2012 ミラノサローネ 最新リポート|KARIMOKU NEW STANDARD
KARIMOKU NEW STANDARD|カリモク ニュー スタンダード
特集|ミラノサローネ国際家具見本市 2012
KARIMOKU NEW STANDARD、3度目のミラノ
KARIMOKU NEW STANDARDは、創業70余年の歴史を誇るカリモク家具のなかで、もっとも革新性に満ちたブランド。長い歴史で培った技術と、国内外の気鋭デザイナーたちのアイデアを結集して2009年にブランドをスタートした。2010年にはミラノサローネで世界に向けてお披露目、今年は3組のデザイナーがあらたにくわわり、3度目のサローネ出展となる。現地を訪れたアタッシェ・ド・プレス デイリープレスの竹形尚子さんがリポートする。
Text by TAKEGATA Naoko (DAILY PRESS)Photographs by OTA Takumi
3年目、とても良い波が起こっています
「日常との共存」――日常の暮らしのなかに、いかに溶け込む家具をつくることができるか? 普遍性、日常性というものに注目をし、日々の暮らしのなかで気づくちょっとした快適さ、楽しさ、幸せをサポートするべく、気鋭のデザイナーとともに入念なものづくりを繰り返してきた、カリモク ニュー スタンダード。
会場は、ミラノの中心のBrera地区にある、現在はギャラリーとして使われている築100年を超えるアパートメント。何度も塗り替えられた壁、直された床、以前はよく使われれていたという窓の鍵の形状……。何百、何千という発表を駆け足で見て回る慌ただしい1週間。でも家具とは本来、私たちの生活のなかに入り込み、使われ、馴染み、じっくりとともに時を刻むもの。そのような、来場者それぞれにとっての家具のある生活や日常を想像しながらゆっくりとカリモク ニュー スタンダードを見てほしいとの思いから、何世紀にもわたりさまざまなひとが暮らし、使いこまれてきた痕跡のある空間を選んだという。
5つの部屋に、カリモク ニュー スタンダードのこれまでのすべてのコレクションと新作のプロトタイプがランダムに置かれ、器やファブリック、花器、照明やラグなど既存のオブジェクトを配置。このオブジェクトはカリモク ニュー スタンダードに参加するデザイナーが、ほかのブランドやプロジェクトで生み出したもの。これらは空間と家具をゆるやかにつなぎ、この部屋をよりリアルなものへと変えてくれる。
また、私たちの日常に欠かすことのできない、食。
「食の日常風景」をテーマに、フィレンツェを拠点としてフードにまつわるプロジェクトを手がけるデザインユニット、アラベスキ・ディ・ラッテが、家具の原材料でもある「木」から発想を得たフード(りんごやくるみ、松の実、樹脂のキャンディーなど)で空間に彩りを添えている。
天井まで届く、古く大きな窓の外にはミラノの人びとの日常の風景が。それぞれの生活や、日々のこと、少し先にある少し素敵な毎日のことを想像しながらゆっくりと回遊してもらいたい。
デザイナー陣は、クリエイティブ・ディレクターの柳原照弘氏を中心とした、これまでの参加デザイナー(Scholten&Baijings、BIG-GAME、Sylvain Willenz)にくわえて、今年はTomas Alonso(スペイン)、TAF(スウェーデン)、ECAL / Lucian Gumy(スイス)が参加。ブランドでははじめてのダイニングテーブルも発表した。
カリモク ニュー スタンダードとは
コンセプトは、一過性の流行やステータスで終わらない、日常の暮らしに溶け込む“スモールオブジェクト”。ユーザーの個性や嗜好性に応じて、ひとつずつ生活空間に取り入れることのできる高品質なアイテムは、多様化するライフスタイルに応えるフレキシビリティと機能を兼ね備えるだけでなく、時代が求めるあたらしい普遍性を有している。
またカリモク ニュー スタンダードは、サスティナブルな木材利用をつうじて、森そして地球環境のバランスを取り戻すための、あらたな挑戦でもある。カエデ、クリ、ナラなど、主に紙パルプ原料のチップにされ、有効活用されることがなかった国内の広葉樹を材料に用いたのも、そのため。伝統が培った家具製作のノウハウと革新的なテクノロジー、そして森の豊かな恵みを次世代へ、という想い。カリモク ニュー スタンダードには、それらがしっかりと息づいている。