21世紀に改めまして。21歳になったメディコム・トイです。|MEDICOM TOY
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2017年7月21日

21世紀に改めまして。21歳になったメディコム・トイです。|MEDICOM TOY

MEDICOM TOY|メディコム・トイ

赤司竜彦 メディコム・トイ代表取締役社長インタビュー(1)

メディコム・トイはジャンルや枠に縛られない自由なトイメーカーだ。精巧なアクションフィギュア、世界的な人気を誇るBE@RBRICK、レトロなソフトビニール製人形。「自分たちが欲しいものをつくる」という確固たる意思のもと、ファッションや音楽やアートの領域とも縦横無尽に行き来をしながら成長を続けてきた。設立21年目を迎えた今、代表取締役社長の赤司竜彦氏は現状をどのように捉えているのだろう。

Photographs by OHTAKI KakuText by SHINNNO Kunihiko

パブリックイメージが固まらない

ある人は「驚き」を。
ある人は「興奮」を。
ある人は「懐かしさ」を。
ある人は「未来」を。

(『MEDICOM TOY EXHIBITION '17』開催のお知らせより)

赤司 よりいっそう多面性を持った会社になっているなと感じています。色々な方がメディコム・トイに対してそれぞれの見方をされてらっしゃると思いますが、パブリックイメージが固まらない会社でありたいというのはひとつの理想でしたし、たぶん10年後も同じことを言っているんじゃないかなと思います。

その多面性を生みだす重要な要素のひとつが、BE@RBRICKをキャンバスに見立てた数々のコラボレーション。キャラクター版権ものやアーティストのみならず、木材やカーボンといったマテリアル(素材)ともコラボレーションが成立できてしまうのはなんとも痛快ですらある。

赤司 色々なケースがありますが、例えば、家具メーカーのカリモクさんやカーボン製品を扱うAMIREXさんのようにまったく異業種のメーカー様とのお仕事は「面白そうですね、やりましょう」っていうところからプロジェクトが始まった部分が大きいです。

時には意外な相手からのオファーで思いもよらないプロジェクトが実現することもある。

赤司 経産省の方が突然お見えになって始まったC.J.MART(2014年、日本の優れた商品を世界に発信するをテーマにオープンしたEコマースサイト)は、まさにその感じです。直近の取り組みだと、unBORDE(ワーナーミュージック・ジャパン)との新しいプロジェクト。レーベルヘッドの鈴木竜馬さんの“こういうことがやりたい”という視点に対して、すごくシンパシーを感じたんです。

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1000%BE@RBRICKの第1弾を飾ったKAWSを筆頭に、国内外の若いアーティストを数多くフックアップしてきたメディコム・トイは、アートとマスプロダクトの関係についても面白い取り組みをしている。

赤司 自分の中では何をもってアートなのかという線引きが曖昧なんです。“あれっ? トイのはずだったのにいつの間にかサザビーズでものすごい値段で取引されているぞ”と思うものもあれば、コスト的には合わないけれども絶対出しておくべきだなと思う取り組みもありました。

会社経営者としては100万個売れるものを200万個売れるように努力すべきだという考え方の方が正しいんでしょうけれども、100万個作るものも、1個しか作らないものも、熱の入れ方はほぼ変わりません。そこもひっくるめてアートである/アートでないという部分は意識したことはないかもしれないです。

そこにはアート=高価なものという意識もない。

赤司 今ですと一番安い商品が年2回リリースしているBE@RBRICK SERIESの450円から、上はCJ MARTで扱った純金製のマジンガーZの2000万円までありますが、どちらも個として向き合うと上とか下という意識はありません。

洋服、トイ、アーティストの作品も全部そうですけど、値段に左右されると自分の目が曇っちゃう気がするんです。値段はマーケットが決めるあくまでひとつの目安であって、それと自分が好きな作品はイコールではないですから。色々な作家と色々なことを自分の審美眼で続けていきたいですし、それで新しい作家がひとりでも世に出るきっかけになれたら、良かったねって気持ちになります。

