テック新時代を築く「Nothing」のヘッドホン
DESIGN / DIGITAL
2025年9月12日

テック新時代を築く「Nothing」のヘッドホン

Nothing|ナッシング ヘッドホン(1)

ロンドンを拠点とするコンシューマーテクノロジーブランドのNothingが、同社初となるオーバーイヤー型ヘッドホン「Headphone (1)」をリリースした。一目でNothingのプロダクトだと分かるデザインで、同ブランドの製品との親和性も高い仕上がりになっている。

Text by WASEDA Kosaku

独自のシースルーデザインを採用。KEFとの協業で実現した高音質設計

Nothingは2020年にロンドンで設立されたテクノロジーブランドで、創業から4年で累計売上10億ドルを突破している。世界中に300万人以上のコミュニティメンバーを有し、ユーザーとの対話を重視した製品開発を行っている。
2021年にはワイヤレスイヤホン「Nothing ear(1)」、2022年にはスマートフォン「Phone(1)」をリリース。スケルトンボディを採用したユニークでスタイリッシュなデザインで話題になった。スマートフォンは、モデルチェンジも進み2025年8月に「Phone (3)」がデビューし、ますます魅力的な機種として進化を遂げている。
Nothingに共通するのは、独自のデザイン哲学だ。大きなテーマになっているのは「透明性」。プロダクトの背面を透明にして内部構造を見えるようにしており、これは「Nothing to Hide(隠すものは何もない)」というブランドメッセージを体現している。
そのほか独自の「Glyph Interface」と呼ばれるLEDライトシステムを採用していることも特徴だ。製品の背面に配置されたLEDライトが、通知や充電状況などを光のパターンで表現し、機能的でありながら美的な要素も兼ね備えている。
この度、Nothing初のヘッドホンとしてHeadphone (1)が登場した。もちろん本作にもNothingらしさが存分に反映されたプロダクトに仕上がっている。
Headphone (1)の音響設計は、60年以上の歴史を持つ英国の老舗Hi-Fiオーディオブランド「KEF」との協業で行なわれた。KEFの先進的な音響開発技術と独自の開発ツールを活用し、オーディオ愛好家からカジュアルリスナーまで幅広いユーザーに向けた製品として開発されている。
Nothingのデザイン責任者であるアダム・ベイツ氏は「Headphone (1)では、ただ音が良いだけでなく、手に取った瞬間に"何かが違う"と感じられるものを目指した。触覚的なコントロールからシースルーなデザインまで、すべてのディテールに意図がある」と製品への思いを語っている。
製品の外観には、Nothingらしいシースルーデザインが採用されている。構造材には加工されたアルミニウムやコンピュータ制御で製造された精密部品、低反発ポリウレタン素材を使用し、快適性とビジュアルインパクトの両立を実現している。
操作面では、タッチコントロールではなく物理的なローラー、パドル、ボタンによる触覚操作を採用。音量調整や楽曲ナビゲーション、アクティブノイズキャンセリングモードの切り替えなどを、誤操作の心配なく直感的に操作できる設計となっている。
音響面では、ポリウレタンサスペンションシステムを搭載した40mmカスタムダイナミックドライバーが組み込まれた。精密なダンピングシステムにより歪みを最小限に抑え、アクティブノイズキャンセリングや外音取り込み、空間オーディオなど各種モードにおいて、迫力ある低音から澄んだ高音まで原音に忠実なサウンドを再生する。
また、内蔵のスペーシャライザーとヘッドトラッキング機能により、ステレオオーディオソースを360°の音場に変換し、映画館のような没入感のある音響体験を提供する。ハイレゾオーディオ、LDAC、USB-Cロスレス再生、3.5mmジャックに対応し、有線・無線を問わず高品質な音楽再生が可能だ。
Headphone (1)は、フィードフォワードマイクとフィードバックマイクを組み合わせたハイブリッドアクティブノイズキャンセリング機能を搭載している。4つのマイクとAIクリアボイステクノロジーによる環境ノイズキャンセリング機能は、2,800万以上のノイズ環境でトレーニングされており、騒がしい環境でもクリアな通話を実現する。
バッテリー性能では、アクティブノイズキャンセリングオン時で最大35時間の連続再生が可能。5分間の急速充電により最大5時間の再生時間を確保している。Bluetooth 5.3に対応し、デュアルデバイス接続やFast Pair機能、低レイテンシーモードをサポートし、現代のマルチワイヤレスな環境に適応した仕様になっている。
専用のNothing Xアプリを使用することで、ボタン設定の詳細なカスタマイズも可能。Channel Hop機能により、ボタン操作のみで複数のメディア間の切り替えができる。8バンドEQによるサウンドカスタマイズ機能も搭載し、ユーザーの好みに応じた音質調整が可能だ。
カラーはホワイトとブラックの2色展開。Nothingの独創的なデザイン哲学とKEFの音響技術が融合した意欲作であるHeadphone (1)。高級オーディオ市場における選択肢として、さまざまなライバルがひしめき合うなか、刺激的なクリエイションで新たな価値を創り上げる。
Nothing Headphone (1)
サイズ|H 173.8 mm W 78 mm D 189.2 mm
重さ|392 g
カラー|ホワイト、ブラック
サウンド|40mmカスタムドライバー (16Ω)再生周波数帯域 : 20 Hz ~ 40,000 Hz、振動板 : ポリウレタン製、KEFによるサウンドチューニング
ノイズキャンセル|リアルタイムアダプティブANC (42 dB)、外音取り込みモード、4つのマイクを使った環境ノイズキャンセル
バッテリー|1040 mAh Li-ion電池
充電|USB-Cケーブルを使用、100%までの充電にかかる時間 : 120分、5分間の充電で使用できる時間 : 5時間 (ANCオン)、24時間 (ANCオフ)
再生時間|
AAC
80時間 (ANCオフ)
35時間 (ANCオン)
LDAC
54時間 (ANCオフ)
30時間 (ANCオン)
通話時間|53時間 (ANCオフ)、37時間 (ANCオン)
価格|3万9800円(税込)
問い合わせ先

Nothing
https://jp.nothing.tech/

                      
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