MEDICOM TOY EXHIBITION'18 開催直前インタビュー｜MEDICOM TOY

MEDICOM TOY｜メディコム・トイ

メディコム・トイ代表取締役社長
赤司竜彦さんに聞く (1)

毎夏の恒例イベント、MEDICOM TOY EXHIBITION が、今年は7月21日（土）～26日（木）の間、開催。会場は、こちらも定番となったスペースオー(表参道ヒルズ本館地下3階)に決定している。今年は昨年までとどう違うのか？　2018年の目玉アイテムは何か？　先出し情報が制限されるなかではあるが、そのギリギリのラインへと迫った。

Photographs by SUZUKI TakuyaText by SHINNO Kunihiko

さらに加速するアパレルブランドとのコラボワーク

――今年もメディコム・トイが生み出したプロダクツが一堂に会する「メディコム・トイエキシビション '18」の季節がやってきました。

赤司　あっという間ですね。毎年そろそろかなと思うところから開催までものすごく速いんですが、今年は特に時間が３倍くらい速くなっている印象があります。

エキシビションでは常に新しい試みを取り入れたいという気持ちがあって、準備期間中は何をしたら来場者の皆さんが喜んでくれるかな、自分自身が楽しめるかなといったことばかり考えています。おそらくルーティンワークでやっていたら時間の速さも普段と変わらない気がするんですが、いろんな分野の初めての方とご一緒することが多くなると必然的に意思疎通にも開発にも時間がかかってしまうので、体感速度が速くなるんでしょう。

――会場が表参道ヒルズスペースオーになって今年で3回目になります。エキシビションでは今後発売予定のアイテムを一足早く見られることもあって、海外からのお客様もたくさんいらっしゃっていますね。

赤司　開催時期に合わせて飛行機のチケットを取って下さったり、当日ちゃんと入れるんでしょうかというお問い合わせをいただいたり、本当にありがたいです。それだけ注目していただいている分、こちらとしてもお披露目して喜んでいただけるものを作りたい。もっと言えば、びっくりしてほしいという気持ちが大きいかもしれません。

――昨年は会場エントランスの吹抜け大階段に設置された高さ7ｍに及ぶ巨大なBE＠RBRICKバルーンにはじまり、数々の新作アイテムがエキシビションで初公開されましたが、いかがでしょう。傾向などありますか？

赤司　まず、今年はアパレル系との取り組みが増えます。というのもウェブ環境が洗練されてきたことで、海の向こうと何かをしている印象ってどんどんなくなってきたじゃないですか。

例えば、昔だと海外の商品が買えるというだけですごいと思っていたのに、いまはワンクリックで手元に届いてしまう。いろんなところといろんな形でつながることが便利さを超えて気持ち良くなってきています。そうなると、うちとしても国内のみならず世界中の方に向けて面白がっていただけるものを作りたいなと。

――OPENERSにもインタビューで登場していただいたANREALAGE、KIDILL、SHAREEFなど、メディコム・トイはこれまでも数々のアパレルブランドとコラボレーションを重ねてきました。

赤司　ここ最近、日本には世界的に注目すべきアパレルブランドが増えています。これまでもアパレル系の方々とは「BE@RBRICK」などフィギュアでコラボレーションしてきましたが、今後は実際のアパレルそのものでもご一緒する機会が増えるので"この人たちとやるんだ！"と、びっくりしていただけるのではないでしょうか。

反面、世界基準でものを考えなければいけない部分も出てくるでしょう。例えば、こういう表現はもしかしたら文化の違いもあってこの国の方からすると不快かもしれない。これからはそういった視点で物事を考えていかないといけないなと思っています。

もちろん既存のラインナップも一層拡充していきます。「MAFEX」と「UDF」といったコンテンツを世の中に増やしていけることが理想ですし、そのコンテンツに世界中の方々が夢中になってくださることが一番の理想です。

Page02. パートナーを選ぶ基準は、すごくシンプル

メディコム・トイ代表取締役社長
赤司竜彦さんに聞く (2)