Page02. メディコム・トイは人と人とを繋ぐハブ

MEDICOM TOY|メディコム・トイ

赤司竜彦 メディコム・トイ代表取締役社長インタビュー(2)

メディコム・トイは人と人とを繋ぐハブ

まるで賑やかな市場のように、往来の激しいメディコム・トイは人と人を繋ぐハブにもなっている。

赤司 mintdesigns(ミントデザインズ)さんとANREALAGE(アンリアレイジ)さんというふたつのブランドも、うちの展示会で知り合ったことから二社共同でファッションショーを開催されたとうかがいました。そういった方が集まってくださる会社であり続けたいですね。

これからも現状に甘んじず、若手のアーティストやファッションブランドの方たちとも仕事をしていきたい気持ちが強いです。自分から割と果敢に乗り込んで行っちゃうんです。持ち込みもたくさんありますけれども、最終的に決まるのは自分から声をかけるパターン。どう考えてもこの子と仕事したいと思うと口説きにいきますから(笑)。

若い世代はモノに対して執着がないと言われる昨今だが、メディコム・トイはそうした状況も矜持をもって切り開いていく。

赤司 デジタルデバイスひとつあれば大抵なんとかなっちゃいますからね。私もいま二十代だったら、そういう人間になっていたかもしれません。ただ、面白いと思ったのは山本耀司さんのY's(ワイズ)というブランドが今、二十代の間でものすごく売れているんです。川久保玲さんのCOMME des GARCONS(コム・デ・ギャルソン)も、三宅一生さんのグループ会社が展開するNe-net(ネ・ネット)も、きちんと若い子たちに届くモノ作りをしていらっしゃる。

今って70年代・80年代に一世を風靡したデザイナーさんたちの未来なんです。トイの領域における90年代とファッションの領域における70年代は自分の中で結構シンクロしていて、その“未来”で彼らが何をしてるかは自分の中でひとつ教科書になっている気がするんです。

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2017年7月22日(土)~27日(木)には「MEDICOM TOY EXHIBITION '17」が開催される。これから発売されるメディコム・トイの新作をいち早く目にすることができる恒例の展示会だが、赤司社長が中でも特に注目してほしいアイテムを挙げていただいた。

赤司 発表から少し時間がかかってしまいましたが、やはりスタンリー・キューブリック監督の商品「RAH アレックス」「MAFEX SPACE SUIT/発売日調整中」)はぜひご覧になっていただきたいです。

特に『時計じかけのオレンジ』のアレックスを作ることは自分にとって3大悲願のひとつだったので、夢が叶ってしまって一抹の寂しさもあります。

あとは「Amplifier」(アンプリファイア)ですね。ロックアーティストのエヴァーグリーンなシーンをTシャツにして着てもらうというコンセプトで作ったものですが、企画を持ち込んできた外部プロデューサーが私と同世代で非常に音楽の趣味がシンクロしたところもあって、どれだけこれがマーケットに受け入れられるのかわからないけれどまずやってみようと。面白そうだから。

それで忌野清志郎さんからスタートしたんですけど、事務所の方にも非常にご好意をもってこのプログラムを受け入れてくださいました。

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最後に、ぜひ訊きたかった質問を──赤司さんにとってトイって何ですか?

赤司 自己表現の手段だったり、愛すべきものだったり、色々あるんですけど、例えばお気に入りのジャケット、トイ、絵──そこに何か領界があるかっていうと、ないような気がするんです。きっと“好きなもの”なんでしょうね。

かつて手塚治虫先生がおっしゃった大好きな言葉があるんです。赤塚不二夫先生から「どうしてそんな無茶な量の仕事を引き受けるんですか?」と訊ねられた手塚先生が「面白い仕事はやらなきゃいけないんだ!」って。

自分も常々そう思います。もちろん面倒くさい気持ちがゼロかというとそんなことないんですよ? それでも面白い仕事はやらなきゃダメだなって、やっぱり思っちゃうんです。

ものを作ることはもちろん好きですが、そこに携わる人間の情熱とか愛情をもって奔走する姿が自分の原動力になっているような気がしますね。きっとこのOPENERSさんの連載も含めて。

           
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