さる山|「セラミックワァクスフォアテイブル+ryoスプーンアンドフォーク」展
「セラミックワァクスフォアテイブル+ryoスプーンアンドフォーク」展
ふたつのあたらしいプロジェクトが始動
あたらしく生まれ変わった山口 大屋窯版「セラミックワァクスフォアテイブル」と、カトラリーシリーズ「ryoスプーンアンドフォーク」の発表展示会を、『ギュメレイアウトスタジオ+さる山』にて、10月8日から16日の日程でおこないます。
文=猿山 修(さる山)
第一弾は、スプーンアンドフォークをサラダサイズのみで開始
「セラミックワァクスフォアテイブル」について
井山三希子と猿山 修による2003年発表の食器シリーズ。お互いに必要としている食器を考察し、製作は井山が担当。2011年、濱中史朗主宰の山口 萩大屋窯においてあらためて原型を起しなおし、萩土とその釉薬をもつ、あたらしいceramic works for table の製造を開始する。
「ryo」について
新潟 燕のカトラリーメーカー田三金属製造、金沢にて金工をおこなっている竹俣勇壱監修、仕上げ、猿山 修デザインによるカトラリーシリーズ。第一弾として、スプーンアンドフォークをサラダサイズのみで開始。意外なサイズ選択と思われるその意図を、Gallery Yamamotoの山本千夏が「小ささの理由」と題して下記のようにまとめている。
「小ささの理由」
たとえば、畳の四畳半の部屋。四畳半はいつまで経っても四畳半。それなのに、お客さんを招いて応接室かと思えば、ごろりと寝転がって本を読んだり、そうかと思えば簡素な台を出してきて、ごはんを食べたりもする。食べ過ぎたと思ったら、柔軟体操だってできるし、一日の終わりには布団を敷いて寝室に早変わり。四畳半という以外、使い方の決まりも何もない。四畳半には押入れという強い味方がいて、使わないときはそこへ何でも仕舞ってしまえば、四畳半はまた何でもない空間にもどるのだ。そこで何をしてもいい、自由が一緒にもどってくる。
たとえば、少し小さなスプーンとフォーク。欧米ではサラダに使う大きさなのだという。メインに使うそれはもっと大きい。もっている空間も食卓も、そして手も口も、そう大きくはない日本の私たち。器もいろいろだし、料理だって、その食べ方だってさまざまだ。何料理だとかどんなスタイルだとか名前の付けられないものも少なくない。私たちは工夫が大好きだ。そんな私たちにふさわしいカトラリーがあっていい。普段の食卓で料理は順々に出ては来ない。いくつか小鉢が並んだり、大皿料理を取り分けたりしていろいろな料理を同時に食べる。大抵、食事中はひとつの箸を使う。箸は何用とは決まっていない。そんな箸のようなカトラリー。和食器にも洋食器にも、またどちらともいえないような器にも違和感なく添い、食卓でも邪魔にならない。お腹に余裕があれば、デザートにだって使える。実際に使ってみれば、拍子抜けするくらい、この大きさで事足りるということに気がつくはずだ。料理も器の取り合わせも私たち流なのに、カトラリーだけ欧米とおなじである必要はない。
日本的なるもの。構造は変わらないのに機能が変化していく。
知恵のかかわる余地のあるもの。何かのためにあたえられたものではなく、ここにあるものをどう使うか。
小ささの後ろには豊かな可能性が広がっている。
畳の四畳半に、少し小さなカトラリーはよく似合う。
「セラミックワァクスフォアテイブル+ryoスプーンアンドフォーク」展
期間|2011年10月8日(土)~16日(日)
『さる山』
東京都港区元麻布3-12-46 和光マンション101
営業時間|13:00~18:00 会期中無休
Tel. 03-3401-5935
http://guillemets.net/