パートナーを選ぶ基準は、すごくシンプル

――いくつか当日の目玉になりそうなもののヒントみたいなものを教えていただいてもよろしいでしょうか。

赤司　アパレルに関していうと、ひとつはデザイナーさんとスタイリストさんではじめられたアパレルブランドのワールドワイド展開をお手伝いしていきたい。もうひとつはインディペンデントにやられていた作家さんをフックアップして一緒にやっていきたい。そのふたつがメインになります。

加えて日本のロックアーティストの肖像をTシャツにして着てもらうというコンセプトでスタートした「Amplifier」（アンプリファイア）も、またびっくりするようなラインナップが出てきます。

――アパレルの場合、パートナーとして選ぶ基準はどういうところにあるんでしょう。

赤司　すごくシンプルに、自分が「いいな」と思ったものです。なので先様の規模の大きさとか営業力とかはあまり考えてないですね。

プロダクツとしての完成度だったり、面白さだったり、技術、センス、思い、熱量。いいものだったら広めたいというところがものすごく大きくて。

「ありそうでないもの」が一番好きなので、

そういったコンテンツやプロダクツを見ると人に教えたくて仕方ないんです。いいものなんだから、もっと世の中に広めたいという思いが源動力ですね。

メディコム・トイも22年目を迎えたいま、「いいな」と思ったものを世界中にお披露目できる立場に少しずつなりつつあるので、この先いったいどんな方たちとご一緒できるかなという楽しみがあります。

――1996年の会社創立時から一貫した姿勢ですね。

赤司　まったく変わってないです。自分たちだけですべての表現ができるとはまったく思っていないので、いかに外に向けて会社が広がっていくのかというところが自分の中ではテーマでもあるんです。これを全部インハウス（社内）でやろうとすると、どうしても内にこもってしまう気がしていて。着地点があらかじめ予測できるというか、ああ、やっぱり……と感じることが多いので、できる限り予定調和に陥らないようにしたいと思っています。

――受け手である我々としては、アーティストと技術がつながることで新たに生まれる化学反応も楽しみです。

赤司　私自身もすごく楽しみです。うちでしか知り得ない技術だったり、これだったらできるっていう知識と、お相手のセンスや熱意がどう交わっていくのか。おかげさまで玩具における3Dデジタルの技術に関してはかなりのところまで取得できていると思っていますので、そこと新しい作家さんとの融合については今後も果敢に取り組んでいくつもりです。

ウェブ環境の洗練化で世界が狭くなったおかげで、改めて地域やジャンルを超えた試みや実験ができるようになったなと実感しますね。もちろん過程において大変なこともたくさんあるんですけれども、乗り越えた先にはそれをはるかに凌駕する楽しさがあります。

――ますます日本のポップカルチャーをグローバルに展開する企業という側面が強くなるのではないでしょうか。

赤司　OPENERSをご覧の方ならご存知だと思いますが、いま世界中でポップカルチャーの合同展的イベントが盛り上がっているという状況があるんです。メディコム・トイも今年の１月にフランスで開催した「JUMBLE PARIS」というイベントに初めて参加したんですが、ちょうどパリのファッションウィークと同じ時期だったこともあって、たくさんのファッション関係者にうちの商品を見ていただくことができました。そのおかげで新しい取り組みもずいぶん増えています。

ちなみに今年の「JUMBLE PARIS」では今後展開予定のアパレルの1社をローンチしました。今年の秋以降もアメリカ、中国からいくつかイベントへの出店要請をいただき、しかも非常に高待遇でお迎えいただいたので、いろんなことをやっていこうと思っています。日時や場所については詳細が決定次第、また改めてOPENERS読者の皆さんにお伝えしたいなと思っています。

――今回のエキシビションは、その世界展開のキックオフ的な意味もあるんですね。

赤司　まさにそんな感じですね。世界中にいろんなものをローンチできる良いタイミングでもあるので、自分たちがいいなと思うことをお披露目していきたい。そんな気持ちでいますので、ぜひ今年のエキシビションに来場いただき、今後の展開を楽しみにしていただけたらとても嬉しいです。