たち│日常のなかでさりげなく見え隠れするデザインの楽しさ
「ISETAN LIVING×HIROCOLEDGE」の特集第7回は、伊勢丹リビングのバイヤーの畔上丈司さんが、有田の日本ボーンチャイナ株式会社と取り組んだ食器のシリーズを紹介する。
文=伊勢丹 リビング営業部 食器担当 畔上丈司
長く使っていても飽きがこない。ふとした瞬間に楽しさがある
伊勢丹リビング、今期のオンリー・アイのテーマは「Love・Long Lasting」。
愛着をもって長くお使いいただけるものをご提案したいという思いで、毎日楽しくお使いいただける食器をつくりたいと理子さんにデザインをお願いしました。
「使い勝手は大切にしながら、主張しすぎないデザイン」ということで、食事の邪魔にならない、さりげなく図柄が見え隠れするようなものとなりました。
長く使っていても飽きがこない。ふとした瞬間に楽しさがある。そんなマグカップ、プレート、ミニボールが誕生しました。
今回一緒に取り組んでいただいたのは、有田の日本ボーンチャイナ株式会社さんです。
有田の伝統技術を継承しながら、暖かみのある白色となめらかな肌合いが特徴的な、ボーンチャイナという白磁にこだわったメーカーです。
今回は表から見えない場所にも、理子さんの丸と直線の図案が施されています。たとえばマグカップは、通常ブランド名しか入っていない底の裏にも柄が入っています。朝二人でコーヒーを飲むときに、向かいのパートナーにその柄が見える。また、食器を洗って伏せると、柄がぱっと眼に飛び込んできます。
プレートとボールには、底裏に柄が彫り込まれています。制作工程上必要な溝に、装飾性をもたせることで、機能を活かしたデザインが生まれました。
また、マグの取っ手もデザインしていただきましたが、特徴的な形のなかで握りやすいフォルムを追求。表面のプリント色も白に近いグレーにこだわり、ボーンチャイナの美しい白を際立たせるよう心がけました。さりげないデザインが見え隠れする、日常を楽しくしてくれるような器の誕生です。
日常使いが可能な普遍性とユニークな楽しさを兼ね備えたシリーズになったと思います。
この取り組みのなかで同時に生まれたテーブルファブリックとともに、テーブルの上に広がるHIROCOLEDGEの世界を楽しんでいただければうれしいです。
職人とともに、一つ一つの製法とデザインにこだわった企画
──高橋理子さんの作品についてどんな印象をおもちですか?
理子さんのデザインは、いままで日本のイメージが強かったのですが、今回一緒にお仕事をさせていただいて、リビングというジャンルのあらゆるアイテムを展開してくださる幅広い世界観をもった意匠だと実感しました。
機能面もおろそかにすることのない、誠実なものづくりをされていることに、大変共感しています。
──今回の「ISETAN LIVING × HIROCOLEDGE」プロジェクトについて
一口にリビングといっても、家具から食器・ステーショナリーまで多岐に渡ります。それを一つのコンセプトでさまざまなメーカー、職人とともに、一つ一つの製法とデザインにこだわった今回の企画は、私たち伊勢丹リビングにとっても大変意義のあることです。
今回限りで終わらせるのではなく、ぜひ、次につなげていきたいと思っています。
──3月4日(水)からいよいよ販売です
3月4日から、伊勢丹本館5階の「ステージ5」にて、全アイテムをコーディネイト。トータルの世界観を表現したいと思っています。
私たちスタッフ全員で、伊勢丹リビング×HIROCOLEDGEの思いや、こだわりをお客さまに最大限お伝えしていきたいと思います。ご来店お待ちしております。
畔上バイヤーとの食器シリーズについて(高橋理子)
お客さまに毎日お使いいただける、使い勝手のよい器であることが大前提。畔上バイヤーの言葉で、まず考えたことは「いかにさりげないデザインをするか」ということでした。
ボーンチャイナの美しい白を活かしながら、料理や飲み物の色とぶつかることなく、柄をどう表現すべきか。有田特有の、手書きの染め付けのブルーも美しいのですが、今回は色や仕上がりの精度を優先し、転写による表現を選択しました。転写は、柄の表現技法のなかでも自由度が高いと考えていましたが、実際には簡単にはいかず、食器に使える色の成分に制限があるなかで、目指す色を何度も試作をしながら調整していただきました。
食事をする際には、器のことは忘れて食べることに集中してほしい。だからこそ、器の裏が私に与えられた表現の場だと考えました。人が生きるために大切な「食」の時間に、料理の彩りや食物の味を楽しむこと以外に、もうひとつ小さな楽しさが加えられたらと思いながらデザインしました。
この器を通して、有田焼のことやボーンチャイナのことも、少しずつお伝えしていけたらと思っています。