山梨の丘陵地帯に国内最大級のメガソーラー
国内最大級のメガソーラー「米倉山太陽光発電所」
内陸部における太陽光発電所の先駆けとなるか
山梨県が東京電力と共同で計画を進めてきた国内最大級のメガソーラー「米倉山太陽光発電所」が本格稼働し、約1か月が経過した。
Text by TANAKA Junko (OPENERS)
山梨県の日照時間は全国有数!
米倉山太陽光発電所は甲府市の南部にある丘陵地帯、米倉山にあらたに建設された大規模太陽光発電所(メガソーラー)。1月27日に運転を開始し、現在まで順調な滑り出しを見せている。山梨県が2008年から取り組んでいる環境対策「山梨県地域温暖化対策実行計画」の一環として、山梨県が12.5ヘクタールの土地を提供、東京電力が建設および運転・保守を担う共同事業だ。全国でも有数の日照時間を誇ることから、同地に白羽の矢が立てられた。
エネルギーの“もと”となる太陽電池には、昭和シェル石油の100%子会社であるソーラーフロンティア製の『CIS薄膜太陽電池』を採用。従来型の薄膜太陽電池に比べて、エネルギーへの変換効率が高い。そして、黒一色のスタイリッシュなデザインで2007年のグッドデザイン賞も受賞したその太陽電池が約8万枚、丘陵地帯に敷き詰められている。
エネルギーの最大出力量は1万キロワットと、現時点で国内最大の出力量を誇る神奈川県川崎市の「扇島太陽光発電所」に次ぐ量で、内陸部に建つメガソーラーとしては国内最大規模。一般家庭約3400軒分に相当する約1200万キロワット時の年間発電量を見込んでいる。これは、一般家庭約1000軒が排出する年間の二酸化炭素排出量(約5100トン)を削除できる計算だ。なお、発電量は5分ごとに更新し、東京電力のホームページに公開されている。
この発電所の最大の特徴は、広大な敷地を要することから埋め立て地などに建設されることが多かった前例を覆し、これまで難しいとされてきた内陸部、しかも丘陵地帯でのメガソーラーの建設を実現させたことだ。丘陵地帯では平坦で広い敷地を確保することが困難なため、東京電力は今回、同地を広さや形、標高の異なる12区画に分けて太陽電池を設置。さらに、架台の設計などをいくつかの基本パターンに分類し、それらを組み合わせて設計することで、設計や工事が複雑化することによる建設費の増大も回避した。
あらゆる手法を駆使して現実のものとなった米倉山太陽光発電所。今後、内陸部にメガソーラーを建設する際の有効な事例となりそうだ。
東京電力(現在の発電状況)
http://www.tepco.co.jp/csr/renewable/megasolar/