国立競技場の“青いシート”×三組のデザイナーの椅子が数量限定発売|KARIMOKU
KARIMOKU|カリモク家具
国立競技場の自由席が蘇る「SAYONARA 国立競技場プロジェクト」
“青いシート”×三組のデザイナーの椅子が数量限定発売
1958年に開場し、1964年の東京オリンピックのメインスタジアムとして使われた国立競技場。さまざまなスポーツやコンサートなど歴史的瞬間を58年にわたって見守りつづけてきた、国立の“青いシート”が、プロダクトデザインを中心に国内外で活躍をするドリルデザイン、白鳥浩子、鈴木元のアイデアと「カリモク家具」の技術により、あらたに椅子として蘇り、数量限定で販売をスタートした。
Text by KAJII Makoto (OPENERS)
多くの人びとの記憶に残る場所
今回使われる青いシートは、国立競技場のスタジアムの自由席に使われていたもので、国立競技場の解体に先立ち取り外され、大切に保管されていたもの。日本の歴史遺産ともいえそうな、この座面を使って三組のデザイナーが「スツール」「チェア」「2人掛けのベンチ」をデザインし、カリモク家具が設計と製造を担当した。
3タイプの椅子にはカリモクのロゴの焼き印が押され、青いシートが国立競技場で使われていたことを証明するプレートが付属する。販売期間は2015年8月23日(23時59分)までとなっている。
軽やかさと強度を兼ね備えた「TOKYOスツール」
ドリルデザインの「TOKYOスツール」は、小さく軽やかなスツール。直線で構成した構造は華奢に見えるが、カリモクの厳しい品質基準と耐久基準をクリア。スツールとしての十分な品質と強度を備えている。
ドリルデザインの林裕輔氏と安西葉子氏は、「これを所有したひとが、どのように使うのか。何を思うのか。何十年かあとには、どんな存在になっているのか。そんなことを意識しながらデザインをしていました。名前の由来は、東京タワーなのか、鳥居なのか。直接意識したわけではないのですが、直線的で軽やかなフォルムがTOKYOのイメージに重なるように感じられたから」とコメント。
シンプルな構造と、プラスチックと木材による“素材のコントラスト”、そしてフォルムのバランスという3つの要素をまとめ、無駄がなく、特徴的なカタチをつくり上げた。
ひとを乗せ、思いを運ぶ架け橋になるチェア
小さな背もたれのチェア「ponyチェア」は、デザイナー・白鳥浩子氏が「国立のシートは、誰かにとって記憶に残り、価値や愛着があったモノ。古くなったからといって破棄するのではなく、一部だけでもそのバトンを受け継いで、あたらしい住処、その先にある関係性をつくれたら」とかんがえてデザインしたという。
見た目にどこかアンバランスさやユーモアを感じるのは、腰を支えるように付けられたチェアとしては小さな背もたれにあり、「何より、座面の愛らしい存在感や特徴的なフォルム、色を尊重したくて」と説明するデザインにより、かつて国立競技場を彩った“青いシート”の存在感を引き出している。
隣に座ったひとと時間や体験を共有できるベンチ
デザイナー・鈴木元氏による「KOKURITSUベンチ」は、国立競技場で人びとが腰を下ろし、肩をならべたシートに脚を取り付け、そのまま家具として再現したようなフォルムで、「青いプラスチックの座面は、スポーツ観戦のアイコン。座面の形や色、座ったときの温度、隣の席との距離感が、スポーツ観戦の平和な記憶に重なっています」と鈴木氏。
二つならんだ座面の幅は、国立競技場で使われていた当時のシートピッチを再現。使いみちがない短い木材を継いでつくったフレームもシートと同様に、その背景を感じさせる素材で、シートやフレームの素材がもつ背景の上に、使うひとそれぞれの記憶が積み重なり、使っていくうちにより愛着が深まっていく。
鈴木氏は、「古い街並みが美しいのは、そこに膨大な時間や記憶が埋まっているからだとおもうんです。だから住人にとっては物理的な建物以上の存在になっている。このベンチが、プロダクトに積もる時間や記憶の深さをかんがえるきっかけになれば」と語る。
SAYONARA 国立競技場プロジェクト
http://t.pia.jp/feature/sports/sayonaragoods/